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外資系投資銀行からなぜベンチャーへ?ジラフCFO中井さんにインタビュー

HUPRO 編集部
外資系投資銀行からなぜベンチャーへ?ジラフCFO中井さんにインタビュー

「新たなスタンダードを生み出し、世界の発展に貢献する」を企業理念に、独自の目線で市場を選定し、「ヒカカク!」、「最安修理ドットコム」や「スマホのマーケット」といったこれまでに無いサービスを送り出し、2017年末には「Peing~質問箱~」の買収も発表したベンチャー企業、株式会社ジラフ(以下ジラフ)*にてCFO(最高財務責任者)を務める中井基樹(なかいもとき)さん(27歳)。中井さんがなぜジラフに転職し、ジラフでどのような思いを持って仕事をされているのか。その理由や中井さんのキャリア観についてお伺いします!

ジラフに入るまでの経歴

20代で外資系投資銀行→起業→事業会社→ベンチャーと濃密な経験をしてきた中井さん。一貫しているマインドは、「自分でビジネスをしてみたい」

−− こんにちは。はじめに、中井さんがジラフのCFOになるまでの経歴について教えてください。

中井さん(以下中井):高校を卒業後、東大などの国内の大学を目指して浪人していたのですが、現役で東大や京大に行った同級生から聞く大学の話はサークルの話ばかり。大学に行くからにはもっとしっかりと勉強をしたい、特にビジネスの勉強がしたいと思い、一念発起。両親に直談判をしてイギリス・マンチェスター大学のビジネススクールに入学しました。
大学卒業後、将来起業したいという思いがあり、起業をするための勉強もでき、かつ起業資金を貯められるぐらい給料の高い外資系投資銀行・JPモルガンに就職を決めました。
JPモルガンに入社して1年8ヶ月後、起業資金が貯まってきたこともあり、家具・インテリアの送客サイトを運営する会社を起業しました。ただ、この会社は自分が思っていたようには上手くいかず、会社をたたんで、DeNAへ転職しました。
DeNAは、当時自分に不足していると感じていた事業経験を積むために選択しました。そこで色々と勉強させていただき、色々な方と会わせていただいて、社会人としての幅も広げられたと感じています。転職から約1年後、イギリス留学時代の友人で当時ジラフの執行役員だった村田と再会し、それが縁で株式会社ジラフのCFOポストのオファーを受けて今に至ります。

−− すごく濃密な20代ですね。圧倒されました。中井さんがイギリスに留学した時から抱いていた「ビジネスをしてみたい」という気持ちはどのような経緯で芽生えたのでしょうか?

中井:私は、父がサラリーマンで母が専業主婦という一般的な家庭の出身ですが、祖父が経営者だったことに影響を受けたのか、幼い頃から「自分にしかできないこと」をやりたいと漠然と思っていました。そのような思いが徐々に、「自分で会社を作りたい、事業を作りたい」となり、今でも一貫して「自分でビジネスをしてみたい」という気持ちを持っています。

−− そうなんですね。では、今まで経験されてきたそれぞれのフィールドでどのような「思い」を持って、仕事に取り組まれてきましたか?

中井:それぞれのフィールドで短期と中期の目標を持つようにしていました。中期の目標から逆算して、目標達成のために必要な経験(短期目標)ができるところ、という切り口で仕事を選んできました。例えば、JPモルガン時代であれば、「起業したい」という中期目標に対して、「社会人経験」、「ファイナンスの知識・経験」、「金銭面(貯金)」という短期目標の達成が必要と考え、それらの経験ができるJPモルガンを選んだという具合です。

−− その中で、ジラフではどのようなマインドで仕事をされているのでしょうか?

中井:起業で得たゼロイチの経験、DeNAで得た10→100の経験を糧に、IPOや事業の拡大を通して、「自分の会社を自分自身でドライブしていく」という経験をしていきたいと思っています。

ジラフにおけるCFOとしての仕事

CFOの役割はファイナンスだけではない。事業にもコミットして、ドライブをしていける人が最強のCFO

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−− ジラフのCFOとしてどのような業務をされていますか?

