士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

経理に求められるスキルは商業簿記だけではない!造船業の場合は工業簿記!

HUPRO 編集部
経理に求められるスキルは商業簿記だけではない!造船業の場合は工業簿記!

経理業務でクローズアップされがちなのは商業簿記ですが、製造業においては商業簿記だけではなく、工業簿記(原価計算)も求められます。今回は、造船業を例に、製造業で求められるこの工業簿記(原価計算)について考えます。

製造業で求められる工業簿記(原価計算)

工業簿記とは、工企業(製造業等)に適用される簿記のことをいいます。工企業は、材料や労働力、生産設備等を購入し、これらを消費することにより製品を製造し、さらにそれを販売して利益を獲得することを目的としています①材料購買②製造③販売を経るため、工企業における工業簿記では、製造活動の記録を行うことが主となります。

工企業では、製品の原価を計算することが重要となります。理由は、商企業の企業の原価は仕入先からの請求書等により把握が可能ですが、工企業の製品原価は自ら計算し求めなければ把握できないためです。この計算手続きが原価計算であり、それらを複式簿記で帳簿かしていく全体が工業簿記と言います。

役割としては以下3点です。
①後悔財務諸表の作成のため=財務諸表作成のため、必要な資料を提供すること
②原価管理目的=製品を製造するのにいくらかかったかを明らかにし、効率的に製造するために必要な資料を提供すること
③利益計画目的=企業の維持・発展のために必要な利益獲得のために必要な資料を提供すること

例えば造船業では?

様々な工業のルーツは造船にあると言われています。日本に近代的な造船所がつくられたのは江戸時代末のペリー来航期、明治から現代に渡って海外より技術を学び、本格的な造船業が始まり、今に至ります。日本が今のように製造業で発展していくにわたり、造船業の役割は重要な役割を果たしました。理由は、船を作るための各種の部品製造が機械工業等の工業の発展を促したからです。そのため、「工業の歴史は造船業にあり」と言われるのです。

事実、日本の造船業は世界トップクラス、いや世界一を守り続けています。高い技術力を持つ日本の造船業は、世界シェアの35%を誇り、世界の造船業をリードし続けているのです。
その日本の製造業を牽引してきた造船業では、大型船の場合は必ず受注生産形態での製造になりますし完成納品までの工期も長期間(通常1年から3年くらいです)にわたります。つまり一船一船がオーダーによって造られ、それぞれの受注契約に基づき原価計算や利益管理が行われることになります。工業簿記の役割がとても重要であり、工業簿記の重要性が最も表れる業界といっても過言ではありません。

工業簿記(原価計算)で製造業簿記に強くなる

製造業では、「原材料を購入し、工場で製造し、製造した製品を販売し利益を得る」ことを主とします。最も特徴は「自社で材料を仕入れ、製品を製造する」という点です。そのため、経理の観点からすると、製品を作るのにいくらかかり、いくら利益として残しているのか、を把握し帳簿に残すことは経営上重要となります。

そのため、原価計算というものが前述のとおり存在し、決算書類として「貸借対照表(=会社の財産が分かる書類)」、「損益計算書(=いくら利益が出たか分かるもの)」に加え「製造原価報告書(=製品を作るのにいくらかかったか分かるもの)」を作成する必要性が出てきます。
逆にいえば、この原価計算を理解していれば、製造業全体での基礎知識、必要なスキルを持っていると言えます。製造業になくてはならないスキルですので、これを勉強しておくことは製造業にとってもその人材に価値を感じるものとなります。

原価計算を理解することにより、会社全体の経営のおおまかな形を理解できます。つまり、原価計算を理解しているということは、会社内部の各部署における原価の削減、予算の設定についても踏み込んだ改善策を提示することが可能になります。コスト削減や製造活動の改善にダイレクトに影響するため、日商簿記2級レベル(商業簿記と工業簿記が試験内容)を持っていると最低限の工企業での経理レベルはマスターできるといえるでしょう。

工企業(製造業等)といってもその業界・業種は様々ですが、基本的な工業簿記(原価計算)を理解しておくことで、経営判断にも使われる有用な情報を提供できるようになります。経理の仕事は単に帳簿をつける記録係だけではありません。記録だけでしたら、最近ではテクノロジーの進化により自動化がどんどん進んでおり、人がわざわざ介入する価値は低下しています、それでも経理のプロが求められるのは。機械だけではできない未来志向、現場を把握し課題を示唆し解決できる力が人の手によるものだから、です。工業簿記(原価計算)を理解し、経験を積み、現場での改善示唆までできるようになること、今後の製造業で求められる経理のあるべき姿は、もしかしたらそのような上流タイプかもしれません。

士業・管理部門に特化!専門エージェントにキャリアについてご相談を希望の方はこちら:最速転職HUPRO無料AI転職診断
空き時間にスマホで自分にあった求人を探したい方はこちら:最速転職HUPRO
まずは LINE@ でキャリアや求人について簡単なご相談を希望の方はこちら:LINE@最速転職サポート窓口

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:コラム・学び

おすすめの記事