会計事務所の福利厚生はどうなっているのでしょうか?会計事務所への就職を考えている人にとって気になるところです。会計事務所の福利厚生を一般企業のそれと比較した場合、一般的に充実していないことが多いといわれています。この記事では、個人事務所と大手事務所の福利厚生について比較しながら解説します。
給与は福利厚生とは直接関係ありませんが、大手事務所と小規模事務所とで傾向の違いが見てとれるので、前提として簡単に述べます。
会計事務所の給与体系は事務所によって千差万別です。中には小規模でも専門領域に特化しているために高い報酬を獲得している事務所もあるので、一概には言えないものの、従業員が多い事務所ほど平均給与は高くなる傾向にあります。
会計事務所は、従業員が10名人以下の小規模な事務所がほとんどですが、そのような事務所では、高い給与を望むことは難しいといえるでしょう。個々の事務所によって給与体系はちがうため、あくまで目安でしかありませんが、就職をする際のポイントとして頭の中にいれておくとよいでしょう。
福利厚生の面でも大手事務所と小規模事務所では違いがあります。
前述のように、会計事務所は従業員が10人以下の小規模事務所が多いです。そのような事務所の中には、厚生年金や健康保険などの社会保険関係に加入していないケースもあります。その場合、従業員は個人で国民健康保険や国民年金に加入しなければなりません。また、退職金制度を設けていない事務所も多くあることから、その場合は退職後の生活にも自分で対策をする必要があるでしょう。
従業員の多い大手の事務所では、一般企業と同等の福利厚生が充実している事務所も見受けられます。ただし、健康保険や退職金制度などについては整備されているのが一般的ですが、その他の部分は各企業によってまちまちなです。各事務所の福利厚生については、企業の採用HPや求人情報などに記載されていますので、応募を検討する際などは必ず事前に見ておきましょう。
ただ、税理士業界の福利厚生については、比較的「整っていない」「少ない」というイメージがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?そんな税理士業界全体の福利厚生の現状について、次の章で見ていきましょう。
税理士試験の受験生が減少し、若手の税理士が少ないのが現状です。そのため、業界全体が慢性的な人材不足に悩まされています。
その原因の一つとして、「税理士業界=福利厚生がよくな」というイメージがあることが挙げられています。
その打開策として、福利厚生の向上や教育体制の充実に向けて手を打ち始める会計事務所も増加傾向にあります。社会全体で働き方改革が本格化してきていることも、この流れを後押ししていると見られています。
旧態依然とした環境に置かれていた税理士業界が危機感を抱き、変わり始めたことは大きな前進といえるでしょう。
福利厚生の充実を実現している会計事務所は、どんな制度を設けているのか気になるところです。
いくつか事例を挙げてみます。
ワークライフバランスを重視し家族との時間やプライベートを充実させるため、ノー残業デーや退社時刻の設定を設けています。
退職後の生活に不安があるようでは、優秀な人材を確保するのは困難です。その不安を解消するために中小企業退職金共済に加入して勤続年数に応じた退職金の受け取りを可能にしました。
また、いい仕事をするためには、リフレッシュが必要であると考え、単に有給休暇制度を設けただけでなく、それを確実に取得させるようにしました。
先に述べたように、会計事務所は業界全体として、慢性的な人手不足に悩まされています。逆にいえば、優秀な人材を確保して安定した経営をしている会計事務所は、福利厚生を充実させている傾向にあります。しかし一口に福利厚生といってもさまざまな要素があります。
そのため、大事なのはあくまで自分の描いたキャリアプランにマッチした福利厚生をその会計事務所が設けているかどうかという部分です。例えば、その事務所に一生勤める覚悟であれば、退職金制度が充実しているかが一つのポイントになるでしょう。また独立ありきなら、業務内容や教育体制がどれだけ整っているかがポイントになるかもしれません。自分にとってどんな福利厚生があると良いのかを、よく考えましょう。