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助成金や補助金の正しい会計処理の方法とは?

HUPRO 編集部
助成金や補助金の正しい会計処理の方法とは?

企業が助成金や補助金を受けた時の正しい会計処理についての知識を深めましょう。特に、申請をしてから給付されるまでの期間が長いものや、決算月をまたいでしまうようなものは会計処理に注意が必要です。今回は、企業が助成金や補助金を受けた際の会計処理の方法について解説していきます。

助成金とは?補助金とは?

助成金と補助金は同じようなものに聞こえますが、実はまったく別のものです。ただ、共通して言えることは「政府が企業や個人に対して一方的に行った貨幣による給付」という点です。助成金や補助金は受け取ることにより、金銭的な面で恩恵を受けることができますし、政府や地方自治体などのしかるべき機関による承認を受けた企業や個人だと認められることにもなり、信頼にもつながるのです。ちなみに、助成金や補助金に返済の義務はありません。そのため、事業などに必要な資金を補填する方法としては、とても有効なものであるといえます。

では、助成金と補助金とは、どのように違うのでしょうか。簡単にいえば、補助金は給付の際に審査があるものであり、助成金は要件さえ満たしていれば必ず給付がされるものです。そして、主に助成金は厚生労働省が扱い、補助金は経済産業省や地方自治体で扱われます。

《補助金》
給付の際に審査がある
扱う機関:経済産業省や地方自治体

《助成金》
要件を満たすと必ず給付される
扱う機関:厚生労働省

助成金や補助金の仕訳は何になる?

会計処理

補助金や助成金を受けた場合の会計処理ですが、基本的には「収入」です。そして補助金や助成金という性質により、消費税の課税対象にはなりません。しかし、法人税の課税対象にはなりますので、注意が必要です。

仕訳を行うタイミング

助成金や補助金の仕訳を行うタイミングは、基本的には「取り扱いの機関より支払い決定通知書が届いた日」となります。そして通常であれば「雑収入」をして仕訳をして会計処理をします。

ところが、助成金や補助金のなかには、給付決定から実際に給付がされるまでの期間が1年以上と長くなる場合もあります。そうなると、決算月をまたいでしまうケースもでてくるでしょう。そのような場合は、一旦「未収入金」として仕訳をし、取引を計上しておきます。未収入金とは、決算月後から1年以内に回収できる性質のものをいい、売掛金とは異なって、事業の営業活動ではない取引により発生する債権と考えます。そのため、助成金や補助金のような営業的ではないものは、「未収金」で仕訳されるのです。

もしも給付決定通知書が届いて給付されるまでの期間が1ヶ月以内のような短期間の場合には、「雑収入」として会計処理をしても問題はありません。また、給付までに1年を越えるほどの長期間を要するものは「長期未収入金」として扱い、会計処理をすることになります。

注意!

なお、助成金や補助金は人件費として、その一部を補填することは認められていないので、その点は気をつけましょう。これは、会計には「総額主義」という考えが根付いているためです。総額主義とは、「原則として費用や収益は総額で記載することとし、費用の項目と週収益の項目を相殺することによりその全てまたは一部を損益計算書から除去することはできない」というものです。

圧縮記帳をすることで税金を繰り延べ処理できる

助成金や補助金を受け取り、それによって会社の設備などの固定資産を購入した場合は「施設補助金」として扱われ、圧縮記帳で会計処理をします。そして、この圧縮記帳をすることにより、年度内にまとめて課税せず、繰り延べ処理をすることができるようになるのです。つまり、1度に支払わなければならない税金を、数年に分けて支払うことができるようになるため、年度単位での負担が軽くなるわけです。ただ、あくまでもまとめて税金を支払うことを避けられるというだけであって、税金が非課税になるわけではありませんので、よく理解しておくようにしてください。

圧縮記帳はいくらでも可能?

ちなみに圧縮記帳はいくらでもできるのかというと、そうではなく、限度額があります。

計算式

助成金や補助金によって購入をした固定資産の購入額
×
(返還が不要とされる)助成金や補助金の額÷固定資産の購入額

そして、圧縮記帳の方法にも2つあり、状況に応じて使い分ける必要があります。1つめは「直接減額方式」です。固定資産の購入額をそのまま直接減額をして計上する会計処理方法です。2つめは「積立金方式」です。圧縮分を損金と扱って計上せず、決算時に積立金として積み立てる方法です。この方法でも損金に算入することが可能です。

まとめ

助成金や補助金は信頼できる企業や個人だと認められたからこそ給付してもらうことができるものです。ただし、その額をすべて使うことはできません。きちんと納めるべき税金は納める必要があるのです。また、この助成金や補助金を受け取ることが決まった通知書が届いてから、実際に受け取ることができるまでの期間が長ければ、決算月をまたいでしまうケースもあり、そのような際の会計処理には注意が必要です。よく確認をし、慎重に会計処理を行うようにしましょう。

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