株主総会という言葉はよく聞かれると思います。ですが、株主総会とは何か、株主総会の権限とは何かと問われると、的確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。
株主総会というからには株主が集まることは分かっても、詳細はよく分からない人が多いはずです。今回は、そんな株主総会や株主総会の権限について解説していきます。
株主総会とは、会社の最高意思決定機関のことです。名前の通り会社の構成員となっている株主により構成されています。株主は株式を購入し出資をしている立場なので、会社の実質的な所有者だと表現することもできるでしょう。
そして、この株主の総意により、会社の意思決定が行われます。そのため、株主総会はすべての会社が設置をすべきと定められているのです。
株主総会は、会社にとっては最も重要であるといえるような事項を決議する権限をもつ機関だといえます。
重要な決議とは、例えば、会社の組織形態、人事、株主の利益に関わることなどです。
株主総会は年に1度、決算が発表されて3ヶ月以内に行われます。会社法124条2項によって、決算の承認、それによる余剰金分配の決議、そして役員の選任決議を行うためです。
日本では決算月が3月である会社が多いので、テレビや新聞などで株主総会のことが取り上げられることが多くなるのは5~6月が多くなります。
株主総会の権限とは、株主総会でどこまで会社のことを決議できるのかということを指します。会社が「取締役会を設置していない会社(非取締役設置会社)」か「取締役会設置会社」なのかによって異なります。
取締役会とは、3人以上の取締役によって構成されるもののことをいいます。では、取締役会を設置しているかどうかによって、どのように異なるのでしょうか。
取締役会を設置しない非取締役設置会社とは、主に小規模であり、会社の取締役と株主との距離が近い、昔の有限会社のような会社を指します。そしてこのような会社においては、会社法295条により、会社の運営から組織に関することなどすべてについて株式総会によって決議できると定められているのです。そのため、非取締役会の株式総会は「万能機関」ともいわれます。
取締役会設置会社は、非取締役設置会社よりも大きい規模の会社のことを指しています。株主の数が多ければ多いほど、利害関係が複雑化してしまいます。
そこで、取締役設置会社においては、会社法295条2項により、株主総会においては、約款で定められている事項と決定事項にのみ、株主に権限が与えられているのです。ここでいう決定事項とは、具体的には、取締役や監査役の選任または解任など、定款の変更や会社の合併または解散などの組織形態に関すること、株式の余剰金の配当や株主の利益や役員報酬といった内容のことを指します。
株式総会の決議には、
「普通決議」
「特別決議」
「特殊決議」
の3つがあります。
これらは、決議をする内容によって、どの決議の形式で行われるのかが決まります。それぞれの決議でどのようなことが決められていくのでしょうか。
普通決議は、取締役や監査役の選任、役員の報酬などの、定款や法律では定められていない内容事項について決議が行われます。
決議をする場合には、議決権を行使できるとされている株主の過半数が株主総会に参加することが必要です。そして、株主の賛成過半数により決議される流れとなります。
特別決議とは、会社法によって定められている重要な事項を決定するために行われます。
決議内容としては、資本金の減少、株式交換、事業の譲渡などです。この特別決議を議決するためには、株式総会に株主の過半数が出席し、3分の2以上の賛成を得ることが必要となります。
特殊決議では、特別決議よりも重要だとされる事項に関しての決定が行われます。会社法309条3項、会社法309条4項の内容が決議内容です。
会社法309条3項による特別決議では、新設合併契約の承認、吸収合併契約の承認、すべての株式を「譲渡制限株式」と定める定款の変更などの決議がされます。
決議を行うには、株主の過半数の株主総会出席が必要となり、議決権の3分の2以上の賛成で決議となります。
一方、会社法309条4項による特別決議では、株主の決議権や分配、配当といった株主ごとに異なることを定款により定める決定がされます。決議を行うためには、株主の過半数以上の決定に加え、4分の3以上の賛成が必要です。
株主総会の権限は、その会社が非取締役会設置会社であるか取締役会設置会社であるかにより異なります。また、株主総会の決議にも3種類あり、決議される内容によって違ってきます。このように会社は、会社法によって定められているように株主との関係を築いていく必要があるのです。