公認会計士は難関国家資格を取得しなければならない分、高年収を実現できる印象があるかもしれませんが、それと同時に「激務」というイメージがある方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな公認会計士がどんなスケジュールで仕事をしているのか、そもそもどんな仕事をしているのかについて、詳しくまとめました。
公認会計士の1日のスケジュールを考えるにあたって、一般的にその就業先として想起されるのは、監査法人でしょう。しかし、公認会計士全員が監査法人で働いているわけではありません。
そこで、この章では公認会計士の働き方を、監査法人とそれ以外の職場に分けて紹介していきます。
監査法人で働く公認会計士は、クライアント企業の監査を行うのが主な仕事内容ですので、クライアントがいつ監査をするのかによって、1日の仕事内容やスケジュールが変わってきます。
ただし、監査は企業が年1,2回行うものなので、年間スケジュールはある程度目途が立っているといえます。
また、担当の企業へ訪問したり、事務所で作業をしたりすることが多くなります。
午前中にクライアント企業に出向き経理担当者とミーティングをしたら、午後は実務が中心です。以下に1社の監査に対応している一日の流れを紹介していますが、複数のクライアントに訪問して、1日中外回りというケースも珍しくありません。また、主に仕事の順番や内容に決まりはありませんので、自分のルールで進めて自分で仕事を完結させていく必要があります。
監査法人でのある日のスケジュール
9:30 | 自分の担当企業への訪問 | 担当企業に訪問し、 監査業務の準備をします。 |
10:00 | 担当企業の経理部門と 打ち合わせ |
担当企業の経理部の担当者にどのような流れで監査を行うか、また、提出書類の依頼などを行います。 |
10:30 | 書類チェック | 担当企業から提出された請求書や領収書のチェックをします。 |
12:30 | 休憩 | 昼食を取るなど休憩します。 |
13:30 | 追加書類の依頼 | 出された資料に対して不明点がある場合や資料が足りない時など、資料の追加提出を依頼します。 |
15:00 | 監査チームで打ち合わせ | 監査チームでその日の成果について打ち合わせを行い、資料にまとめます。 |
16:00 | 担当企業の経理部へ フィードバック |
担当企業の経理部に対してその日の監査のフィードバックや疑問点など伝えます。 |
17:00 | 監査法人に報告 | 1日の成果を監査法人に 報告します。 |
18:00 | 退勤 | 帰宅後、自己研鑽のために勉強をされる方もいます |
繁忙期でなければそこまで残業する必要もなく、18時~19時に退勤することが多いようです。帰宅後はオンオフをはっきりさせてプライベートな時間とする人もいれば、研修への参加や勉強をする時間にあてて自己研鑽される方もいらっしゃいます。
「激務」のイメージは人それぞれですが、上記のスケジュールを見ると、そこまで激務というわけではないと感じる方が多いのではないでしょうか。
一方、一般企業で経理部などの管理部門として働く公認会計士の場合は、会社の就業ルールに従います。その場合、会社の専属ということになりますので、コンサルティングなど経営面の打ち合わせなどをすることも少なくありません。公認会計士として、経理者や役員等と経理や財務状況などについて話し合う機会が多いでしょう。また、監査法人に所属していた時とは反対の立場で、監査法人の人たちと打ち合わせをする機会もあります。
他にもM&A仲介やM&Aアドバイザリーなど、M&Aのコンサルティングを行う企業だと、監査をM&Aによって自社を売りたい企業に行うことになります。M&Aを行うタイミングは企業によってまちまちであるため、繁忙期と閑散期が不定期に訪れることになります。
また、企業や法人に所属することなく、自身で公認会計士事務所などを独立開業したり、フリーランスで働く公認会計士もいらっしゃいます。このような方は、自ら仕事を獲得しスケジューリングしていくので、他の働き方とは全く違った仕事の流れになります。
ここまで公認会計士の仕事の流れについて紹介しましたが、そもそも公認会計士とは何者なのでしょうか。一言で説明すると、経理や会計の業務を行う国家資格を取得した人のことを指します。
この国家資格は、税理士や弁護士とともに「三大国家資格」の1つに数えられるほど難関な試験です。持っていれば転職に有利で、独立開業も可能です。持っているだけで高年収が狙いやすい職種でもあります。
