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税理士がワークライフバランスを充実させることは可能?ポイントやオススメの転職先をご紹介します!

Hupro Magazine編集部 川辺
税理士がワークライフバランスを充実させることは可能?ポイントやオススメの転職先をご紹介します!

税理士として働く限り、ワークライフバランスを重視することは諦めるしかないと考えている方は少なくないかもしれません。しかし働き方改革が叫ばれる昨今、この状況は徐々に変わりつつあります。そこで今回は、税理士のワークライフバランスについて、最新市場の状況やオススメの転職先などをご紹介します。

税理士業界のワークライフバランスはどうなっている?

上記のような多様な働き方によりワークライフバランスを保つことができますが、税理士業界のワークライフバランスはどうなっているのでしょうか?

激務というイメージだった税理士業界の変貌

「税理士業界=激務」というイメージは今も根強く残っています。実際、繁忙期の中でも12月から3月の時期は残業が多くなったり、土日の出勤が必要な事務所が今も存在しています。

一方、働き方改革が急速に進められている日本において、会計事務所をはじめとした税理士業界にも働き方改革が求められています。また、税理士業界の転職市場は慢性的な売り手市場となっているため、採用側がなるべく応募してもらいやすい環境や制度を整備しておかないと、採用しづらくなってしまいます。そんな中でより良い人材を採用すべく、ワークライフバランスの実現が可能な環境を整える事務所が増えてきました

コロナ禍による多様な働き方の浸透

コロナウイルスは中国で広まったのち、2020年には日本でも広くまん延しました。その影響で、人と人との接触による感染リスクを極力避けるため、通勤のピークタイムを避ける目的で一般的となったフレックス制と共に、リモートワーク職場内や通勤時での感染を防ぐ目的で導入する事業所が増え、それらの働き方の認知度も高まりました

その影響はほとんど制度が普及していなかった税理士業界にも波及しました。その結果、多くの会計事務所などでリモートワークなどが導入されるようになったのです。

コロナ禍後も制度は残存する傾向に

2023年以降はコロナウイルスの影響も落ち着き、在宅勤務の制度を廃止する事務所が出てきた一方で、引き続き制度を残している事務所も多く存在します。その理由として、親の介護や子息の保育園の送迎など、家庭の事情を抱える方にもニーズの高い働き方であることが挙げられます。在宅勤務ができる会計事務所の人気は高いので、良い人材を採用するためにこの制度を敢えて残しているという事務所も多いのです。

業界の女性活躍推進も後押しに

かつては受験生の多くが男性だった税理士試験ですが、令和6年度の税理士試験では28%以上の受験生が女性となっています。そのため、税理士を採用するためにはライフイベントが多い傾向にある女性の働きやすい環境を作る必要があることも、税理士業界のワークライフバランス重視のトレンドを突き動かしているといえます。

出典:令和6年度(第74回)税理士試験結果表│国税庁

ワークライフバランスに関わる制度の税理士業界における導入状況

税理士業界全体でワークライフバランスが重視されていることがお分かりいただけたところで、ここではリモートワークやフレックスといった各制度ごとに、導入状況を見ていきましょう。

リモートワーク(在宅勤務)

先でも触れた通り、コロナ禍後もリモートワークの導入を継続している事務所は多く存在しています。通勤時間を有効利用できる子育てや介護で目が離せない親族のそばにいながら働けるなどのメリットがあるため、人気の働き方です。

ただ、会社にとっては業務中の社員を直接確認することができないため、本当に仕事をしているのかという懸念が出てしまうこともあります。そのため、「慣れてきたらリモートワーク可能」といった求人も良く見られます。
また、出勤の全日程でリモートワークを活用する「フルリモート」よりも週2,3回程度の「一部リモート可」といった求人が多く見られます。これは、担当クライアント先の訪問などオフラインで行う業務が多いことが影響していると考えられます。

フレックス制度

勤務の開始時間(終了時間)を柔軟に選ぶことができるフレックス制度は、リモートワークに次いで人気の働き方です。

フレックス制度についても、導入を継続する事務所が多く、活用する従業員も多いようです。家庭の事情により、勤務時間を調整しつつ働きたいという方だけでなく、税理士試験勉強のために予備校に通いたいという方の活用も多いです。

