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実行利子率とは?具体例など入れて徹底解説

HUPRO 編集部
実行利子率とは?具体例など入れて徹底解説

会計などの仕事に就くにあたって、必ず必要になるのが会計用語です。今回は、実行利子率について詳しく、わかりやすく説明します。

実行利子率とは?

実効利子率とは、社債券の額面に掛かれている利子率はクーポン利子率(=券面金利、表面金利)です。つまり、割引率だと考えることもできます。実際に社債利息を計算するときに用いる利率のことです。 実行利子率とは、その社債を発行したときの市場での一般的な利子率のことですので、市場利子率ともいいます。

これは、社債と引替えに預けたお金が、”実質的”にどのくらいの割合で増えるのかということを意味し、一般の金融商品でいうところの年利回りと似たようなものと考えられます。その利回りの中にはクーポンの分も含まれるということです。

社債は償還金額より安く購入できることも多く、購入した額と償還金額の差は利息とみなすこともできます。満期償還時とその途中に、クーポンと引替えにお金がもらえ、これも利息なのですが、それらに時間軸を加味した総合的、実質的な利回りが実効利子率となります。

実行利子率の具体例

具体的な例を示してみます。
額面10,000円、3年償還、年に一度、500円のクーポン(券面利子率5%)が付いた社債が9,400円で購入できると設定します。この場合、実効利子率が7.3%になります。これは利回り年7.3%、3年満期の金融商品を9,400円分購入して、満期まで運用した場合と似た過程であるということです。
最初に預けた9,400円は、1年後に実効利子率の7.3%だけ増えて、10,086円になります。

そこからクーポンと引きかえるとして500円引き出すとします。残り9,586円をそのまま預け続けると、1年後にまた7.3%増えて、10,286円になりますね。
そこからまたクーポンと引きかえるとして500円引き出します。残り9,786円をそのまま預け続けると、1年後にまた7.3%増えて、10,500円になります。これが償還金額+最後のクーポンということです。

このように債券の実効利子率は一般の金融商品の利回りのような働きをするものであることがおわかりいただけたと思います。

ただ他の金融商品では、利息もそのまま預け続ければ、さらに利息を増やすことができる場合もありますが、社債の場合、期限がきたクーポンにはそれ以降、利息が付きませんので、注意が必要です。
さらに、実行利子率は債券価格を求める際の割引率と考えることもできます。社債を購入したら、後にクーポンや償還金額がもらえることになり、これは元手である9,400円が複利で増えたことによるものだと考えます。すなわち、9,400円の一部が増えて最初のクーポンとなり、別の一部が複利で増えて二回目のクーポンとなって、残りの部分も複利で増えて償還金額+最後のクーポンになるという考え方をするということです。

9,400円をa,b,cという三つのパーツに分割すると、その一つaが1年後に7.3%増えて最初のクーポンの500円になるわけですので、a×(1+0.073)=500ということであり、a=500/1.073となります。別の一部bが7.3%の複利で2年後に二回目のクーポン500円になるわけですから、b×(1+0.073)^2=500で、b=500/1.073^2となります。

残りのcが7.3%の複利で3年後に償還金額と最後のクーポン計10,500円になりますから、これを計算すると、c×(1+0.073)^3=10,500で、c=10,500/1.073^3となります。そして、9,400=a+b+cですから、「9,400=500/1.073+500/1.073^2+10,500/1.073^3」という式が成立することになります。これが、実効利子率(利回り)を割引率とした将来のCFの割引現在価値が、債権の価格になるということを示すものです。

実効利子率と債権の価格は、どちらかが決まれば、もう一方が決まるのですが、市場の金利に実行利子率が合うように債券の価格が決められるようになります。社債の発行者にとって実効利子率はどのような意味を持つかというと、社債発行で得たお金で、毎期どれくらい稼がなければ利益をもたらすことができないのか、利益率の目安と考えるのが良いでしょう。

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