会計の勉強をしていると、増資や減資等、資本金を増減させる仕訳をよく見かけるのではないでしょうか。一方で、実務ではそれほど頻繁に発生するものではないため、どんな時にどのようにするかはあまり見かけないかもしれません。今回は、減資はどんな時になされて、どのようなメリットがあるか、減資という手段を取る理由について公認会計士監修の下わかりやすく解説します。
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減資とは、読んで字のごとく会社の資本金を減らすことを言います。資本金は会社の基礎を構成するお金であるので、そうそう簡単に減らすことはできません。
減資と一言で言っても、有償減資と無償減資の2種類に分けられます。
出資者へお金を返還するような減資を言います。つまり、会社が元々出資してくれた人たちに対して、有償つまり金銭の支払いを伴った減資のことを言います。
同じ減資であっても金銭の支払いを伴わない減資を言います。単純に資本金を別の科目に振り替える等、帳簿上で行われるような減資を言います。
無償減資について、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
《参考記事》
減資の手続きは下記の順に行います。
減資は株主への影響が大きいため、原則として株主総会での特別決議が必要です。
特別決議とは、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を保有する株主が出席し、出席した株主の議決権の2/3以上にあたる多数をもって行う決議のことをいいます。
この特別決議では、下記のことについて決定を行う必要があります。
減資は株主のみならず、債権者への弁済の担保である会社の財産が減少することによる影響があるため、原則として債権者保護手続きをする必要があります。具体的な手続きは、減資の効力発生日より前に1ヶ月以上の期間に官報での公告と債権者への個別催告を行います。
電子公告や日刊紙への掲載等、官報掲載以外の公告方法を定めている株式会社の場合は、電子公告や日刊紙での公告をすることによって、債権者への個別催告を省略することが出来ます。
株主総会決議をもって定められた効力が生ずる日に、資本金の額の減少が行われます。効力発生日までに債権者保護手続きを終了している必要があります。
減資の効力の発生日から2週間以内に会社の本店所在地を管轄する法務局へ変更登記を行う必要があります。減資の登記申請には3万円の登録免許税が必要であり、登記すべき事項は、変更後の資本金の額と変更した年月日です。
登記申請後、1週間から10日程度で登記が完了し、これを怠ると100万円以下の過料の制裁を受ける可能性があります。
なぜ、会社はここまでの労力をかけて減資を行うのでしょうか?
その理由としては、会社にとって減資によるメリットがあるからです。
減資を行うメリットとしては、節税面だったり、欠損金の補填ができるなどがあります。しかし反対に、減資のための費用が生じたり、会社の信用力が低下するなどのデメリットも存在します。
減資を行うメリット・デメリットについては、下記のコラムで詳しく解説してます。
減資をする際には、どのような仕訳を切ればいいのでしょうか?
減資に関する仕訳は、
の2点によって、資本金を振り替える勘定科目が異なってきます。
無償減資の場合の仕訳方法について、先ほどもご紹介したこちらの記事で詳しく解説していますので、どうぞご参考にしてください。
《参考記事》
減資には資本金を減らして納める税金額が変わり、利益が出るという節税メリットもあります。ただし、減資をすることがポジティブに働く面だけではありません。信用低下のリスクや時間や手間がかかってしまい、逆にコスト増加という結果につながる場合もあります。こういう方法もあると頭に入れておく必要があります。