リモートワークに比べると認知度が低いため、導入している事務所もやや限られているものの、長期的に働いてくれる税理士に入社してほしいという事務所を中心に、導入している傾向にあります。

時短勤務

時短勤務は、文字通り定時より短い時間で勤務する働き方のことです。家庭環境など、様々な理由により固定で働けない時間がある人などが活用する働き方です。
時短勤務についても、税理士業界ではフレックス制度と同程度の導入状況です。ただ業務が立て込む繁忙期には、時短勤務といえど残業が発生するケースが多く、実際に利用している方は多くないようです。

各種休暇

年間休日有給休暇特別休暇についても見ていきます。年間休日については、土日祝日休みが一般的です。繁忙期は土曜出勤を求めるという事務所も多いですが、その分の休みを平日で取れるケースがほとんどです。
有給休暇や特別休暇は事務所ごとに幅があるものの、現在は多くの事務所で導入されている制度です。税理士試験受験生は当日およびそれまでの数日~一週間で試験休暇が取得できる事務所もあるものの、税理士は利用できないため、その分柔軟に有給を使えるとの声もあります。

税理士業界でワークライフバランスを実現したい人の特徴

このように近年は働きやすい会計事務所も多い税理士業界ですが、ワークライフバランスを実現したい人は仕事とどのようなことを両立したいのか、そしてどのように実現しているのか、見ていきましょう。

子育てとの両立

将来の結婚出産を考えている女性にとって、勤めている会計事務所がワークライフバランスに対してどれだけの理解があるかは大事な点です。中には結婚を機にワークライフバランスに対して理解のある会計事務所への転職を考える女性もいます

先ほど紹介した、働き方改革などの導入により労働環境に無頓着だった会計事務所も徐々に改善を図る傾向が見られており、女性が働きやすい環境がある事務所も多くあります。
具体的には下記のような働き方や福利厚生があると働きやすいと言えるでしょう。

・産休・育休
・時短勤務・フレックスタイム制
・リモートワーク

産休や育休の福利厚生が導入されていると、産前産後の収入面でも安心できますし、職場復帰後のサポートも手厚い傾向にあるため、休暇前と同じような仕事ができるか、という懸念も払しょくしやすくなります。

また産後も子育てが続いていくわけですが、子育てしながら仕事をする際、特にネックになってくるのが保育園などへの送り迎えです。その際も時短勤務やフレックスタイム制があると、送迎の時間に合わせて勤務時間を調節できるのです。

もちろん家での子育てが必要になるケースも多いと思いますので、子どもを見守りながら仕事ができるリモートワークがあるとありがたいという方も多いです。

今後も働き方改革の流れが続き、子育て中の女性が働きやすくなる環境はますます整備されていくでしょう

税理士試験勉強との両立

会計事務所では、税理士になるために税理士試験の勉強をする方も多いですが、そのような方にとって良い環境と言える働き方や福利厚生は下記が挙げられます。

・残業時間が少ない
・時短勤務・フレックスタイム制
・資格手当がある

税理士は難関国家資格であるため、膨大な勉強時間を確保する必要があります。会計事務所に勤めながら税理士を目指すことによって、実務を通じて知識を習得できるというメリットはあるものの、仕事以外の時間での学習も欠かせないため、残業時間が少なく終業後の勉強が可能な環境であるとよいでしょう。

また、独学で合格を目指す方は少なく、予備校や専門学校に通うのが一般的です。働きながら学校に通う方は主に夜間の授業を受けるので、通学する時だけ時短勤務フレックスタイム制を利用するという選択ができる事務所だと働きやすいといえます。

資格手当については、一科目ごとに加算される事務所も多くあります。全ての科目を取り終わるまで数年かかるケースが多い税理士試験において、科目ごとに昇給していくというのは、予備校への学費なども払わなければならない受験生にとっては、安心できる環境と言えるでしょう。

大手税理士法人と個人会計事務所の違い

大手事務所と個人事務所のどちらがワークライフバランス面で充実しているのでしょうか。

大手会計事務所

Big4税理士法人などの大手会計事務所は、上場企業を初めとする大きなクライアントを多数抱えています。そのため求められるクオリティが高く納期も厳しくなりがちです。収入面で厚遇されるのと引き換えに、繁忙期は長時間労働を強いられ肉体的・精神的な不調を抱えながら仕事をしているケースもあります。

