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経過勘定項目とは?基本的な意味や実例を紹介

HUPRO 編集部
経過勘定項目とは?基本的な意味や実例を紹介

企業が取引をすると仕訳が行われます。その際には、さまざまな勘定科目が設定されていて、それぞれについて正確な金額を記帳することが必要です。そんな勘定科目の一つとして経過勘定項目というものがあります。企業が決算をするために重要な項目であり、会計においてしっかりと処理することが求められています。経理の仕事をしているならば、絶対に知っていなければいけないものです。そんな経過勘定項目について、基本的な意味や実例などについて解説します。

経過勘定項目とは?

経過勘定とは
継続してサービスを受けたり行ったりすると、時間の経過につれて費用や収益が発生します。そのうち、現金の収支のタイミングと損益計算上における損益認識のタイミングがずれるケースがあります。このようなケースを処理するために設けられた勘定科目のことを経過勘定項目といいます。

具体例
経過勘定項目には以下の4つの種類が存在しています。
・前払費用
・末払費用
・前受収益
・未収収益

すでに支払っているけれども次期の費用となるものを「前払費用」といいます。支払っていないけれども当期の費用となるものが「末払費用」です。「前受収益」は受け取っているけれども次期の収益となるものです。そして、「未収収益」はまだ受け取っていないもののうち当期の収益となるもののことです。

未決済項目と何が違うのか?
経過勘定項目と未決済項目は間違えやすいですが異なるものです。

未決済項目は以下のような特徴があります。
・時間の経過とは無関係に発生する
・役務提供契約以外からも生じる
・役務の提供や受領が部分的に完了している

一方、経過勘定項目の特徴は以下の通りです。
・時間の経過ともに発生する
・役務提供契約のみで生じる
・役務の提供や受領が完了している

経過勘定は発生主義である

収益や費用の認識基準として発生主義というものがあります。これは費用が発生した、あるいは収益が実現したものは、損益として計上しなければいけないというものです。取引が発生した事実がある段階で収益や費用を認識して処理する必要があります。

ただし、期中の取引に関しては、費用を支払ったとき、収益を受け取ったときに、それぞれの金額を勘定に記帳するとされています。したがって、支払いや受け取りを実際に行うタイミングにずれが生じます。期中に取引をしても、当期の費用や収益の金額にならないケースが出てくるのです。

この場合、費用や収益を次期以降に繰り延べるという処理が必要となります。あるいは、費用や収益を見越して計上するケースもあるでしょう。これらのケースで使われる勘定科目が経過勘定項目なのです。

経過勘定項目の実例

未払費用の実例
たとえば、水道光熱費の料金が、12月16日から1月15日の期間で請求されたとします。この時に、12月31日が決算日となるケースがあるでしょう。

この場合、12月16日から12月31日分の料金は、請求書が到着していないけれども、費用そのものは発生していると考えられます。したがって、このケースでは未払費用として処理をするのです。

未収収益の実例
たとえば、貸付金の利息については、未収収益として処理することがよくあります。お金を貸したことによって、すでに役務を終えています。貸したお金の利息が収益となり、それをまだ受け取っていないときには未収収益として処理するのです。

前払費用の実例
前払費用とは継続して役務の提供を受ける際に、まだ提供を受けていない役務に支払われた対価のことです。

たとえば、1年間の火災保険の契約をして保険料を支払った場合は、1年間継続して保障を受けることになります。

そのため、保険料は前払費用に該当すると考えられます。たとえば、決算期末の時点で火災保険の契約から4カ月経っている場合は、残り8ヶ月分は前払費用として翌期の費用に計上する必要があります。

前受収益の実例
たとえば、賃貸マンションの家賃を1年分先に受け取るというケースがあります。この場合、次期分の収益にあたるものは前受収益として処理することになります。

決算日の時点で未だにサービスを提供していない収益を当期分から除外するために前受収益が必要となるのです。

前払費用が資産として計上される理由

前払費用を仕訳する際には資産として計上します。

しかし、前払費用は換金性がなく資産と考えることに疑問を感じる人がいるかもしれません。これを理解するためには、資産の定義を知ることが大切です。

現在の会計制度においては、資産とは収益力を有するものとされています。したがって、何らかの権利を有しているものは、資産といえるのです。保険料の前払いというのは、保障を受ける権利とみなすことができるため、資産として計上されます。

経過勘定を処理しなくてもよいケース

企業会計原則のなかには重要性の原則というものがあります。このなかで、重要性の乏しいものについては、経過勘定として処理しなくてもよいと規定されています。

たとえば、一定の要件を満たしているときに、前払費用は支払い時点で一括して損金に計上してもよいとされているのです。これは短期前払費用の特例と呼ばれています。

たとえば、大きな企業だと経過勘定として処理するべきものの量が膨大になります。それらをすべて処理するのは負担が大きすぎて、あまり意味のあるものでもありません。そのため、例外が設けられているのです。

まとめ

●経過勘定科目とは現金のやりとりと収益と費用の発生に時間のズレが発生した時に計上する勘定科目のこと。

●経過勘定科目とは、発生主義で掲載するもの

●経過勘定科目の前払費用は、支払い時点で一括で計上して良いという例外がある。

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