中井:本当に多岐に渡ります。まず、ファイナンス(資金調達)面で言えば、社長と二人三脚で投資家、株主への対応から契約書の作成まで一貫して行っています。また、人事面では、採用フローの構築や面接対応。経理面では、振込業務や金銭管理。総務面での全社的なルールの策定等も行っています。今までお話した内容は、いわゆるCFO、管理部門としての業務ですが、個人的な考えとしては、CFOは管理業務だけやっていれば良いとは思いません。しっかりと事業にコミットして、事業をドライブしていけるCFOが最強のCFOだという信念を持っています。なので、弊社のプロダクト別のミーティングにもすべて出席して、もっとこのような展開ができるのではないのか?このようにしたら売上が上がるのではないか?といった観点から膝詰めで毎日議論しています。

−− もはやCFOという役職ではなくて、他に新しい呼び名がありそうなぐらい業務内容が幅広いですね!

中井:そうですね(笑)ただ、他社さんのことは良く分かりませんが、スタートアップのCFOは皆さんそれなりに泥臭いことも含めて何でもやってると思いますよ。

−− それでは、スタートアップやベンチャー企業のCFOとしてのやりがいを教えてください。

中井:CFOは色々な人に対峙できるので、そこに面白みがあると思っています。サービスのユーザーだけでなく、社内の役員・従業員、投資家、株主等様々です。このように自分の周りの様々なステークホルダーをハッピーに出来た時には、とてもやりがいを感じます。これはかなり具体的な例ではあるのですが、オフィスを移転するのに伴い*、普段頑張ってくれている社員のために社員が楽しんでもらえるようなパーティーを企画していて、私が幹事を務めています。やっぱり社員がハッピーだと自分もハッピーに感じるので。

−− すごいですね!ちなみにパーティーでは何をされるんですか?

中井:さっきまで幹事でミーティングをしていたのですが、紛糾してしまってまだ決まってないです(笑)やるんだったらしっかりやりたいのでね!

−− 社長とはどのような関係性を築いているのでしょうか?というのも、大企業だと仮に経営陣になれたとしても、社長と他の役員の関係性って、あくまで上司と部下であり続けると思うのですが、ベンチャー企業だと、社長と年齢やバックグラウンドが全く異なる人が経営陣に招かれることも多いので、そこの違いについてお聞きしたいです。

中井:弊社の場合、社長が創業者兼社長なので、常に彼に対する敬意はあります。ただ、社長の言うことを聞くだけのイエスマンでは私のいる意味がありませんので、社長にとって耳の痛いことや、社長が気付けていないことをきちんとフォローしていくことが私の役目だと思っています。これは社長との関係性に限ったことではなく、営業の部長だろうが、総務の一社員だろうが、言っていることが正しければ、それを受け入れるべきだし、間違っていれば指摘すべきだと思っています。誰とでもフラットな関係でいるというのは私のモットーでもありますね。

−− 社内的にもそのような雰囲気はあるんでしょうか?

中井:そうですね。会社全体としてもすごくフラットな雰囲気で、”reasonable”、理の通った会社です。大企業にありがちな社内政治や誰かの顔色を気遣いながら仕事している人もいないですし。

ジラフの管理部門の体制や雰囲気について

気持ちよく、毎日やりがいを感じて仕事に取り組める場所。それがジラフ。

−− ジラフの管理部門はどのような体制ですか?

中井:ちょっと組織が複雑なのですが、私は管理統括部の部長と経営戦略統括部の副部長を兼任しています。簡単にいうと、管理統括部は名前の通り「管理業務」を行っていて、総務と経理の役割を担っています。今後は上場準備室として人を増やしていく予定です。もう一つの経営戦略部では人事、マーケティング、事業企画の役割があり、より事業に近い部門です。

−− 管理統括部と経営戦略統括部に垣根はありますか?

中井:もちろん部としては異なるので色に違いはありますが、私が両方の部署で役職を兼任しているので、あまり垣根もなく、私としてはどちらの部も自分のチームという感覚であまりラインは引いていません。飲み会も両方の部あわせて一緒に開催しますしね。

−− ちなみに飲み会とかは多いですか?

