新株予約権無償割当をご存知でしょうか。イギリスを始めとした欧州ではポピュラーな増資方法です。新株予約権や株主割当との違いを具体的に説明します。
新株予約権無償割当(ライツオファリング)とは、「公募増資」、「第三者割当増資」と並んで、企業の増資手法の一つです。「ライツ・オファリング」「ライツイシュー」とも読んでいます。
上場会社が、既存株主の保有株式数に応じて新株予約権を無償で割り当てる形で増資していく方法です。既存の株主に対して、一般に市場価格よりも低い価格で当該上場会社の株式を購入できる新株予約権を、無償で割当てる上場会社の増資手段の一つともいえます。
割当を受けた株主は、新株予約権の行使と、権利行使価額からの払込みによって新たに普通株式を取得することができるというものです。予約権自体が取引所に一定期間上場されることにより、取引所を介して売買ができることが魅力であり、重要な特徴といえます。
英国をはじめとする欧州では、一般的な増資手法として取扱われているものです。
東京証券取引所の規定変更があり、それに伴って新株予約権の付与により無償で割当られた「新株予約権(ライツイシュー)」は取引所を介しての売買取引を行なうことが可能になっています。
発行会社は、無償割当により権利を取得した株主や、市場での買付によりその権利を取得した人からの権利行使を受けて、新株を発行することで増資を行うことができます。
注意点としては、権利取得者が、市場での上場期間内に新株予約権証券の売却を行なわなかった場合や、権利行使期間中に権利行使を行なわなかった場合、その権利は消滅することになっています。新株予約権の取引所での売買は、割当の効力発生日以降の日より、新株予約権の行使期間満了の前の日であって取引所が定める日までとなっています。これは銘柄により異なりますので注意が必要です。
市場での新株予約権証券の売買や、権利行使で取得した株式の売買により生じた損益は、譲渡所得となります。
株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利のことで、会社法第2条21号にて取り決めがあります。
日本法の「新株予約権」の概念は2000年代に入り商法改正によって導入されたもので、従来の転換社債の転換請求権、ワラント債の新株引受権、ストックオプションをあわせて「新株予約権」として再構成したものになります。
これを踏まえて新株予約権とは、それを発行した株式会社に対して、権利を行使することで、その株式会社の株式の交付を受けることができるものです。
新株予約権証券の所有者は、新株予約権を行使して、一定の行使価格を払い込むことで会社に新株を発行させる、または会社自身が保有する株式を取得することができます。新株予約権は、従来の転換社債(CB)の転換権部分、新株引受権(ワラント)、ストックオプションなどの種類があり、新株予約権はその総称となります。
新株予約権無償割当てとは、資金調達方法として、会社法第277条に規定されているものであり、「株主(種類株式発行会社にあっては、ある種類の種類株主)に対して新たに払込みをさせない」新株予約権の割当てであると定義されています。
いわば現在の株主全員に各株主の保有株式数に応じて、無償で新株予約権をあげるスキームということです。割当を受けた株主は、お金を払って新株式を引き受けるか、お金を払わないかを選択することができ、お金を払わないと、他の株主がお金を払って新株式を得ると、その分持ち株比率が低下します。
これは、株主割当増資と似ていて、旧商法では、全株主に新株引受権を付与するという発想が原則だったため、特に以前の方が似ていたと言えるでしょう。現代の会社法では、株主割当てと新株予約権無償割当ての両方の仕組みがあり、どちらも利用できるものです。
株主割当増資とは、新株を発行する際に、既存の株主に対し、持ち株数に応じて新株の割り当てを受ける権利を与えることをいいます。自社を除く既存の株主に新株を割り当て、その株主から出資を受け、資金を調達して増資するという方法です。
一方、新株予約権無償割当てには、取締役会設置会社では取締役会のみで発行できる、新株予約権なので、新株予約権の行使条件にアレンジを加えることができるという2つの大きな特徴がありますので、この点で株主割当増資とは違います。