専門職を志向する人たちに人気が高まっている経理職は、40代の転職市場でも競争率が上がっています。今回は、40代で経理への転職を目指す際に求められるスキルや未経験で転職する際のポイントをご紹介します。
一般的に転職は40代になると難しいとされています。「ポテンシャル採用」と呼ばれる実務経験やスキルが乏しくても将来的な活躍ができる潜在能力を買って採用する選考方法が、40代以上では適用されることがほぼ無いからです。
しかし、転職できないかといわれるとそういうわけではありません。実際に40代で転職している事例も多くあります。また、未経験でも、他に何かスキルを持っていれば、転職できる可能性は大いにあります。40代未経験で経理職への転職を考えている方は、自身が何を強みにしているのかを整理して、転職活動に望みましょう。
預金・現金管理 | 伝票作成などによる帳票への記録 |
帳票の作成 | 会社経営に必要な取引や会計に関する記録書類全般の記録 |
経費精算 | 社員の経費精算 | 仮払金の管理 | 社員への社使途不明の支出や金額が未確定の支出を処理するための勘定科目の管理 |
給与計算 | 社員の勤怠確認と給与計算 |
在庫管理 | 在庫が発生する業種では、「棚卸し」が期末において必須の手続き |
買掛金や売掛金の管理 | 企業間でおこなわれる代金後払い取引 |
源泉徴収税や社会保険料の納付 | 社員から預かった源泉徴収税や個人住民税、社会保険料などの支払い |
年末調整 | 社員の所得税を確定する手続き |
賞与計算 | 社員に支給する賞与の計算 |
償却資産の実査 | 償却資産の申告のための実査 |
確定申告、決算書類の作成 | 財務諸表や税務申告にかかわる書類の作成 |
各種税金の納付 | 法人税や法人事業税、法人地方税、消費税など支払いが必要な税金の納付 |
このように経理の仕事はコツコツと行う業務がほとんどですが、会社にとって非常に重要であり、やりがいを感じられる仕事となっています。
40代になってから経理職に転職したいと考える方が多くいらっしゃいます。そのように思う主な理由を解説していきます。
経理職が人気の理由の一つは「どの会社でも基本的に同じ業務」ということです。
例えば、営業職の場合は業界や商材などによって手法が異なり、前の会社でうまくいった経験が必ずしも役立つとは限りません。
経理はその点ある意味「専門職」です。お金の管理方法の大枠は基本的にどの会社でも同じです。経験やスキルを積めば、別の会社でも生かすことができます。出産・育児や介護などで予期せぬ離職が起こった場合、復帰しやすいのも経理の人気の理由でしょう。
かといって、税理士や公認会計士ほどにはハードルは高くありません。現在のような不安定な社会において、より安定した職種ということで人気が高まっているのです。
経理業務は基本的にルーティン業務です。家族のことなどでプライベートの予定を調整することが多くなる場合、事前にスケジュールが立つ仕事の方が都合が良く、ワーク・ライフ・バランスを保ちやすくなります。
経理職に転職したい人は、他の事務職に比べると経理の方が年収が高い傾向にあるからというのも大きな理由ではないでしょうか。最後に40代経理の年収事情と、年収アップのためのポイントについて考えていきましょう。
40代の経理の年収は、男性で約600万円、女性だと400~500万円になります。女性の経理の年収が低いのは、管理職として働く女性の割合が低いからです。
一般事務と経理事務の平均的な年収については、下記のようにはっきりと差があります。
全体の平均年収:一般事務 約330万円/経理事務 約450万円
さらに、40代ともなるとキャリアを積んだ分、管理職となる人も出てきますので、その年収差も開いてくることになります。
40代の平均年収: 一般事務 約430万円/経理事務 約600万円
ただし、一般事務では管理職の年収が含まれておらず、経理職の年収は「管理職」と「一般社員」の平均という点に注意が必要です。例えば、年収1000万円と200万円の平均も600万円となります。大手企業の管理職であれば1,000万円を経理職で得ている人も珍しくはありません。
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経理で働いた経験がなく、40代で経理への転職を目指すのであれば、簿記2級の取得は必須です。20代なら未経験で簿記2級を取得していなくても、ポテンシャル採用される可能性があります。一方、40代には即戦力として働ける実力が必要です。実務経験がなく、簿記の知識もなければ採用されるのは難しいでしょう。
これまで経理業務の経験がない方は、「経理についての知識」があることを証明するために日商簿記検定は必須です。3級・2級についてはネット試験により全国の各会場でほぼ毎日実施されるようになりました。すぐにでも勉強をはじめ、1日でも早く取得しておきましょう。厳しいようですが、まず3級が取得できないようでは経理業務の適性が疑わしいかもしれません。
40代の場合は、実務経験もそうですが重要視されるのが「マネジメント経験」です。管理職でなくても、チームリーダーや、プロジェクトの責任者などこれまでのキャリアをどう積んできたかが問われます。 少人数でも、メンバーを率いて業務を為し得た経験、スキルがあるかどうかは、40代の転職において大きく注目されるでしょう。
マネジメントスキルに通じるものですが、40代ともなればこちらから発信するプレゼンテーション能力とともに問われるのが「調整力」です。同じ部内はもとより他部門の話を聞き、双方が納得するように社内での取り組みを調整するなど、人間的なスキルが問われるようになります。経理は、お金を扱うという業務内容から、社内の人間とのコミュニケーションは避けられません。
