経済のグローバル化に伴い、海外進出を行う企業が増加傾向にあるなか、「ビジネスの世界共通言語」といわれる会計の知識を身に着け、
海外で公認会計士として働いてみたい!という方も少なくありません。本記事では、公認会計士が海外で活躍するにあたり、必要なことについてまとめました。
海外で働くためには、何はともあれ「英語力」が必要です。公認会計士の方は「手に職」があるからと思うかもしれませんが、海外では、英語が第二原語であるような国でも、流暢に英語を話せることはむしろ当たり前のスキルです。ネイティブに混じって業務をこなせるレベルの英語力というのは必須になります。
現地に行ってから実地で覚えようとしても、日常会話以上に語学を習得するというのは難しいもの。そのため、日本で充分に英語についても勉強しておくことです。
そして、英語ができるということを、海外赴任・もしくは希望時に客観的に評価できる物差しで示す必要があります。
日本で英語力を測る資格として人気なのはTOEICです。スコアが高得点であっても必ずしも実際の英語力とは直結しませんが、日本の転職市場では800~900点以上であれば有利に働きますので、受験しておくことをおすすめします。
また、TOEFLであってもTOEICスコアに換算した際に同レベル以上のスコアが必要です。
いずれにしても、外国で働く場合は、ネイティブ並みの英語力が求められるので、語学力はしっかりと磨いておきたいところ。TOEICで既に高いスコアを保持している人は、より実践的な英語力の向上に勤めましょう。
海外で働こうと思った時に、海外駐在あるいは現地採用か2つのパターンがあります。
いずれにしても、海外で働くためには、年々厳しくなる就労ビザを取得することが必要です。海外といっても、どこで働きたいかにもよりますが、特にアメリカではH-1Bという労働ビザが抽選でしかおりないため、現地採用のスポンサー企業を見つけることも容易ではなく、L-1ビザと呼ばれる駐在員ビザで赴任する方がはるかに容易です。
いわゆるBIG4(PwC、EY、KPMG、DTT)と呼ばれる監査法人は、欧米を中心に世界中にグループ企業があり、日本でもこの監査法人と提携している4大事務所がそのままBIG4と呼ばれています。具体的には以下の監査法人です。
日本の公認会計士試験自体の難易度が高く、合格者数が少ないため、これらの監査法人においても結果的に採用数が少なくなっていますが、もし入社することができれば、提携しているBIG4グループでの海外赴任も夢ではありません。
また、監査法人に限らず、海外に事業所を持つ、あるいはこれから進出する事業会社の社員として出向するというパターンもあります。
2011年からは日本で受験できるようになった「USCPA(米国公認会計士)」。USCPAの良いところは、一定の要件を満たすと現地の会計士ライセンスの取得ができるライセンスの相互承認協定というものがあるところです。
具体的には、以下の国で国際相互承認協定を結んでいます。
そのため、アメリカを含めこれらの国で働きたいという希望を持っている方は、取得をしておいて損はないでしょう。目安としては1年半、約1000時間の勉強時間が必要とされます。
しかし、外資系の会計事務所に転職したいからといっても、実務がなく資格のみがある状況では、現地採用はかなりの狭き門といえます。海外では会計事務所はかなりの人気職であり、ネイティブで資格保有者がたくさんいる状況で、打ち勝つのは容易なことではありません。
もちろん現地で働くにおいて、知識も必要ではありますが、資格を取ったから大丈夫というような甘いものではないという認識が必要です。
公認会計士が海外で働きたいと考えた場合、若いうちに経験を積んでおくことが重要です。今後も海外勤務を希望、あるいは海外勤務を活かして働きたいと考えている場合は、できれば30代前半までに海外勤務のキャリアを積んでおきたいところ。
もちろん現地で自ら希望の監査法人や企業にアタックするという方法もありますが、海外で働くということをメインに考えた場合は、国内監査法人、もしくは国内の事業会社から海外赴任や転勤、あるいは出向という形で出る方が、待遇やビザの面で最もおすすめのルートです。
日本に帰国してからもそのキャリアを活かしたいのであればなおさらです。現在の職場で海外に出る機会が見込めない場合は、転職も視野に入れたキャリア形成プランを立てることをおすすめします。
公認会計士の海外での働き方について述べてきましたが、やはり海外で働く以上「英語力を身に付ける」ことは欠かせません。
また、海外で働く方法として現地採用と海外駐在の2パターンありますが、ビザを考えると特にアメリカでは労働ビザの取得は抽選で難しく、駐在員ビザを取得する方が容易なため、海外グループ企業をもつ日本企業に就職し、駐在員として働く方がハードルが低いといえます。
海外で働くことを自身のキャリアの一部に考えている場合、なるべく若いうちに挑戦するのが望ましく、早め早めに動いていく必要があります。