公認会計士になるためには、まず公認会計士試験に合格することが必要です。
公認会計士試験には短答式試験と論文式試験があり、その両方に合格しなければなりません。
短答式は、公認会計士として必要とされる専門知識などについて合計4科目(財務会計論・管理会計論・監査論・企業法)の中から幅広く出題され、この試験に合格することで、次の論文式試験に進むことができます。
論文式では今までの知識を活かし、どのように判断していくのか、応用していくのかなどを論述によって評価する試験となります。また、短答式試験は合格後2年間の免除があります。そのため、論文式試験で不合格になっても、2年間はここから試験を受けることができる仕組みです。
試験に合格できれば、次は業務補助(業務経験)をする必要があります。監査法人や事業会社の経理等で2年間、業務を補助する経験が求められます。また、この期間に並行して指定の実務補習所に基本3年間通い、日本公認会計士協会が主催する講義を受け、実務をするうえで必要な会計や監査を学んでいきます。
業務経験と実務補習、この2つが終わるといよいよ修了考査となります。この試験に合格できれば公認会計士の一員となれます。
公認会計士の主な仕事として、「監査」、「税務(会計)」、「コンサルティング」があります。それぞれ見ていきましょう。
監査は公認会計士の代表的な業務といえ、所属している企業以外の企業への監査を意味する外部監査は公認会計士の独占業務となっており、無資格者は行えません。
また、公認会計士が行う監査を総称して会計監査と呼びます。会計監査には、財務書類を調べて書類に間違いがないか、会計が適正に行われているかなどをチェックし、公開されている財務情報の信頼性を保証する役割があります。これを見て投資家は投資先を決定したり、安心して企業に投資することができるようになり、債権者も正しく現状把握することができるのです。
会計監査は、資本金が5億円以上または負債金額が200億円以上の企業に義務付けられているため、公認会計士のニーズは高い状態にあります。
また上場企業では、本決算の他にも四半期ごとに決算開示が義務づけられていますので、公認会計士はこの決算の都度企業の財務内容に誤りがないか確認します。これらの時期は公認会計士にとって繁忙期といえます。
繁忙期や監査時期ではないときも、定期的に企業を訪問して内部監査を手伝い、日々の計上方法に誤りがないか確認するなど、金銭面や数字において積極的に企業と関わる仕事です。
税務とは、企業や個人のお金のやり取りを正確に把握し、適切な税金を納めるための業務を指します。
「税務は公認会計士ではなく税理士が行うものでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これは半分正しく、半分誤った認識です。
確かに上記の業務は税理士が行える業務です。そして、公認会計士は税理士試験免除で税理士の登録が可能なので、税理士登録を済ませた公認会計士もそれらを行います。実際に、2022年3月時点で公認会計士の約32%が税理士登録をしています。
税務業務のうち、「税務の代理」、「税務書類の作成」および「税務相談」は税理士の独占業務ですが、税理士登録した公認会計士はこれらの業務にも対応することができるのです。
公認会計士は会計監査や税務の専門家として、クライアントのコンサルティング業務を請け負うことも可能です。具体的には、以下のような業務を行います。
公認会計士は、働く職場によって様々な働き方をすることができますが、必ずしも自分に合った職場で働けている方ばかりではありません。
年収は高いが残業が多かったり、スキルを活かしきれないポジションで働くことになるケースもあります。
そうならないために、またそのような職場から転職するために、人材エージェントを活用することをオススメします。もちろん、就職先や転職先を見つけるにあたって、求人サイトで条件を入力して検索することで、ある程度、希望にあった求人を見つけることは出来るかもしれません。
しかし、求人サイトでは求人を出している企業の実情が分かりにくく、本当にマッチした職場なのか分かりません。また、そもそもご自身で求人を探し、応募書類を作り、書類通過したら面接日程を企業と調整するというのは、中々面倒でしょう。
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