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監査法人に勤務する公認会計士の年収は?役職ごとの年収例も紹介

HUPRO 編集部
監査法人に勤務する公認会計士の年収は?役職ごとの年収例も紹介

公認会計士という資格に興味をお持ちの方、あるいは現在公認会計士を目指している方は、監査法人という組織を漠然とはご存知ですよね。公認会計士という有資格者たちが所属し、企業に対する監査業務を中心に、時に会計コンサル業務など、企業の経営適正の維持を通して社会経済活動全体が正しく機能するように、日々激務に励んでいます

ところで、監査法人に勤務するためには、まずは最難関国家資格の一つである公認会計士試験に合格しなければなりません。最低でも数年、人によっては十年近くの努力を経てようやく試験に合格できるレベルの試験ですが、晴れて試験に合格した後に監査法人に勤務することになった場合、果たしてどれくらい稼げるのでしょうか?

今回は、監査法人に勤務する公認会計士の年収について、実際に大手監査法人で勤務経験のある公認会計士の経験談を通じて紹介したいと思います。

監査法人の仕事内容について興味がある方はこちらのコラムをあわせてご参照ください。監査法人の基礎的な部分から分かりやすく解説しています!

大手監査法人と中小監査法人とでは年収に差がある!

現在、監査法人は全国に240法人ほどあり、その中でも東京に150法人ほどが集中しています。一般的に、監査法人は規模の違いに応じて、大手4大監査法人(KPMGあずさ・トーマツ・EY新日本・PwCあらた)とその他の中小監査法人に分かれます。

大手監査法人は世界でも名の通ったグローバル会計事務所の日本法人というイメージです。大手監査法人はクライアント数も多く、したがって、所属する公認会計士もたくさんいます。ほとんどの人は公認会計士試験に合格すると、最初にこの大手監査法人のうちの1つに所属して監査法人における業務を学びます。

ここで重要なのが、監査法人の事業規模に応じて所属する公認会計士の年収に差があるという点です。監査法人の事業規模によって顧客クライアントである一般事業会社の規模や企業活動額もまったく異なるので、強力なパワーで仕事ができる大手監査法人ほど年収が高くなります。

では、監査法人の規模ごとにどの程度年収に差があるのでしょうか?

平成30年賃金構造基本統計調査に見る公認会計士の年収

厚生労働省の年収調査では、公認会計士と税理士をあわせた平均年収が算出されているので注意が必要ですが、平成30年の厚生労働省の統計調査によると、有資格者である公認会計士・税理士における平成30年度の平均年収は892万円くらいとされています。一般的に、税理士よりも公認会計士の方が年収が高くなる傾向があるので、公認会計士の年収はこれよりもさらに高額になります。

なお、平成29年度の調査では公認会計士と税理士の平均年収は約1,042万円であったことから考えると、近年平均年収はやや下がりつつあるという傾向が読み取れます。

【参考】厚生労働省|平成30年賃金構造基本統計調査
【参考】厚生労働省|平成29年賃金構造基本統計調査

監査法人の事務所の規模ごとの有資格者の平均年収

上述の平均年収は、税理士と公認会計士をあわせた平均年収であることとは別に、事業規模による違いを考慮せずに一律に平均年収を算出している点に注意を払う必要があります。事務所の事業規模ごとの平均年収は以下の通りです。

【10人以上の事務所規模】約892万円(全体の平均値)
【10人~99人の事務所規模】約675万円
【100人~999人の事務所規模】約767万円
【1,000人以上の事務所規模】約939万円

1,000人以上の事務所は4大会計事務所(監査法人)、100〜999人の事務所は中堅の会計事務所に相当します。つまり、Big4と中堅会計事務所とでは、この調査上では150万円~200万円の年収格差があることが分かります。

4大監査法人(Big4)所属の公認会計士の年収を解説

では、世界規模で活躍する4大監査法人(Big4)に所属する公認会計士の年収について見ていきましょう。

4大監査法人(Big4)とは?

