他の業種と同じように、税理士業界でも人手不足になっています。税理士業界が人手不足になっているのは、繁忙期の残業が多い、確定申告をする数が多くなった、別の業界に比べてパート、事務員の給料が安い、大手の税理士事務所に人気が寄っていることなどが挙げられます。それでは、今回はそんな税理士業界が人手不足になっている理由について詳しく見ていきます。
他の業種と同じように、税理士業界でも人手不足になっています。報道などでは建設業界、介護などの福祉業界、飲食業界などが多く取り上げられていますが、会計業界でも実際に人手不足になっています。
税理士業界はもともと独立する人も多くいるため、自分のステップアップのために一旦は入所して、その後独立するため退職するなど、税理士の出入りは結構多くあります。
しかし、ここ数年、税理士の資格を取得している人以外に、事務員、パート・アルバイトなども非常に人手不足になっています。
また毎年の税理士受験者数も年々減少傾向にあります。
紹介会社にも、税理士事務所の採用担当者から相談を頂く中で、ここ数年、例えば次のような要望が多くなっています。
税理士事務所が人手不足になっているため、競争するように給料を高くしたり、条件がいい求人広告を載せたりして人材確保するようになってきています。
また、採用費をかけることができない税理士事務所では、必要な人材を確保することさえも困難な状況が続いています。
では、どうして税理士業界は人手不足になっているのでしょうか?税理士業界が人手不足になっているのは、次のような理由が挙げられます。
日本においては人口が少なくなってきていますが、毎年確定申告をする数は多くなっています。
当然ですが、確定申告をする2,000万人以上の中で、ほとんどは自分で申告していますが、税理士に頼むトータル数も多くなっています。
そして、国としても、今後は副業やダブルワーク、個人の収入が多くなることなどを強くすすめるようになっているため、確定申告する人は多くなっていくと考えられます。
そのため、税理士としては仕事が多くなるため、有難いということもありますが、確定申告について、ぞれぞれの税理士事務所で受けられる範囲が限られています。
というのは、全ての人が申告する期限が同じであるためです。
日本の会社は決算が3月に集中していて、
個人については、全ての人が1月~12月末で締めて、申告・納税を次の年の3月15日までに行う必要があるのです。
確定申告が多くなっていることも、税理士業界として人手不足に間違いなく影響しているでしょう。
見習いのスタッフに簡単な確定申告は任せて、経験がある従業員に時間がかかる仕事や難しい内容の仕事を任せたりするなど、より一層効率的な仕事が求められています。
税理士業界においては、税理士の資格の有無が給料に影響しています。
税理士の資格を取得している人は給料が結構高くなりますが、パート、事務員の給料はそれほど高くなりません。
そのため、税理士の資格を取得していない人にとっては、別の業界の方が給料面においては魅力があると思うでしょう。
業界を吸収・合併、M&Aなどによって再編するという動きは、一昔前から金融業界や小売業界などで始まっていますが、税理士業界でもこのような流れは始まっています。
古くからある4大税理士法人や4大監査法人以外でも、業歴のある事務所や新しい事務所などが吸収や合併をどんどん繰り返しており、昔より大きな規模の事務所も多くなってきています。
このようにして規模が大きくなった税理士事務所は、従業員数・事業規模的には一般の会社と違いません。
給料面でも高待遇を実現したり、採用も通年で行ったり、はっきりとキャリアパスが描けたりするなど、中小や個人の税理士事務所では導入がなかなか困難なことも実施することができます。
当然ですが、中小や個人の事務所であれば、大きな会社やシステムが確立している事務所では実現できないようなことを代表者だけの考えで決めることができます。
そのため、中小や個人事務所の方がびっくりするような高待遇というときもあるかもしれませんが、一般的にはこのようなことはないでしょう。規模が大きい事務所でなければ、一昔前より、一般の採用難易度が非常に高くなっているでしょう。
●税理士業界も他業界と同様に人手不足が起きている理由は以下の3つ
①副業や個人事業主の増加で、仕事量が増えている
②給料の幅が資格の有無で決まりやすい
③独立する人も多く、人の定着がしづらい
④税理士受験者の不足