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決算業務におけるスケジュールを把握しよう!

HUPRO 編集部
決算業務におけるスケジュールを把握しよう!

経理業務の年間の総まとめである決算。会社は1年を活動の単位である「1事業年度」として活動しています。この1事業年度の締めくくりをするのが決算業務です。決算書類を作成して関係者に報告し、法人税等の申告をします。決算業務のある月は月次業務と決算の年次業務が重なるため、1年で一番忙しい時期といってよいでしょう。本記事では、決算業務のスケジュールと、その時にやっておくべきことについて解説します。

決算月は3月と12月が多い

企業の多くは3月、次に12月を決算月としています。一番多い3月は、国や自治体の会計年度に合わせて税法改正なども行われることから、12月は国際会計基準に合わせて行う企業が多く採用しています。このほかにも、小売業では比較的閑散期である2月や8月に決算を行う企業もあります。

決算月には、月次で毎回行う業務に加えて、決算にまつわる年次の業務に関するタスクの調整を行うことが必要です。

決算月の月次業務について

月次業務は毎月行う仕事のことです。経理部門における月次業務には以下のようなものがあります。
・取引先からの入金確認と支払い
・請求書発行
・給与計算、保険料などの支払い
これらは、決算に関係なく毎月行われますが、決算月に気を付けたいのが入金と請求です。それぞれの内容について当年度に組み入れるのか、あるいは次年度になるのかをしっかりと確認し、期ズレを起こさないようにしましょう。

上場・非上場会社のそれぞれの決算業務スケジュール

決算業務は、上場企業と非上場企業では作業の内容に違いがあります。それぞれの作業について見ていきましょう。

非上場企業の決算業務のスケジュール

非上場企業は、月次作業の締めから、決算日の3ヶ月以内に行われる株主総会提出までに以下の作業を行う必要があります。もし、会計監査人の監査が必要な会社であれば、監査期間をみて、2ヶ月半ほどのスケジュールとなりますので、余裕をもって作業を行うようにしましょう。

(1)資産と負債の残高を確定する

決算日時点で資産と負債の残高がいくらかを決定します。
例えば現金残高は、金庫の中にある現金や、それぞれの部署における小口現金を数えて、それが会計システムにおける現金の残高と一致しているかどうかの確認が必要です。
また、固定資産については、取得や売却による増減を加味して減価償却費を算出します。

各部署における請求書や領収証をすべて集め、当年度の売上・支払債務などの損益を確定します。

(2)税金の計算を行う

決算と共に申告すべき税金の額を計算する必要があります。主なものは法人税、住民税、事業税、消費税です。
税金の計算については、専門家である税理士や公認会計士に依頼することになりますが、企業における決算月は重複することが多いため、事前に(1)の作業をいつまでに終えるかを決めておきましょう。

(3)決算書を作成する

確定した残高を組み合わせて貸借対照表・損益計算書などの財務諸表を作成します。
決算書は、取締役会・監査役・会計監査人などのチェックを受けてから、株主総会に提出されます。
株主総会は決算日から3カ月以内に開催されるため、ここまでの作業を決算日から3カ月以内に行います。
会計監査人がいる会社においては、監査が少なくとも2週間ほど入りますから、3月決算を前提とすると、少なくとも5月中旬までには作業を終えておく必要があります。

上場企業の決算業務のスケジュール

非上場企業に比べると、上場企業の場合は作成すべき書類が多いため、さらにタイトなスケジュールとなります。

基本的な業務の流れは非上場企業と同じですが、各証券取引所が上場企業に作成を求めている速報資料である「決算短信」を決算日から45日以内に開示する必要があります。

「決算短信」は速報資料とはいえ、貸借対照表・損益計算書・注記事項をはじめとして、重要なものはほぼすべて掲載されます。

つまり、非上場企業では最大2ヶ月半かけて行っていた作業を、約1ヶ月半以内に終える必要があります。ただ、決算単身については速報性が重視されるため、公認会計士による監査は義務づけられていません。

しかし、決算書と共に提出する有価証券報告書の内容が整合しない場合には問題があるため、多くの企業は決算短信を開示する時点で、重要事項については監査を受けるようにしています。
つまり、監査期間を考えると決算短信の作成は約1ヶ月とかなりタイトな日程で作成する必要があります。

同時に、非上場企業との大きな違いとしては、グループ企業の連結決算も求められている点があります。連結作業も通常は1週間ほどかかり、その後に監査があります。
ということは、上場企業の傘下にある各社においても翌月中旬くらいには、経理チームの作業を完了させなければなりません。

経理業務は日次・月次・年次とそれぞれについてやることがありますが、すべてはこの決算業務のために日々積み重ねていることです。このように、決算業務については多くの作業が必要になりますので、すべきことを整理したうえで、全体と担当者別にタスク管理できるようにスケジューリングをしておくと、決算における業務をスムーズに進行することができますよ。

この記事を書いたライター

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