まずは、4大監査法人(Big4)について簡単に紹介します。

現在日本には、世界4大会計事務所グループと提携している監査法人が4つ存在します。いずれも世界規模で活躍する大企業や大手メーカーなどを相手に監査業務を執り行っているため、4大監査法人に所属する公認会計士は激務に追われる反面、高収入が約束されています。

日本で活躍する4大監査法人(Big4)は以下の通りです。

・監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsuと提携)
・あずさ監査法人(KPMGと提携)
・EY新日本監査法人(Emst & Youngと提携)
・PwCあらた監査法人(PricewaterhouseCoopersと提携)

4大監査法人(Big4)に所属する従業員の人件費

4大監査法人に所属する公認会計士の年収は正式に公表されてはいませんが、各監査法人が提出している決算書類における人件費から、従業員一人ひとりに対する給料を導き出すことができます。

監査法人トーマツ所属の公認会計士の年収

監査法人トーマツに所属する人材は6,848人、そのうち公認会計士数は全体の46.4%である3,178人です。公表されている人件費総額から算出すると、従業員一人あたりの人件費は1,157万円と導かれます。

【参考】監査法人トーマツ|第52期業務及び財産の状況に関する説明書類

あずさ監査法人所属の公認会計士の年収

あずさ監査法人に所属する人材は6,218人、そのうち公認会計士数は全体の51.7%である3,216人です。公表されている人件費総額から算出すると、従業員一人あたりの人件費は1,088万円と導かれます。

【参考】あずさ監査法人|第35期業務及び財産状況説明書

EY新日本監査法人所属の公認会計士の年収

EY新日本監査法人に所属する人材は5,492人、そのうち公認会計士数は全体の55.4%である3,040人です。公表されている人件費総額から算出すると、従業員一人あたりの人件費は1,188万円と導かれます。

【参考】EY新日本監査法人|第20期業務及び財産の状況に関する説明書類

PwCあらた監査法人所属の公認会計士の年収

PwCあらた監査法人に所属する人材は3,251人、そのうち公認会計士数は全体の31.3%である1,018人です。公表されている人件費総額から算出すると、従業員一人あたりの人件費は978万円と導かれます。

【参考】PwCあらた監査法人|第14期業務及び財産の状況に関する説明書類

4大監査法人所属の公認会計士の人件費から分かること

トーマツ・あずさ・EY新日本では、企業全体で5,000〜7,000人の人員を抱え、そのうち有資格者である公認会計士が占める割合は46〜55%と約半数です。つまり、半数は有資格者ではない状態で、1人あたりの人件費は1,000万円を超えています。

人件費には、給料や賞与のほかに法定福利費や福利厚生費などが含まれており、給料の1.5〜2倍程度といわれているため、1人あたりの年収は1,000万円より低くなります。

しかし、有資格者が半数の割合でもこれだけ人件費がかかっていることから、有資格者である公認会計士の年収はかなり高いであろうことが予測可能です。

4大監査法人の公認会計士は役職ごとに年収が違う

以上より、4大監査法人に所属する公認会計士の年収が高いことが分かりましたが、実は4大監査法人に所属する公認会計士には役職が付されており、その役職に応じて年収が異なるという点に注意が必要です。

つまり、会計・監査のプロである公認会計士の中でも、新人公認会計士もいれば熟練の公認会計士もいるので、役職による差別化によって年収に違いが設けられているのです。

では、どのような役職があって、役職ごとにどの程度年収が異なるのでしょうか?以下をご参照ください。

4大監査法人所属の公認会計士の役職について

四大監査法人では、以下のように4つの役職に分かれています。

スタッフ
会計事務所に入社したばかりの駆け出し的ポジション。有資格者である公認会計士が就くポジションで、下にはアシスタントがいる。

シニアスタッフ
入社3〜4年程度でシニアスタッフに昇格。マネージャーの指示のもと業務を行うが、一人前の公認会計士として専門的な判断も任されるようになる。

マネージャー
中間管理職として、シニアスタッフなどへの指示出しや部署全体の業務管理、監査調書のレビューなどの業務を行う。残業手当がなくなるため、人によってはシニアスタッフ時代よりも年収が下がることも。全員がなれる訳ではない。

パートナー
監査意見における責任者から共同経営者まで様々。マネージャーと同じく全員がなれる訳ではないが、通常は18年目くらいから。

そして、それぞれの職階の中でAからDなどのグレードと呼ばれる階級があり、それぞれ給与テーブルらしきものがあります。

毎年7月の昇進の時期になると、例えば、『今回、スタッフのCからBに階級が上がったので、基本給が月2千円上がった』あるいは、『今年1年の評価が良くなかったから、去年と同じマネージャーBでステイね。来年は頑張って!』みたいな会話がされます。

