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売上はいつ会計上に現れるのか?現場の売上が会計基準に出るタイミング

HUPRO 編集部
売上はいつ会計上に現れるのか?現場の売上が会計基準に出るタイミング

営業マンや現場スタッフの働きのおかげで日々の企業の売上があります。しかし、その売上はどのタイミングで会計上に正式に出てくるのでしょうか。受注したと現場が思っても、今期の反映か来期かで企業の経営にとっての意味は大きく異なります。今回はこのテーマについて考えます。

成約した!でも実際に会計上に上がるのはいつ?

「受注とれました!成約です!」客先から受注がとれた時、どの営業マンも嬉しいものです。しかし、早速売上計上、となるかと言えばそうではありません。(もちろん、受注後すぐ振込がある等のお金の動きがある場合は別です。)受注段階では、会計上ではまだ売上のフェーズではないのです。なぜならあくまで受注意向の段階であり、キャッシュが確実に入るかどうかが定まっている段階ではないためです。売上の計上のタイミングは、その期間の企業の業績に大きく影響します。売上は、社員だけでなく、投資家や株主への数値の元となる重要な事項のひとつです。そのため、どの企業も売上の計上タイミングを定め、経営を行う必要があります。現場が受注してきた売上の基をどう数字化し、利益にするのか、そしてそれをルールに則って会計上に反映させていく、この一連の流れが必要となります。

基本的な売上計上基準

基本的な売上計上基準採用する売上の計上タイミングは、企業によって異なります。基本となる基準は大きく分けて3つあります。

出荷基準

出荷したタイミング=商品を引き渡したとし、売上とみなす基準です。製造業や卸売業で採用されているのがこの基準です。出荷をする際に納品書が発行されます。この納品書の控えが売上の記録となり、売上として計上されます。製造業では物を扱うため、客先へ出荷した、製造元から手を離れて納品された、という基準が一番わかりやすい、というのも、有形商材を扱う企業でよく用いられる理由の一つです。

引渡基準

出荷基準と同様、製造業や卸売業で主に採用されている基準です。配送まで自社で行っている企業で採用されていることが多いです。こちらは、相手の手元に届いた時点=商品を引き渡した時点、文字通りのタイミングを基準とする考え方です。受領書が発行され、その受領書に相手方が確認のサインをした日付が売上の計上タイミングとなります。自社で配送まで行っている場合は、客先へ納品したことを自社で把握することができるため、この基準を道いることができます。

検収基準

商品の品質や納品後もメンテナンスが必要な取引において主に用いられる基準です。試運転が必要な機器類やITシステム等で多く見られます。取引先から受け取る検収確認書をもとにその日付で売上を計上します。無形商材等、運用に関しても関わることのある製品、サービスを提供している企業でよく用いられる基準です。

上記のとおり、それぞれ企業によって計上タイミングは異なります。それぞれの業態やサービスにあった計上タイミングを用いていることがわかります。しかし、売上計上のタイミングは、一度採用してしまえば、余程の理由、正当な理由がない限りは変更がききません。そのため、経理や経営に携わる人は、このことをしっかり理解しておくことが重要です。

基準を知っておくと営業戦略にも活きる

基本的には営業は月々や半期の目の前のノルマを見ているため、会計上の売上を意識することはないと思います。しかし、受注だけでなく会計上の売上についても意識し、先を予測して成果を出せると、単なる営業だけでなく、営業戦略として貴重な戦力となり得ます。単なるノルマだけでなく、先々を意識した戦略、計画を立てることも可能となるためです。

そしてこの観点は営業だけでなく、経営者にとってはなくてはならない視点です。売上を上げることは会社の利益を上げることです。そのPDCAサイクルを考える時に、現場の受注タイミングと会計上の売上のタイミングは絶対に度外視できません。この時期を誤ってしまうと、例えば事業計画や年間を通しての経営判断を誤る可能性もあります。売上計上の見込みを誤り、資金がショートしてしまう、といった事態が発生してしまえば、それこそ企業生命にも大きく影響します。そのくらいインパクトがある事柄です。

もちろん、経理部門が上記をしっかり理解し、現場へ落とし込むことができれば、経営層にとっても営業部等の現場からしてみても、大きなバックがいる上で目の前の業務に集中できるため、理想的な仕事環境となり得ます。営業、経理、経営者が現場の数値と会計上の数値について同じ視座を持つこと、そしてその視座のもと、業務遂行に向けて自ら動くことができれば理想的な組織となります。自身の企業の売上タイミングを理解し、意識して活動する、それだけでも単なるプレーヤーに留まらない一つ上の視座のあるビジネスマンになれると言えるでしょう。

この記事を書いたライター

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