資産(家屋・機械など)が、使用するにつれて、財としての価値を減ずるのを費用に計上し、新しいのと替える場合に備える、会計手続きを行う減価償却のなかで、予測のできない災害などによって資産が消滅し、起きた減価償却を区別して評価減といいます。今回は、評価減について詳しく説明します。
評価減とは、予測できない事実による消滅で起きた減価償却のことです。
資産(家屋・機械など)が、使用するにつれて、財としての価値を減ずるのを費用に計上し、新しいのと替える場合に備える、会計手続きのことである減価償却は、推定(予測)計算という特質をもつために、予測可能な要素に基づく経済価値の消耗分の把握を基本とします。
しかし、固定資産の価値は予測できない災害等の突発事故などでも消滅するものです。これらの予測できない事実による消滅は、予測可能な要素による普通の減価償却と区別して特別償却ないし評価減と呼ばれます。また、臨時的性質をもつことから、時として臨時償却とも呼ばれることもあります。
評価減ができるのは、次の資産の区分に対して、それぞれの規定にそって資産の価額が帳簿価額を下回ることになったときのほか、更生手続における評定が行われることに規定の範囲内で特別の事実が生じた場合に限られます。
まずひとつは、災害により著しく損傷したり、著しく陳腐化した場合です。これに該当するのは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあるという意味です。具体的には、季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないという点が既往の実績その他の事情に照らして明らかになっている場面や、該当の商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことで、その商品につき今後通常の方法により販売することができないようになった場面などです。
さらに、取引所売買有価証券、店頭売買有価証券、取扱有価証券及びその他価格公表有価証券については、その価額が著しく低下した場合に、評価減として処理を行うことができます。
固定資産についても、災害により著しく損傷したことや、その固定資産が1年以上にわたって遊休状態にあること、さらにその固定資産がその本来の用途に使用することができず、他の用途に使用されたことなどの理由があれば評価減を行うことができます。
強制評価減とは、このうち取得原価で評価している有価証券の資産について、その期末時点の時価が著しく下落している場合など、強制的に帳簿価額の減額が実施される会計処理のことです。
強制評価減が適用される範囲について、理論上はすべての資産について適用できるのですが、通常は、有価証券についてのみ適用されることが多いものです。また、棚卸資産についても、平成21年3月に、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」により、低価法が強制適用される前は、強制評価減が採用されていました。
たとえば、不動産会社・建設会社が商品在庫として保有する販売用不動産について、その時価が取得価額よりも50%以上下落した際に、決算において販売用不動産の価額を切り下げ、評価損を当期の損失として計上することを評価減といいます。
現在の国の商法・証券取引法・企業会計原則では、商品在庫などの棚卸資産を決算日に評価する場合には、原則として「取得原価」で評価することになっています。ただし、棚卸資産の市場相場が下落している場合については、当期の損益計算書に評価損を計上する方法である「低価基準」を採用することも認められているのです。
これらのことからもわかるように、相場の下落による棚卸資産の評価損を当期に計上するかどうかについては、原則的に各企業の会計指針や方針に委ねられているということです。
おおむね取得価額より50%以上下落するほど相場の下落が著しく、回復の見込みがない場合には、各企業の会計方針にかぎらず強制的に棚卸資産の評価損を当期に計上させるという法令上の措置があります。これは、企業財務の健全性を保つための措置のことで、一般的に棚卸資産の強制評価減と呼んでいます。
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