中井:他社さんとの比較はあまり分かりませんが、月に1回、締め会という自由参加での全社的な飲み会をやっているのと、新しいメンバーが増えたタイミングで飲み会なりランチなりの形で部ごとに歓迎会をしてます。

−− ベンチャー企業、ジラフとしてのベネフィットは何かありますか?

中井:うーーん。正直ないんじゃないですかね!(笑)
ベネフィットありきの打算的な人はベンチャー企業に飛び込めないかと思います。ほとんどのメンバーが前職から給料を下げてきていますし、住宅ローンの審査が厳しくなったり、合コンで社名を言っても「へー」の一言で次の話題にいかれたり・・・(笑)。唯一あるとすれば、気持ちよく、毎日やりがいを感じながら本気で仕事に取り組める環境があるということですかね。大企業のような安定はなくとも、情熱をもって働ける環境を提供できているという自負はあります。

その他、ざっくばらんに。

プライベートでは料理人という顔も?小麦粉からパスタを作るCFO

−− 中井さんにとって、一番幸せなお金の使い道って何だと思いますか?

中井:難しい質問ですが、自分だけが幸せになるお金の使い方は面白くないな、と。例えば、事業に対する投資であれば、単に自分が儲かるかだけでなく、その事業が社会のためになっているかを大事にしています。ビジネススクールで学んだということもあり、お金は持ってて貯金をしているだけでは経済は回らないという意識があります。経済を回す、社会に還元することのできるお金の使い方が有意義だと考えています。

−− ありがとうございます。プライベートでこんな買い物がしたいとかはありますか?

中井:物欲があまりないので、あまり買い物はしませんね。ただ、野球と料理が趣味なので、最近ではちょっと良いスパイクを買ったり、パスタマシーンを買いました。粉からこねて、パスタを作る機械です。セモリナ粉っていう専用の粉を使って作るんです。

−− 何て言いました?(笑)

中井:デュラムセモリナ粉という小麦粉で、成城○井とかでしか売ってないんですよ。

−− 中井さんが話を聞いてみたい、又は尊敬しているCFOやマネジメントの方はいらっしゃいますか?

中井:株式会社マイネット(以下マイネット)というところで副社長をやっている嶺井 政人さんです。この方は自分自身のロールモデルでもあり、大変尊敬しています。

−− 嶺井さんとお会いしたことはありますか?

中井: DeNA時代に、当時の上司から「中井に会わせたい人がいる」と言われ、お会いしたのがきっかけです。外資系金融機関からIT業界に転身してくる人はかなり珍しいので、私のロールモデルになるんじゃないか?ということで上司が紹介してくれました。最初にお会いした際に、「いいですよ!」の二つ返事で、私のために時間を取ってくださったのをよく覚えています。そこからの関係で、現在も尊敬しています。

−− どういった点でそう感じているのですか?

中井:上司が紹介して下さった理由の一つでもあるのですが、嶺井さんは私とバックグラウンドが似ています。外資系金融機関出身、その後IT企業のマイネットにCFOとして入社し、今副社長をされています。まだ30代前半にもかかわらず、東証一部のマイネットで副社長をされていること自体がすごいのですが、それだけでなく、嶺井さんの人間性が抜群に素敵だと感じています。とても優秀で、副社長という高いポストについているのに、非常に腰が低いのです。私自身、将来どんな立場になったとしても、彼のような謙虚な人間でありたい、と思っています。

−− 最後に。中井さん自身の今後のキャリアプランや夢はありますか?

中井:まず、ジラフできちんと結果を出すことです。投資してもらっている株主にリターンを返すことは絶対ですし、ジラフが社会に対して価値のある事業を展開していくことが絶対命題だと考えています。
ジラフでの仕事をやりきって、内外から一定の評価を得ることができたら、今までの自分の経験を色々なところで活かしていきたいと思っています。ジラフを今のスタートアップからIPOまで成長させ、その後も事業を拡大させることで、「中井という人間にCFOを任せれば、絶対にうちの会社は強くなる」と外部の人からも言ってもらえるようなCFOを目指していきます。

−− 今日はありがとうございました。

*今回インタビューさせて頂いたジラフのwebページはコチラ↓ 
http://jiraffe.co.jp

*2017年12月に西新宿から中野坂上にオフィス移転されています。

この記事を書いたライター

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