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税理士資格を所有していても税理士として登録しないのはなぜ?

HUPRO 編集部
税理士資格を所有していても税理士として登録しないのはなぜ?

一生懸命勉強をして税理士資格を取得しても、税理士登録をしないという人がいます。税理士登録をしないということがデメリットだらけであるようにも思えるのですが、どうして税理士資格をもっていても税理士登録をしない人がいるのでしょうか。今回は、税理士としての登録をしない理由について解説していきます。

税理士の登録をしない人が増加中

もともと税理士資格とは、5科目の税理士試験に合格をするか、大学院などを卒業することで税理士試験を免除されるか、弁護士または公認会計士であることが条件となります。そして、この有資格者のなかで、税理士登録をした人だけが税理士と名乗ることができます。そのため、税理士資格に合格をするなどして有資格者となった段階で実務経験を2年積み始め、税理士登録をするという流れがこれまでは一般的だったのですが、この税理士登録をしない人が増えているといいます。ちなみに、この実務経験は、税理士試験に合格した後でも前でもどちらでも問題はありません。

つまり、税理士資格を保有できても、実務経験が足りていない、または税理士としての登録をしていない場合は、税理士ではありません。そして未登録税理士などといった立場も本来であればないのですが、最近では、税理士事務所の求人に「税理士(未登録可)」といった言葉を見かけることも多くなりました。それだけ税理士登録をしていないが、税理士資格には合格しているという人が増えている証拠だといえます。このような人たちは、どうして税理士登録をしないのでしょうか。

税理士登録をしない理由とは?

税理士登録をしない人が増えている理由としては、人それぞれですが、主な理由として考えられるものとしては3つあります。

税理士として独立する人が減少している

1つめは、税理士登録をして、すぐに税理士として独立をするという考えをもつ人が少なくなってきていることです。20年ほど昔の時代では、税理士として独立開業をすることが最大の目的として税理士資格を目指す人が多かったものです。けれど、今は税理士業界の将来の見通しがたたず、独立志向が弱くなってきているため、税理士登録をすることにメリットを感じる人が少なくなっているのです。

税理士法人に勤務する人が増加している

2つめは、税理士の法人化の変化です。税理士は2人以上いることで法人化が可能になります。けれど、最近では比較的大きな法人の税理士事務所が増えており、そのようなもとで働くことを選ぶ人が多いです。そしてまた、このような大規模な税理士事務所では税理士の資格そのものをそれほど重視する傾向が見られません。そのため、税理士として登録をするメリットがそれほど大きくないと考えられがちなのです。

税理士登録には費用がかかる

3つめの理由ですが、おそらくこの理由が最大の理由になっている人が多いのではないでしょうか。実は、税理士登録には費用がかかります。

・税理士登録料 5万円
・登録時研修費用 5万円
・登録免許税 6万円
・税理士会入会金 4万円(入会をする税理士会によって異なる)
・税理士会年会費 10万円(入会をする税理士会によって異なる)

これらは合わせると30万円にもなります。税理士会年会費以外は、登録の際にのみ必要なもので、1度だけの支払いで済みますが、税理士会年会費10万円も小さな額とはいえないでしょう。また、税理士会に入会をすれば、年会費だけを払っておしまい、ではありません。税理士会から税務相談などの要請があれば、それに応じる必要もでてきます。

もちろん、税理士として独立開業をする場合や、税理士法人で社員税理士になると考えているのであれば、初期投資や必要な役割だと割り切ることもできるでしょう。しかし、そこまで税理士の資格にこだわる必要がない人にとっては、大きな出費でしかないと感じてしまうのも無理はないといえるでしょう。

税理士登録をしないとできないこと

税理士登録をしないとできないことは、税理士の独占業務と独立開業です。

税理士の独占業務

税理士には、税理士法によって定められた、下記の3つの独占業務があります。(税理士法2条)
・税務の代行
・税務書類の作成
・税務相談
税理士試験に合格しても、税理士登録を行っていなければ税理士の独占業務は行えません。(税理士法52条)

独立開業

税理士として独立開業するためには、税理士登録が必要になります。

税理士登録をしないまま就職や転職をすることは不利になるのか?

冒頭でもお話した通り、求人募集の際にも「税理士(未登録可)」といったような言葉がよく見られるようになっています。そのため、税理士登録をしているかどうかが、就職や転職に不利に働くとは考えにくいです。

とはいえ、税理士登録を済ませておけば、きちんと税理士だと名乗ることもできますし、独占業務にも携わることができるので、就職や転職のチャンスは広がるともいえます。また、なかには税理士として働いていた方が優遇を受ける事務所もあります。

しかしながら、すべての事務所がそうではありません。事務所内においては税理士登録をしているかどうか関係なく働き、報酬面などでも差がない事務所もありますので、一概に登録した方が有利だともいえないのが現状です。

まとめ

税理士登録をしない理由を3つお伝えしましたが、やはり3つめの金銭的な事情が大きいのではないでしょうか。会社から毎月手当をもらえるなど、登録費用を越えるメリットがあるのであれば別です。しかし、そうではないのであれば、独立開業でもしない限り、税理士登録に魅力を感じる人は少ないでしょう。

税理士登録について詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。

この記事を書いたライター

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