一方で大手会計事務所は福利厚生や休暇制度がしっかりと整備されていることが多いです。しかしこれも事務所によって異なるので下調べが必要です。

個人会計事務所

個人事務所の場合、所長が全ての事項について決裁権を持っています。もし所長がワークライフバランスに理解があれば、就業条件についてかなり柔軟に対応してもらえるかもしれません。
「時短勤務」、「週3日勤務」などに応じてくれる可能性もあるわけです。
優良な個人会計事務所に出会えれば、自分の理想とするワークライフバランスを手に入れることができるかもしれません。

税理士がワークライフバランスを重視できる税理士法人ー実際の働き方も紹介

ここでは、税理士がワークライフバランスを充実できる環境が整っている事務所として、税理士法人TOMOをご紹介します!

税理士法人TOMOは東京都港区に本社を、神奈川県川崎市に支店を構える税理士法人で、「クライアントと共に」を基本理念としています。法人顧問業務や事業承継コンサルティング、相続対策コンサルティング・相続税申告、M&Aサポートなどを行っています。

働く環境としましては、リモートワーク週3日ほど(制限なし)、フレックスタイム制(コアタイム/11時~16時)が利用可能となっております。また休暇につきましても完全週休二日制であり、産休や育休、試験休暇の取得も可能です。

ですので税理士の方にはもちろん、税理士試験の勉強中の方にもオススメの求人であり、複数名の所属スタッフが勉強しながら働いていらっしゃいます。税理士法人TOMOについてもっと知りたい方は、以下より事務所様のサイトをご覧ください。

税理士法人TOMO│HP

事業会社に就職するという方法

事業会社は、福利厚生面が会計事務所に比べて充実しているといわれています。また、特に大手企業となると残業時間があまり多くなかったりなど、各種制度も充実している傾向があります。そのため、税理士の資格を持っていてもあえて会計事務所ではなく一般企業に就職する人もいます。

ただし注意しなければならない点もあります。それは福利厚生が充実しているということとワークライフバランスが充実していることは一致しないということです。税理士の資格を持っていることから、責任のある立場にたち業務量が増えるのでどうしても残業が多くなります。
ワークライフバランスと業務時間の関係は切り離せないことを考えると本末転倒になってしまう恐れもあるのです。

また事業会社に転職する場合、会計事務所の場合と比べてどのような仕事内容なのかを注意深くチェックする必要があります。自分の今までの専門を経理職で活かせないケースも多いためです。

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ワークライフバランスが整っているか判別するポイント

働き方改革が浸透しているとはいえ、まだまだ安定した働き方ができない職場が存在するのが、残念ながら現実です。そのような職場を選ばないためのポイントを紹介します。

残業時間

ワークライフバランスを気にするのであれば、当然残業時間は確認するポイントでしょう。ただし、よく記載されている月平均残業時間だけを当てにしないようにしましょう。なぜなら平均ではそこまで多くないように見えても、特定の月だけ過度に多くなっている可能性があるからです。
そのような恐れがある理由として、税理士業界には繁忙期という業務量が多くなる時期があることが挙げられます。それ以外の閑散期は忙しくなくても、繁忙期はワークライフバランスを保てない可能性がありますので、繁忙期の残業時間、つまり発生する最大の残業時間によって応募するかを判断すべきなのです。

離職率

離職の要因が必ずしもワークライフバランスが保てないから、とは限らないものの、離職率は確認しておくべきポイントです。具体的には30%以上の離職率の職場に関しては、注意する必要があります。
ただ、離職率をホームページや採用サイトに記載している職場は、その低さをアピールするために書いていることが一般的です。求人票における必須項目では無いため、離職率の高い職場ほど記載していない可能性が高くなります。

そのため、転職エージェントを活用することなどにより、応募しようとしている求人のリアルを事前に把握しておくのがよいでしょう。

女性比率

男女の格差は小さくなってきているものの、出産や子育てによる休職や長期休暇の取得、急なお迎えに対応しやすい環境を求めるのは、まだまだ女性が主であるといえます。そのため、女性が多い職場はワークライフバランスを保ちやすい制度や福利厚生が多い傾向にあります。

