経理の引き継ぎは社内での異動は勿論のこと、特に転職の際には問題となります。経理の業務では、特に引継ぎがスムーズにいかないと苦しい状況に追い込まれます。過去の仕訳処理や決算の方法がわからないと一貫性のある経理処理が出来きません。
今回は自分が経理として引き継ぎを受けた時に有用であるような引継書やマニュアルの作成方法について見ていきましょう。その流れを理解することで、社内で異動する際や、業務担当の変更などで同僚の業務を引き継ぐ際にも非常に役に立ちます。
経理業務では引き継ぎを受けることも引き継ぎを行うのも、他業務に比べて重要性が非常に高いです。その理由としては、一貫したオペレーションを、タイムリーかつ正確に常に経理では行わなければならないことがあります。
過去の仕訳や決算と異なる処理を担当が変わる度に行っていると、監査法人や税理士のチェックの際にも問題になりますし、社内的にも、前月までと異なる会計処理を行っている場合、過去との比較性が失われ、決算情報の分析の際に誤った分析結果となってしまう可能性があります。
また、期日通りに、週次や月次、四半期、年次といったサイクルで必ず業務を遂行して報告資料をあげたり、外部と連携していく必要があるので、ことさら経理業務では引き継ぎで引き継ぐ側も引き継がれる側も当初は苦労することが多いです。
一方で、過去の処理と同様に処理をすれば良いということも多く、月次や週次、四半期といったサイクル毎に行われる処理は基本的には同じなので、マニュアル化することが容易な業務も多いのが経理業務の特徴です。
そのため、基本的には引き継ぎを実際に行う前に、特に経理は忙しい時期とそうでない時期が比較的はっきりと分かれる業務でもあるので、マニュアル化を進めていくのが望ましいです。
経理では月末に入出金が集中し、月初には前月の決算の締めのための仕訳作業が発生し、月中では中旬から下旬にかけて前月の決算実績を報告資料にまとめて報告するといった一般的なルーティーンの流れがあります。
これらの業務はその時その時でタイムリーに業務を終えて行かなければならないため、引き継ぎの際には業務が集中する月末に向けた注意事項を記載したり、翌月初以降では、翌月の第何営業日までに何の業務を終えて、誰の承認を取って、誰に報告しなければならないなどの、一連の流れをマニュアルに記載することが重要です。
経理では自己完結しない業務も多く、また社内に限らず社外の関係者とのコミュニケーションも多いです。月末に関して言えば、社内から請求書などを回収して回る必要があり、どの部署から請求書が来るのかなどを把握し、抜けや漏れがありそうであれば事前に確認する必要があります。
また、月初に関していうと、社外の取引先に請求書を送る必要があったりする場合、相手の取引先毎にいつまでに請求書をもらわなければならないか、などが決まっているため、忘れずにタイムリーに請求書の発行と確認をお願いする必要があります。
また、月中に分析資料を作成する場合は、営業データや経費データをもらったりといったこともあるので、要注意です。この辺りをおろそかにしていると社内外の関係者との連携が上手くいかず、業務上トラブルになる可能性もあります。
経理業務ではどの会社でも同じように必ずしも行われる訳ではなく、同じ取引でも各社毎に仕訳処理が違ったりします。また、過去の経緯などから、特定の会社だけ少し特殊な取引形態をしていて、監査法人や税理士事務所などと協議した上で仕訳処理を変えていたりといったこともあります。
イレギュラーな決算処理が必要だったり、取引先の特殊な要望に応える必要があったりと、そういった取引が存在する場合は、基本的に周りはこれまでと同じオペレーションをしてくれるという前提で待っていることが多いので、マニュアルに落とし込んでおいて、引き継ぎ漏れがないようにしたいです。
いかがでしたでしょうか。経理では月次などのルーティーンの業務に限らず、勘定科目の使いかたや社内外との連携など、事業部門・管理部門通して引き継ぎがとても重要な業務です。ぜひきちんとしたマニュアルを作成して、引き継ぐ側も引き継がれる側も余計なストレスなく、円滑に次の業務に移れるようにしたいですね。