Finance Accounting Skill Standardが正式名称。まだマイナーではありますが、経済産業省が経理・財務部門の人材育成を目的に実施している検定試験です。資産・決算・税務・資金の4分野から構成されているため、経理職で活かせる資格として認識されていることが多いです。
出典:FASS 経済産業省 経理・財務人材育成事業 公式サイト
関連記事:今話題の「FASS」検定とは? 資格概要とその内容について解説
給与計算実務能力検定試験は、企業・組織に不可欠な給与計算業務について、その知識・実務能力を客観的に判定し、給与計算業務のエキスパートとして認定する検定試験です。経理職とのシナジーが高い資格として認知されています。
Excel・Word・PowerPointなどのOfficeソフトは、資料をまとめたりする際に役立ちます。例えば、関数やマクロ作成・作成可能な文書やプレゼンテーションの種類など、具体的になにができるか表記しましょう。
また、経理業においては、様々な会計ソフトが一般的に利用されています。経理として専任でなかったとしても会計ソフトを使っており基本的な操作がわかっているのであればその旨もアピールしましょう。
中小企業では、バックオフィス系の業務は独立しておらずまとまって対応することも多いです。例えば総務と経理、人事と総務と経理など、同じ担当でこなすこともあります。そのため、経理業務の経験がなくても「勤怠管理をしていた」「オフィスの固定資産管理の経験」など、経理にまつわる業務の経験があることがプラスに働くでしょう。
過去に勤めていた企業がIPOを成し遂げたり、成長フェーズであったりしたなど、その中でどのような役割を担ったのかという経験は、経理に限らず採用担当の目を引くでしょう。例えば企業の成長によって増えた業務と人をどのように差配したのか、業務のシステム導入など効率化をはかったかなどです。通常とは違う業務経験は、企業がこれから困難に直面した時や次なるチャレンジをする際に、貴重な戦力となり得る可能性があることをアピールできます。
経理にかかわったり、会計ソフトの使用経験があると転職においては、未経験であってもかなり有利になるでしょう。
また数字に強く、コミュニケーション能力が高いこともかなり採用担当者に評価されるポイントであるでしょう。
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経理として転職して年収アップするための3つの方法をご紹介します。
すでに経理経験があったり、簿記検定などそれなりの資格を保持している、このまま同じ企業にいても年収が上がらないという状況であれば、他の企業に転職するというのも一つの手です。
経理業務は専門職ではありますが、現在のところその年収を決めているのは、企業ごとに異なる給与体系であり、同じような業務をしていてもA社とB社で年収が100万円以上も違うというようなことはよくあります。
転職時に40代という年齢がネックになるかもしれませんが、もしマネジメント経験などその年齢にふさわしい業務経験がある場合は、転職活動を有利に進めることが可能です。
40代ともなると、専門職である経理の中からも管理職になる人材が必要とされます。未経験の40代で経理を目指される方は、経理としての実務経験の無さを人材マネジメント能力で埋めることができます。前職で管理職やチームリーダー等の経験がある方は、面接の際この点をアピールすることを忘れないようにしましょう。
経理のマネジメントを行う場合、税務申告や納税など、会社として外せない年間スケジュールをきちんと管理し、遅滞なく遂行されるようチームを管理していかなければなりません。そのため、責任感のある人材が重宝されます。面接の際はこの点をアピールできるようなエピソードを用意しておくといいでしょう。
良い転職をするためには、本人のスキルやキャリアだけでなく、運やタイミングも重要な要素の一つです。40代で転職したいときは、どのような選択肢があるかなども含めて、転職エージェントに相談して今後の方向性を検討してみましょう。
自分一人であれこれ悩むよりも、第三者の視点で見てもらう方が、道が開けることは往々にしてあることです。転職エージェントは市場に出回っていない求人を持っていることがあるので、転職先の選択肢がより広がる可能性もあります。
また、年収や待遇など、自分からは直接は聞きにくいと思うようなことも、転職先に確認してくれますし、場合によっては交渉も可能です。自分自身が十分に納得できるように、転職の際はしっかりと判断軸を持ちながら、情報収集を進めるようにしましょう。
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ポテンシャルを見てもらえる若手と比較すると、社会人としての経験が問われる40代。応募先の企業の40代社員と同様に働けることを示すためには、シンプルなアピールだけではは厳しいです。特に、経理業務を志向する方はもともと裏方で仕事がしたいという希望があるため、自己PRが苦手という方も少なくありません。実際に働いて証明したいという思いもあるかもしれませんが、面接する企業側も忙しい合間をぬって面接するだけに、限られた時間で判断しなければなりません。
そのため、応募先企業にとって、どのように役立つかをわかりやすく伝えることが必須です。これまでの自身の経験から、それをどうやって経理業務に活かせるのか、きちんと考えて自己アピールをしましょう。
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