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サンクコストとは?「もったいない精神」がもたらすより大きな損

HUPRO 編集部
サンクコストとは?「もったいない精神」がもたらすより大きな損

サンクコストとは、埋没費用とも言われ、ファイナンスや経済学で良く使われる用語です。事業やなどに投下した資金や労力のうち、どうやっても回収できないものを差します。本記事では知っておきたいサンクコストにまつわる知識をご紹介します。

サンクコストとは?

サンクコスト(sunk costs)は埋没費用と呼ばれ、事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や経済行為の撤退・縮小・中止をしても回収できない資金や労力のことです。

下手にサンクコストを回収しようとすると、より損失が拡大する恐れがあるので、いわゆる「損切り」をすべきところなのですが、人間は投資したものが回収できないことに対して強いフラストレーションを覚えるため、もっと投資すれば業績が上向くかも?と合理的でない判断をしばしばしてしまうことがあります。

サンクコストの呪縛(じゅばく)の例

サンクコストはすでに回収できないものというのが決定していますが、自分が費やした費用や労力が大きいほど「元を取りたい」「損をしたくない」という持ちが働き、かえってマイナス効果を得てしまうことが日常的にしばしば起こります。それを「サンクコストの呪縛」「サンクコストの呪い」「サンクコストの誤謬」と表現します。そんな例をいくつかご紹介します。


・好きな女性に振り向いてほしくて、ご飯をごちそうしたり、プレゼントをしたりといろいろ手を尽くしたが振り向いてもらえない。しかし今まで費やしたお金や時間や手間もあるので、諦められずアタックし続けてしまう。
→サンクコスト:好きな女性に貢いだ物品や食事代

・野外フェスの当日が大雨。せっかくチケットを買ったのだからと参加したが、ずぶぬれになって風邪をひいてしまった。
→サンクコスト:事前に購入していたチケット

・映画館に観に行った映画がつまらなかったが、チケット代を惜しんで最後まで見てしまい時間を無駄にしてしまった。
→サンクコスト:購入したチケット

・食べ放題で途中でお腹がいっぱいになったが、払った分を食べていないと思い無理に食べてお腹を壊した。
→サンクコスト:食べ放題に払った金額

こうした例は枚挙にいとまがありません。サンクコストを回収したいと思ったばかりに、かえって損を生んでしまっているのです。
これは日常生活だけではなく、事業においてもあてはまることで、投資金額を惜しんだ末に良くない結果を招いた例はいくつもありますが、そのうちもっとも有名なものをご紹介します。

世界的なサンクコストの代表例・超音速旅客機「コンコルド」

イギリス・フランス政府共同の超音速旅客機「コンコルド」の開発は、世界的に有名なサンクコストの誤謬の代表例として良く知られています。

コンコルドは、1976年から2003年まで運行していた超音速旅客機です。2時間59分でパリ・ニューヨーク間を飛行するという驚異的な速さ(通常の最速ジェット機でも5時間13分かかる)で飛行する夢の旅客機でした。

しかし、そのマッハ2.2という超音速の速度が発するソニックブームと呼ばれる大音響の騒音や、非常に燃料費がかかる上に、乗客を100名ほどしか運べないため、大変に高額な航空券代がかかることなどがあり、開発の途中で明らかに採算が見合わないということがわかってきました。250機受注で採算ベースに乗るはずが16機しか製造されなかったのです。

とはいえ、今まで投資した予算や時間、労力もさることながら、国家的プロジェクトの責任問題も絡み、プロジェクトは進行。その希少性やデザインの美しさからファンは多かったのですが、ファーストクラス料金のさらに20%増しという航空料金でも採算ベースに乗ることもないまま、最終的には数兆円もの赤字を出したということです。

このことからサンクコストを振り切れず損失を増やしてしまうというサンクコスト効果のことを「コンコルド効果」ともいわれるようになりました。

サンクコストバイアスを振り切ってキャリアアップ

サンクコストをあきらめきれずに、損な状況にずっとい続けてしまう心理的傾向のことを「サンクコストバイアス」といいますが、これって何かに似ていませんか?

そう、自分に取っては、もう得るものもない環境や、むしろこのままいたら今後のキャリアが望めないような職場でも、
「今まで勤めてきたし……」
「次の異動で希望部署に行けるかもしれない(低い確率)し……」
とそのまましがみついてしまうような心理状況です。

職場は、一日のうちに大部分を過ごす、人生にとって大事な場所です。
仮に、もし今、新卒カードを持っていたとしたら、この会社に入社したいと思うでしょうか?もしそう思えるのであれば、現在の場所で自分を伸ばすことを考えましょう。

もしそうではなく、やり続ければいつかは報われると思って、あまりキャリアアップの望めない会社にダラダラと居続けてしまうのは大変にもったいないことです。
すぐに転職というのは極端としても、これからのキャリアを見据えて考えようと思った時に、将来に役立つ資格の勉強などから始めてみてはいかがでしょうか?

そのまま、何となく今のポジションでいても、これからの保証はありません。
「これからの人生の貴重な時間をこの仕事に費やしていていいのか?」と考え始めた時が、ステップアップの第一歩です。
今までの経緯にとらわれず、自分をより良く活かせるポジションや会社を改めて考えてみてはいかがでしょうか

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この記事を書いたライター

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