株主総会には、定時株主総会と臨時株主総会があります。日本では3月に決算を行う会社が多く、決算日より3ヶ月内に株主総会を行わなくてはいけません。これが定時株主総会です。そして、簡単に言えば、これ外の株主総会が臨時株主総会となります。今回は、定時株主総会と臨時株主総会について解説していきます。
まず、株式総会とはどのようなものなのかという基本的なところから解説を始めましょう。「株主」とは、株式会社より発行された株式を保有している人のことをいい、出資者とも呼ばれます。この株主には「自益権」と「共益権」が与えられます。自益権とは、株式会社の剰余金の配当といったような経済的利益を受けられる権利のことです。一方の共益権とは、株式会社の重要とされる意思決定に関して参加できる権利です。株式総会では、後者の共益権が深く関わってきます。
株式総会では、さまざまなことが株主によって決定されます。具体的には、事業譲渡や定款変更、そして役員人事の決定事項も該当します。また、会社の利害に関する決定を行うのも株主です。例えば、役員の報酬や余剰金の配当などがあります。
これらの決定事項は、基本的には株主による多数決によって決議されます。ただし、株主総会の多数決とは株主の人数ではなく、株式の数で判断されます。株主総会では「1株1議決権」という原則があり、1株について1議決権が与えられる仕組みなのです。つまり、株式を所有していればいるほど、言い換えれば株式会社に出資している額が多い人ほど、その人の発言は大きな影響力をもちます。
では、定時株主総会と臨時株主総会の違いについて、話を進めましょう。簡単に言えば、名前から見ても分かる通り、定時株主総会は決まった時期に行われる株主総会であり、臨時株主総会は臨時で行われる株主総会です。
定時株主総会の開催は会社法296条1項により定められており、1度の通常株主総会のことを指します。株主総会が開催される2週間ほど前に招集決定が発送されます。基本的に定時株主総会では、事業年度の決算報告や事業報告、そして役員報酬や余剰金の配当などが決議されます。ちなみに、半年に1度、定時株主総会を開催する会社もあります。
ちなみに定時株主総会は会社法124条2項によって、事業年度終了後より3ヶ月以内に開催しなければならないことが定められています。例えば、3月を決算としている会社においては3月31日が基準日となり、それから3ヶ月以内に株主総会を開催しなければならないのです。この基準日の時点で株主とされている人が、権利行使できる人だとされます。
なかには実質的に持ち株100%とされる社長や、ワンマン経営である会社の場合、定時株主総会を開催しないでおこうと判断する場合があります。しかし、このような状況は、「株主総会決議不存在確認の訴え」の対象であるとみなされます。例えば定時株主総会において「株主の一部にのみ招集通知を送る」「代表取締役以外により招集される」といったように招集に関する手続きが正しいとはいえない場合は、株主総会決議そのものを無効にすることも可能になってしまうのです。このような訴えには提訴機関や提訴権者の制限がないので、理にかなった訴えであれば、少数株式の保有主であっても訴えを起こすことが可能になります。このような事態を避けるためにも、定時株主総会を行う必要があるのです。
臨時株主総会は会社法296条2項に定められており、必要となった場合に臨時でいつでも開催できる株主総会のことを指します。臨時株主総会が開催される時とは、主に補充取締役の選任、新株予約権の発行などを決議する時です。通常であれば、臨時株主総会が開催される1周間前までに招集決定が発送されます。ただし、臨時株主総会は定時株主総会を開催したうえでさらに開催するものであり、招集がされるのかどうかも特に規定はないため、定時株主総会よりも必要性は低いとされています。
定時株主総会と臨時株主総会の違いといえば、招集時期と決議議案のみです。招集手続きや決議方法に関することに異なる点はありません。ちなみに会社法が施行される前は、臨時株主総会においては余剰金の配当決定や臨時計算書類の承認は認められていませんでした。しかし、会社法施行後は、これらが認められて可能になっていきました。
定時株主総会と臨時株主総会の大きな違いは、定時株主総会は決算後1年に1度定期的に開催されるのに対し、臨時株主総会では必要となった時期に不定期に開催される点です。また、招集時期も、定時株主総会は定時株主総会日の2週間前までの発送と決められているのに対し、臨時株主総会は臨時株主総会の1週間前までの発送となっています。さらに
定時株主総会と臨時株主総会では、どういった内容が決議されるのかということにも違いがあります。株主としての権利をもっているのであれば、しっかりと知識を身につけ、議決に参加していくようにしましょう。