近年は、働き方改革のために労働生産性が着目されています。基本的に、労働生産性はどの程度の資源に対して成果がどの程度獲得できたかということです。さらに労働生産性を詳細に分析して改善するために、設備投資効率や労働分配率の指標があります。今回は設備投資効率、設備投資効率の目安の数値について解説していきます。
まず、設備投資というのは、資金を有形固定資産である機械設備や建物などに投資することです。大きく設備投資を分類すると、公共投資と民間投資に分けられます。
【公共投資】-社会福祉のために地方公共団体あるいは国が投資するもの。
【民間投資】-採算の立場から会社が自社の責任において投資するもの。
会社の生産能力は会社が持っている設備能力、技術力、労働力によって規制されますが、特に設備能力が占める役目は非常に大きくなります。
日本が世界に対してGNP(国民総生産)の高さを誇っているのは、設備投資を継続して行ってきた結果であるといえるでしょう。
民間投資は需要に頼るため景気がいい時期は盛んなりますが、逆に景気が悪い時期にも需要を喚起するため盛んに公共投資が行われるようになります。
設備投資効率というのは、有形固定資産に対する付加価値の生産高割合を示したものになります。対象になる会社への投資・M&A・融資などを考えるときなどに使われる指標で、対象になる会社の生産設備が付加価値をどの程度生産しているかをレビューするためのものです。
一般的に、高い設備投資効率ほど高い資産生産率になると考えられます。設備投資効率は、有形固定資産である設備から創り出される付加価値額を確認して、どの程度の付加価値が設備に対して生産されているかをレビューします。
設備投資効率(%)は、付加価値額を平均有形固定資産で割ったものに100を掛けたものです。
なお、このときの付加価値額としては、粗付加価値額を使うことが多くあります。粗付加価値というのは、減価償却費を純付加価値から差し引きしたものです。
一般的に、対象になる会社の設備がどの程度稼働しているかは、有形固定資産に対する売上比率である「有形固定資産回転率」で確認することができます。
この指数が高いほど、設備は高い稼働率であるといえます。しかし、いかに稼働しても利益が出ていないと全く意味がありません。そのため、設備投資効率は、付加価値の生産高に着目したことが特徴です。
有形固定資産に対する付加価値額比率である設備投資効率が高いと、投資した設備に対して付加価値が十分に創り出せていることになります。全ての業種の平均や同じ業界の平均と比べて自社の設備投資効率が高いときでも、安心しないで、どうして数値が高くなっているかについて調べて、数値を保っていくことが必要です。
有形固定資産に対する付加価値額比率である設備投資効率の数値が低いと、投資として必要なものができていないといえるでしょう。設備投資効率が低いときは、原因をまず調べて改善する必要があります。例えば、業務プロセスそのものを見直しする必要があることを考えておきましょう。
設備投資効率を計算するためには、付加価値額を適正に計算する必要があります。
付加価値額には考え方がさまざまありますが、総務省統計局によると、付加価値額の程度としては「会社の生産活動によって新しく創り出された価値」となっています。
付加価値額は、売上高(売上額あるいは経常収益)からトータルの費用額を差し引いたものにトータルの給与額と租税公課をプラスしたもので表されます。
なお、「中小企業新事業活動促進法」で決まっている「付加価値額」は、このような考え方とは全く違っており、会社の収益ベースでなく会社活動によるトータル的な社会経済への貢献度をレビューするものであるので、明確な両方の区分けが必要です。
設備投資効率は、どの程度の付加価値を生産設備が創り出しているかを表すものです。
資産生産性は、設備投資効率が高いほど高くなります。有形固定資産の設備から創り出される粗付加価値を確認して、どの程度の付加価値が設備に対して生産されているかをレビューします。
設備投資効率は、付加価値額を平均有形固定資産で割ったものに100を掛けたもので、高い有形固定資産回転率になるほど当該設備は高い稼働率であるといえます。
では、設備投資効率の目安になる数値はどのくらいなのでしょうか?設備投資効率の数値は、業種によって特に大きく違ってきます。
経済産業省の調査データ(『経済産業省』平成29年確報 産業別統計表)から設備投資効率の数値は簡単に計算できるため、自社の設備投資効率をチェックしてみましょう。例えば、2106年の設備投資効率は、製造業計は約132%になっており、食料品製造業は約136%になっています。
・設備投資効率=付加価値額÷平均有形固定資産×100
設備投資に対してどの程度の生産性を生み出せていいるのかを確認でき、設備投資効率を確認することなどに使用できる指標であります。
・目安の数値は、業種によって異なる
一概に会社毎での比較は意味を成さないので、同業種・同業態で比較をして目安数値を導き出すことが重要。