会計などの仕事に就くにあたって、必ず必要になるのが会計用語です。今回は、内部利益について説明します。内部利益とは、原則として企業内における独立採算制によって構成された部門組織相互間の内部取引から生じる利益のことです。内部利益についてその概要と計算方法について、わかりやすく説明します。
内部利益とは、内部振替利益とも言うもので、原則として本店、支店、事業部などの企業内における独立採算制によって構成された部門組織相互間の内部取引から生じる利益のことです。
企業内の部門相互間で原材料、部品、半製品、製品、商品、サービスの授受があった場合に、それらの振替価格を原価で行うのではなくて、一定の利益をプラスして行うことで、それによって各部門は経理的には1個の独立した企業と同じ状況におかれ、各部門ごとの損益の計算が可能となるというものです。
内部利益は企業内での業績管理のために設定されるものですので、期末決算時に内部利益を付加された製品、商品が外部に販売されない場合には、含められた内部利益は控除しなければならない決まりがあります。
内部利益の本支店会計では本店から支店に商品を送付する場合に、金額は本店の仕入原価に一定の利益(内部利益)を加算した金額を使うことが一般的です。
この内部利益は、本店から支店へ移動しただけで計上している利益のことですので、この商品が外部に売られたのであればこの内部利益は本店に計上される利益と考えることができます。
ただし、この商品が外部に売却されず、支店の在庫として会社内に残っている場合は問題が発生しますので注意が必要です。実際には本店の商品を支店に移動しただけなのに利益が計上されてしまうことになります。
そこで、会社全体の正しい利益を計算するときには、この内部利益を控除しなければなりません。内部利益は実際に販売された商品については特に問題がないため、控除する内部利益は支店の期首商品と期末商品に含まれている内部利益ということになります。
内部利益は期首商品棚卸高と期末商品棚卸高から直接控除します。仕訳は特に切らないものとし、内部利益の控除の仕訳は外部に公表する場合のみ行います。外部に公表しない帳簿については内部利益はそのままで大丈夫です。これは次期に売れるのであれば特にそのままにしておいても問題がないためです。
そして、内部利益は控除せずにそのまま決算振替仕訳を行い、帳簿を締切って次期へとつながっていきます。内部利益の控除の仕訳は外部に公表する場合のみ行うという点を意識しておいてください。
では内部利益を計算してみましょう。
以下の期首商品棚卸高があるとします。
・本店の期首商品棚卸高…350,000円
・支店の期首商品棚卸高…280,000円(うち、本店より仕入分144,000円)
・本店の期末商品棚卸高…500,000円
・支店の期末商品棚卸高…350,000円(うち、本店より仕入分180,000円)
ただし、本店より仕入分については原価の20%の利益が加算されている。期首商品・期末商品に含まれている内部利益の金額を求めるとします。
この場合、内部利益の金額を計算する問題ですので、売上原価の算定の仕訳は特に必要ありません。また、本店の商品に内部利益は含まれていないので本店の商品について、何も考える必要がありません。
支店の期首商品棚卸高のうち、本店より仕入分が144,000円分あると記載されています。これは原価に20%の利益が加算された金額ですので、つまり144,000円という金額は原価の120%ということになります。
結果、「原価×120%=144,000円」という式が成り立ちます。「原価=144,000円÷120%=120,000円」となります。
「原価+内部利益=期首商品棚卸高(原価×利益率=期首商品棚卸高)」という式が成り立つので、内部利益は「144,000円-120,000円=24,000円(120,000円×20%=24,000円)」です。
そして同様に期末商品棚卸高を求めます。支店の期末商品棚卸高のうち、本店より仕入分が180,000円分あると記載されています。これは原価に20%の利益が加算された金額のことです。ですので、180,000円という金額は原価の120%ということになります。
「原価×120%=180,000円」という式が成り立ち、計算した結果「原価=180000円÷120%=150,000円」となります。
「原価+内部利益=期末商品棚卸高(原価×利益率=期末商品棚卸高)」という式が成り立つことで、内部利益は「180,000円-150,000円=30,000円(150,000円×20%=30,000円)」ということになります。