レバレッジド・バイアウトは、「てこの原理」のように、自己資金の少ない会社が借金を利用して会社を買収する手法です。借金を利用して買収を行なうので、自己資金が少ない企業でも買収を実施することができます。1970年代に米国で流行した買収方法です。この記事では、そんなレバレッジド・バイアウトについて詳しく解説していきます。
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レバレッジドバイアウトとは、買収しようとする企業が、買収対象会社の資産や営業力などを担保として買収資金を調達する形態の企業買収のことを言います。レバレッジドバイアウトは、もともと、株式・債権の両市場が行き詰まりを見せていた1970年代のアメリカにおいて発展してきました。レバレッジドバイアウトは、レバレッジをきかせることができるため、少額の手持ち資金で大きな買収資金が得られる企業買収の方法です。少ない自己資本で、相対的に大きな資本の企業を買収できることから、梃の原理になぞらえて「レバレッジド・バイアウト」と呼ばれています。
ただし、レバレッジドバイアウトは、一般的にリスクが高い買収手法であるため、高金利となることが多い点には注意が必要です。対象会社の経営者が参加して、企業を買収するレバレッジド・バイアウト(LBO)は、しばしばマネジメント・バイアウト(MBO)と呼ばれることもあります。この場合、多額の株式取得資金を外部の投資銀行等からの借入によって調達し、株主資本に対する負債比率を高め、レバレッジを利かせることで、資本効率を向上させることができます。ただし、借り入れた資金は、レバレッジドバイアウトを実施した後、買収された企業の負債となるので注意が必要です。
レバレッジドバイアウトを行なうためには、まず、バイアウトを主導する買収グループ特別目的会社を設立することから始まります。買収目的会社をわざわざ設立する理由は、借り入れのノンリコースローンの性格をきちんと明確にしておくためです。「本来の買い手」に債務が発生しないノンリコースローンを明確にしておくことで、自分が買収されたときに使われたお金を、後日、買収後の会社が返済していくことになります。
さらに、買収目的会社は買収対象会社ないし事業部等が所有する資産、あるいは将来キャッシュフローを担保に、投資ファンド等の出資金や金融機関等の借入れ資金を得て、買収対象会社株主の株式を買取ることで買収を実施します。いかなる状況においても、銀行などから借り受けた債務が返済されるという確証がなければ、レバレッジドバイアウトのために融資をすることはありません。つまり、レバレッジドバイアウトにおいて重視なのは、買収先企業の財政状態や経営成績となります。その後、特別目的会社が買収対象企業を吸収合併することによって、当該対象会社のキャッシュフローを借り入れた資金の返済に充てていくことになります。
レバレッジドバイアウト最大のメリットは、少ない自己資金であっても、企業の買収が可能となるということです。極端に言えば、レバレッジドバイアウトの手法で買収を行えば、資本の量では全く敵わない中小企業であっても、大企業を買収することができます。投資額を抑えつつ、大きなリターンが期待できる可能性があります。
買収対象となる企業を担保にすることができるので、買収成功後、借り入れの返済は買収対象となる企業自身が行わなければなりません。
そのため、買収を行なう際に、必要となる負担を大きく軽減することができ、資本が少ない会社であっても、大規模な買収が可能となります。買収後、事業がうまくいくことでキャッシュフローが順調に入ってくるようになり、大きなリターンが期待できます。それに期待して、銀行などはレバレッジドバイアウトの際に融資をしてくれるのです。融資の利息分の返済を考慮した場合でも、借り入れを行ってレバレッジド・バイアウトを実施した方が、リターンが大きくなるケースもあります。
その他にも、レバレッジド・バイアウトは、一定の節税効果が期待できる買収方法です。レバレッジドバイアウトは多くの借り入れを行なうことになるので、買収後はその利息の返済を行わなければなりません。その結果として、利息の返済を行なうことで利益が圧縮され、節税の効果があります。
しかしながら、レバレッジドバイアウトは買収後に大きな額の返済が確実に待っています。買収後の資金返済を期待して銀行などは投資をしているわけなので、これを避けてレバレッジドバイアウトはできません。結果として、借り入れのための金利は高く設定されることになるので、買収後にきちんとキャッシュフローが継続してマイナスとならないように考えておかなければなりません。
レバレッジドバイアウトをより身近な例で理解するためここではアパート投資を挙げて解説していきます。
まずはニーズのある需要を見つけ、将来的に利益となり得る可能性があれば、手元にある資金より大きい資金をローンで借り入れて、アパートに投資をします。
将来的に収益が見込まれるアパート投資であるからこそ金融機関はお金を貸す事ができ、借りる側はその資金でレバレッジを効かせて投資を得ることが可能になります。
このように将来的に利益になり得そうなものに対して、お金を借りて投資をするというアパート投資は、レバレッジドバイアウトと似ています。
その後、ローンで借りた資金を利益によって返済し、投資しているものを徐々に自分のものとしていきます。
つまり買収先の資産や事業価値を見極める事ができれば、他人の資金で資産形成を行う事が可能となるのです。
レバレッジドバイアウトは、自己資金が少ない企業が他の企業を買収するための手法として発展してきました。1970年代から米国で発展してきた買収方法の一つですが、近年は日本でも買収のために活用されています。レバレッジドバイアウトは借入を行うことで、自社の何倍もの時価総額の企業を買収することができますが、一方で、借入によるリスクも伴います。そのため、レバレッジドバイアウトの際の融資は金利が高く設定されるのが普通なので注意が必要です。