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自己創設のれんって何?わかりやすく解説します!

HUPRO 編集部
自己創設のれんって何?わかりやすく解説します!

自己創設のれんとは、自社の超過収益力のことを言います。しかし、会計上この自己創設のれんを貸借対照表に資産として計上することはできません。その理由は、自己創設のれんが主観的なものであるからです。自己創設のれんの計上が認められれば、主観的なものが貸借対照表に計上されることになり、貸借対照表の客観性が大きく損なわれることになります。
この記事では、そんな自己創設のれんについて詳しく解説していきます。

自己創設のれんとは?

自己創設のれんとは、ある企業が同業他社に比べて超過収益力を保つ場合、その超過収益力に対する対価をあらわしたものです。超過収益力の源泉としては、立地条件・優れた経営者や経営組織、あるいは生産システム、仕入先や得意先、あるいは、メインバンクなどのステイクホルダーとの特殊な関係などを挙げることができます。このような様々な要因が結びついて、企業に超過収益力をもたらすのです。

自社ののれん、自己創設のれんは資産として計上することはできません。たとえば、トヨタ自動車のカンバン方式という生産システムは、超過収益をトヨタにもたらしていますが、カンバン方式は、他社から有償で取得したわけではなく、自社で築きあげて生まれたものであるので、資産に計上することはできません。

自己創設のれんの計上は認められてない

先ほども述べたように会計上、自己創設のれんの計上は認められていません。会計上、のれんとは、企業を買収したときの価格と受け入れる子会社の純資産額との差額であり、会社の個別財務諸表にはあらわされていない超過収益力です。

会計において、のれんとは、もともと、昔の飲み屋などの店先にかかっていた布であった、「暖簾」に由来する言葉です。暖簾には店の名前が書かれていたりするので、それが店の信用をあらわすことになります。暖簾分けという言葉があるように、その店で修行して一定の技術を修めた人だけが、この暖簾を分けてもらうことができます。つまり、暖簾とは、そのお店の目には見えない信用力という超過収益力をあらわしているというわけです。

買収価格が大きいほど、連結貸借対照表にはのれんが多額に計上されることになります。また、日本基準では、20年以内のその効果が及ぶ期間にわたり、規則的に償却を行なう必要があるので、買収後の決算に大きな影響を与える可能性があります。

自己創設のれんの問題点

自己創設ののれんが会計上に認められていない理由は、のれんが極めて曖昧なものであるからです。つまり、超過収益力を算定するのには、超過収益とその継続期間という2つの見積もり計算が必要であるものの、両者とも客観的に測定することが非常に困難です。そうした超過収益力は、様々な要因が絡み合って生じるものなので、のれんとして独立して認識することは大変困難です。

このため、各国の会計基準設定主体も、それをオンバランスするかどうかで長い間議論を交わしてきました。現在は、買収企業が被買収企業の株主に対して、純資産額を超える対価を支払った場合に生じるのれんについては、各国とものれんとして貸借対照表にオンバランス化することで一致しています。これは、将来収益を増加させる、費用を減少させるというのれんの本質、そして、これに対して対価を支払っているという点が、他の有形資産の場合と同じであることに注目しています。つまり、他の資産と同様に、資産計上したうえでこれを費用配分し、収益との対応をはかるためです。

一方で、自己創設のれん、すなわち、自らの企業努力で獲得した超過収益力は認識しないことで各国のスタンダードは一致しています。超過収益力は、様々な要因が絡み合って生じるものであるのだから、のれんとして独立して認識することが困難であるからです。

まとめ

自己創設のれんは、自社の超過収益力を意味する言葉です。会計上、自己創設のれんの計上が認められていません。貸借対照表には客観的な情報以外を載せることはできません。日本基準だけではなく、世界各国の会計基準においても、自己創設のれんの計上は認められておらず、今後も自己創設のれんの計上が認められることはないと考えられます。それは、自己創設のれんの計上が、貸借対照表の客観性を損なうと考えられるからです。

この記事を書いたライター

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