業界の特性上、平均的に男性比率が高い職場ではありますので、50%以上が女性の事務所であれば働きやすい環境が整っている可能性が高いでしょう。ただ離職率と同じく女性比率についても、なかなか一般的な情報として公開されにくいため、転職エージェントの活用がオススメです。

福利厚生

福利厚生については求人情報にも記載されているため、自分の希望する環境になり得る制度があるかどうか確認するようにしましょう。ただし、制度があったとしても実際に利用されているかは別問題です。例えば産休や育休であれば、利用実績復職したケースがあるかなども確認しておく必要があります。

ワークライフバランスを重視すると年収は低くなる?

給与体系が働き方によって変わることは基本的にありません
ただし、ワークライフバランスを重視することで年収が下がってしまう可能性については、留意しておく必要があります

時短勤務などにより働く時間が少なくなるケースだけでなく、残業があまり発生しない職場でも、年収は下がってしまいます。また、リモートワークだと日常業務や出張などに対応できないことがあり、任せられる業務やポジションが限られる可能性があります。その場合も年収アップのチャンスを逃すことになりかねないのです。

最低限このくらいの年収は担保したい」という下限を設定しておき、そのラインとワークライフバランスとを天秤に掛ける意識を、常にしておく必要があるのです。

ワークライフバランスの充実した会計事務所や事業会社に転職するには

会計事務所や事業会社の労働環境は、上記のように自分で調べるだけではよく分からないことも多く、自分で転職先を探すのは時間的にも難しいという人もいると思います。そういった方は、士業・管理部門特化の転職エージェントである当社ヒュープロのような、エージェントを利用するのも方法の一つです。

しかしその際に注意しなければならない点があります。冒頭にも書きましたが、ワークライフバランスの定義は人によって異なります
そのため、自分なりのワークライフバランスをイメージしておく必要があります。そして、それをしっかり人に言葉で伝えられるようにしなければなりません。転職エージェントを利用するにしても、自分の希望をきちんと相手に伝えることができなければ理想の会社に転職することは難しくなってしまいます。

自分が何を重視して、どのようなところに転職したいのか、言語化した上でエージェントに相談してみましょう。

ワークライフバランスの改善に成功した税理士の転職事例

最後に、当社ヒュープロが実際にご支援し、転職によってワークライフバランスの改善をされた事例をご紹介します。

激務の個人事務所から中堅税理士法人への転職

Cさん
31歳 男性
資格:税理士
転職前:個人税理士事務所
転職後:中堅税理士法人

税理士事務所で働きながら、20代後半で税理士を取得されたCさん。資格を活かしてその職場で業務の幅を広げようと考えていた中で、想定以上の業務が降りかかり、激務に。繁忙期を何度か過ごしていく中で、ついに限界を感じ、転職を検討するようになりました。

適切な業務量で残業が少なめな環境で働きたいと考えていたCさんに対して、当社キャリアアドバイザーからは残業が少なめな事務所をご紹介。中でも社員数30名程度で個人に業務の負担がかかりにくい中堅税理士法人からの内定を受諾されました。

大手税理士法人から女性代表の税理士事務所への転職

Jさん
38歳 女性
資格:税理士
転職前:大手税理士法人
転職後:税理士事務所

大手税理士法人で働く中で、結婚・出産を経験してきたJさん。復職し子育てをしながら業務にあたっていましたが、急な保育園のお迎えなどが増え、会社にも迷惑をかけているような感覚になっていたとのことです。

そんな中で転職を検討し始めたJさんに対して、当社キャリアアドバイザーからご紹介したのは、女性税理士が代表を務めており、女性の働き方に理解が深い税理士事務所。Jさんの最寄り駅から通いやすいのもあり、年収は30万円ほど下がるもののその事務所からの内定を受諾されました。

この記事を書いたライター

株式会社ヒュープロにてオウンドメディア「Hupro Magazine」のディレクション、セミナーの運営を担当。年間500本以上の記事を監修しています。アドバイザーとして多くのご登録者様から伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェントである、「ヒュープロ」をご活用ください!
カテゴリ:転職・業界動向

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