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医療特化の会計事務所の強みは?キャリアアップにつながる?

公認会計士 大国光大
医療特化の会計事務所の強みは?キャリアアップにつながる?

一昔前までは、会計事務所というと税理士の所長が一人いて、残りはパートさん数名で回すというところがほとんどでした。しかし現在は各会計事務所も付加価値をつけることに重点を置いて様々な専門分野での開業をしています。
今回は医療特化の会計事務所の強みや、就職の際のキャリアについて現役公認会計士が解説します。

一般的な会計事務所の特徴

医療特化会計事務所の解説の前に、一般的な会計事務所について少しお話します。
冒頭にお話した通り、一般的な会計事務所では所長である税理士が一人いて、お客さんを基本的に本人かもう一人か二人の税理士補助の方が回ります。そして内勤のスタッフが記帳をしたり資料回収のためにお客さんのところへ訪問したりします。
何かに特化しているわけではなく、全ての税務に関連することを原則としますので、法人税、所得税、相続税というあらゆる税金を請け負いますし、業種に関しても個人商店から大規模な法人まで幅広く引き受けます。

このようにどんな仕事でも引き受けますし、窓口は基本的に税理士、もしくはベテラン職員となりますので、お客さんからすればワンストップサービスをしてもらっているという安心感が生まれます。
一方で、その所長が退任してしまえば事務所と契約している意味はなくなるため、顧客離れも懸念されます。また、なんでもできるというのは得意な業務はないとみなされるため、広く浅い知識はあるもののそれぞれの業種や税法に関しては深い知識は期待できないことも多いとされてしまいます。

医療特化会計事務所の特徴

一般的な会計事務所とは違い、医療特化会計事務所の場合は文字通り医療に特化しています。医療というと、病院、歯医者、薬局に加え、最近は介護や障がい者向け施設等も含まれるようになってきています。

医療特化会計事務所の特徴としては、医療に関することであれば会計事務所に求められていること以上のサービスを提供することとなります。例えば、医療関係に従事するドクターは医療に関する知識はスペシャリストですが、経営に関してはスペシャリストではありません。よって、開業をどのようにしたらよいか、どのように資金を借りて返済計画を立てたらよいかがわからない人がほとんどとなります。
そんな時、医療特化会計事務所であれば開業から経営戦略までサポートしているところがほとんどですので、会計の業務を超えたサポート体制を行っていることが特徴となります。

また、医療関係では会計の仕組みや事務の仕組みが他業種と比べて複雑になっていたり、煩雑であったりします。特に請求業務について誤ってしまうと入金されるべき資金が滞ってしまい、資金繰りに大きな影響を与えかねません。そのような悩みについても医療特化会計事務所のサポート体制は他の会計事務所との違いと言えます。

 医療特化会計事務所の強み

医療特化会計事務所の強み

医療特化会計事務所はこのように他の会計事務所と違い、医療に関することであれば会計以外の分野まで幅広く対応できる強みがあります。よって、医療関係者にとっては安心して開業からその後まで任せられる為、会計事務所に迷った際には選ばれる可能性が高くなると言えます。

また、医療特化会計事務所であれば他の医療関係者の経営も良く知っている為、成功事例や経営に役立つ取り組みを紹介することもできます。もちろん守秘義務があるため実名であったりライバルにノウハウを教えたりすることはありませんが、会計事務所なりに一般化したうえでの情報提供をすることができます。
さらに、医療関係では法人形態や従業員の雇用の仕方によって様々な補助金を活用することができます。一般的な会計事務所では一般的な補助金についての案内はできるものの、医療関係者に適合しやすい補助金についてはあまり知らないことが多い為、医療特化会計事務所に依頼するメリットは十分にあると考えられます。

この他、医療関係の会計や事務は複雑になる一方で、経営の仕方によれば利益も多額に出る商売ですので、顧問料も他の事業と比べて高くなる傾向にあります。よって、薄利多売のような戦略を採らなくとも会計事務所としては利益体質になっていくことが考えられます。

医療特化会計事務所就職後のキャリア

では、医療特化会計事務所に就職した場合のその職員のその後のキャリアはどのようになるでしょうか。
まず、何といっても医療特化の会計事務所への就職ですから自身が医療に強い人材となることができるでしょう。今後開業を考えている場合は同じように医療部門を立ち上げられますし、転職の際にも医療部門があれば優先して採用されることとなるでしょう。

また、一般的な法人税や所得税については自身でも勉強してノウハウを蓄積することが一定以上可能ですが、医療関係については現場を経験しないとなかなか能力アップにつながりません。よって、医療特化の会計事務所に就職することは自身の専門知識を増やす貴重な経験となることでしょう。

まとめ

医療特化会計事務所は会計事務所にとっても医療関係者にとっても有意義であるため、いわゆるwin-winの関係と言えます。これに加えて従業員についても専門的な能力が蓄積されるため、何か自身にプラスアルファを考えている場合はとても良い就職先であると言えます。

会計事務所への転職事情については下記のコラムでも詳しく紹介していますので、あわせて是非ご覧ください。
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この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:転職・業界動向

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