4大監査法人所属公認会計士の役職ごとの年収について

大手の公認会計士の職階別の年収を紹介します。

まず、公認会計士試験に合格し、入所したての初年度では、1年目のスタッフDの年収は500万円~550万円(残業代込み)くらいではないでしょうか。2年目~3年目のスタッフで550万円~600万円(残業代込み)となるでしょう。

そして、シニアスタッフになると、年収は600~800万円超え(残業代込み)くらいは期待できると思います。このあたりになると、大きな買い物は勇気がいりますが、ちょっと欲しいものなら、なんでも買えるくらいにはなります。

監査法人に入所して5~6年も経つと、法人内で、この人は優秀かそれほどでもないかが、周りの人からもなんとなく見えてきます。優秀な人は入所後6年ほどでマネージャーに昇格し、こういう人は、その後の昇進も早い傾向があります。一方で、この辺で見切りをつけて転職する人も出てきます。マネージャー以上は管理職という位置づけになるので、残業代がつかなくなりますが、その分ボーナスがたくさん出ます。したがって、マネージャークラスの年収は800~1,200万円くらいではないでしょうか。このあたりは、自分でもこれから監査法人でこの後もずっとやっていこう、やっていけるという感触がつかめますので、結婚してマイホームや高級マンションをローンで購入する人も出てきます。

なお、マネージャーからパートナーへの昇進は人それぞれで、その間にシニアマネージャーという職階があるのが一般的です。マネージャー2年~3年、シニアマネージャー2年~3年を経て晴れてパートナーになることが出来ます。もちろん、全員がなれるわけではないので、マネージャーで頭打ちの人もたくさんいます。

パートナーになると、担当する会社の監査報告書にサインすることになり、その分、責任が重くなりますが、社会的地位も非常に高いものになります。パートナーの年収はまちまちで、なりたての頃は1,200万円くらい、パートナーの中でも経験豊富で大きな会社を担当する人は年収1,500万円~2,000万円くらいになるでしょう。そして大手監査法人の理事長ともなると3,000万円かそれ以上になると思います。

以上より、4大監査法人に所属する公認会計士の想定年収は以下のように考えられます。

・スタッフ:年収約500万円~600万円(残業代込)
・シニアスタッフ:年収約600万円~800万円超(残業代込)
・マネージャー(シニアマネージャー):年収約800万円~1,200万円超
・パートナー:年収約1,200万円~2,000万超

これから公認会計士を目指す方へ

以上のように、公認会計士の資格を取得して大手監査法人に入所してハイキャリアを歩むことができれば高い年収を手に入れることができます。大手監査法人の激務に耐えることができずに退所したとしても、中小監査法人でキャリアを積むことも可能ですし、自分で独立開業して年収数千万円を目指すことも夢ではありません。すべては、公認会計士資格を取得できたという努力に対する対価です。

公認会計士試験は最難関国家試験に数えられるため、そう簡単に合格できるものではありません。しかし、着実に勉強を重ねればやがて結果はついてきますし、万が一公認会計士試験を挫折したとしても、税理士試験挑戦や獲得したスキルをアピールして経理職のプロフェッショナルとして一般事業企業へ転職するという道にシフトすることもできるでしょう。

つまり、今、公認会計士試験へのチャレンジを始めることは、一切の無駄を生まないということです。会計・財務・簿記などの知識は必ずあなたのキャリアのどこかで役立つので、ぜひ積極的に挑戦してください!

公認会計士試験への挑戦についてはこちらのコラムでも紹介しています。あわせてご参照ください!

まとめ

監査法人に勤務する公認会計士の年収については以上です。大手監査法人の公認会計士の年収事情や、中小監査法人の公認会計士の年収のイメージがつかめたのではないでしょうか?

Big4などの会計事務所において、有資格者がどのくらいの年収をもらえるかは公開されていませんが、決算資料やOBの体験談、厚生労働省の調査データなどから推測することができます。

公認会計士などの有資格者になれば、平均よりかなり高い年収がもらえることは間違いありません。資格取得を検討している方は、万全の準備で臨めば人生も拓けるでしょう。

公認会計士の年収事情についてはこちらのコラムでも紹介しています。あわせてご参照ください!

この記事を書いたライター

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