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転職のとき会計事務所はどう選ぶ?公認会計士が規模別に紹介!

公認会計士 大国光大
転職のとき会計事務所はどう選ぶ?公認会計士が規模別に紹介!

いざ会計事務所に転職をしようとしても世の中にはたくさんの会計事務所が存在します。単純に近さだけで選んで後から後悔なんてことも実際に多くあります。そんなことがないように、本記事では転職の際の会計事務所の選び方について現役公認会計士が解説します。

なぜ転職先の会計事務所を考える必要があるか

会計事務所にはそれぞれの特色があります。この特色を知らずに近さや雰囲気で転職を決めてしまうと、何度も転職をせざるを得なくなり、かえって苦労することがあります。そこで、まず、会計事務所に転職するにあたって、どのような種類の会計事務所があるかを紹介します。

最も数が多いのが、小規模会計事務所です。税理士の所長が一人いて、あとは事務のスタッフ数人で回しているような事務所です。

次に多いのが中堅会計事務所です。税理士所長が一人いるのは変わりませんが、顧客を担当するスタッフ数名と事務のスタッフ10名程いるような事務所です。中堅会計事務所であれば有資格者は一人ではなく2,3人程はいることも多いです。

そして中堅会計事務所より規模が大きいのがいわゆる大手会計事務所です。BIG4系列など海外の会計事務所と提携していたり、従業員が数百人いたりするような会計事務所となっています。

これ以外にも、特化型の会計事務所があり、資産税、国際税務などそれぞれの特色を出した事務所が存在します。

小規模会計事務所に転職することについて

小規模会計事務所では税理士の所長が1名で、あと数名の巡回スタッフがいるかどうかという人員構成となっています。

このような事務所へ転職すると担当する顧客が幅広くなります。通常の法人の顧客から個人事業主、不動産所得のみの個人、相続税などと、一人で何でもこなす必要があります。営業スキルがある方であれば、自身で顧客を取ってくると、給与にある程度上乗せしてくれる事務所も多いでしょう。

メリット

メリットとしては、このようになんでも自分で行わなければならないため幅広い知識が身に着くことが言えるでしょう。また、所長が高齢な場合はいくらか退職金を用意して、そのまま後継者として事務所を譲り受けることも多いです。

デメリット

デメリットとしては所長の色が濃くなるため、そりが合わないと仕事をする上で不都合ですし、基本的に研修制度というものはない為自身で色々な勉強をしていかねばならないことが挙げられます。
しかし、税理士事務所の多くはそれほど研修制度が確立しているわけではないので、大きなデメリットとは言い難いかもしれません。

中堅会計事務所に転職することについて

中堅会計事務所は所属税理士1~5名程で、スタッフも20人前後いるような事務所を言います。
中堅会計事務所は小規模な事務所から抜け出して拡大路線を取っている事務所が多いです。よって、勢いがあり所長も比較的若いか、逆に老舗であって古くからの顧客を守っている伝統ある事務所かのどちらかであることが多いです。

メリット

中堅会計事務所は成長性のある事務所が多い為、将来性があることに加え、システム面でもクラウド化等先端を行っていることも多いです。また、小規模事務所のようにわりとオールラウンダーである反面、事務処理などは事務員さんなどが処理してくれるため仕事の質が若干高まる傾向にあります。

デメリット

一方で、急発展をしていたり、複数事務所が合併して大きくなっていたりすることも多い為、意外と規律についてはしっかりしていない場合もあります。これから一緒により良いものを作り上げようという気持ちであれば良いですが、完全に組織化された事務所を期待する人にとっては物足りないかもしれません。

事務所の方針に合っていればとても働きやすいと言えるので、自身の考え方に似ている会計事務所を探すと良いでしょう。

大手会計事務所に転職することについて

大手会計事務所では何百人というスタッフを抱えている事務所であり、部門についても細分化されていることが多いです。

メリット

大手会計事務所の良いところは、クライアントも大きなところが多い為、今後独立したり大企業に転職したりした時も会計実務に対応しやすいことが挙げられます。

また、BIG4の系列の事務所であれば海外関係の仕事もできるため、国際会計等に魅力を感じる人であれば適していると言えるでしょう。また、ある程度のマニュアルが揃っている為体系的に知識を吸収するのには良いかもしれません。

デメリット

しかし、大手会計事務所だからと言って特殊なことばかりやっているわけではないですし、様々な部署があるため自身の希望した部署に配属されるとは限りません。希望しない特殊な部署に配属されると一般的な税務も行えない可能性があるため、自身の希望が通るかどうかをよく確認したうえで応募すると良いでしょう。

特定分野に的を絞った会計事務所に転職することについて

これ以外にも、資産税や国際税務などに特化した会計事務所が存在します。特に資産税は事業承継税制や相続税の対象拡大などに伴い、急拡大している会計事務所も多いです。

メリット

このような事務所に転職をするメリットは何と言っても専門性がつくことでしょう。資産税などは小さな事務所であれば1年に数えるほどしか触れられませんが、資産税に特化した事務所であればたくさんの実務を経験できます。
資産税は教科書にかかれている知識も大事ですが、実務でしか見られない事例にあたることがとても大事であるため、このような事務所で修行するメリットは大きいでしょう。

デメリット

一方で、特化型の事務所であるため通常の法人税や所得税に触れる機会がどうしても減ってしまいます。次に経理として転職したい場合や独立したいと思った時には法人税等の知識が重要となってくるため、将来そのように考えている人はその事務所の取扱い税務についてよく調べると良いでしょう。

《関連記事》
会計事務所への転職事情については下記の記事などでも詳しく紹介していますので、あわせて是非ご覧ください。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:転職・業界動向

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