士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

海外で公認会計士として活躍するには?留学が必要?

公認会計士 大国光大
海外で公認会計士として活躍するには?留学が必要?

企業のグローバル化が進み、日本に本社を構えながら海外に拠点を構えたり、海外に本社がありながら日本に法人があったりと、日本企業は世界中に存在しています。また、会計についても国際会計基準が世界の会計基準のスタンダードになりつつあり、公認会計士としてもグローバル化がますます進んできているのが現状です。公認会計士が海外で活躍するために留学という手段がありますが、そこで今回は留学して公認会計士になる道を国別に現役公認会計士が解説していきます。

アメリカに留学して公認会計士となる

グローバル化と聞いて真っ先に思いつくのがアメリカではないでしょうか。国際会計基準はヨーロッパ発祥の会計基準ですが、今でも米国会計基準は進化をし続け、日本の多くの大企業が採用している主要な会計基準の一つとなっています。
さて、アメリカで公認会計士となるには通称USCPAに合格しなければなりません。

USCPAの受験資格に学歴要件がありますが、必ずしもアメリカの大学に行かなければならないわけではなく、また州によって学歴要件も異なります。例えばアラスカ州の場合であれば四年制大学卒業で、会計の単位が15単位以上あれば受験資格を満たすことになります。他の州ではビジネスの単位を求められたりします。10万円近くかかりますが通信教育でアメリカの単位も取得可能となっています。

そのためアメリカにおいて公認会計士として働くために留学は必須ではないと言えます。しかし、その後の就職を考えるとネックとなるのが言語です。日本で文字としての英文会計は読めたとしても英語でのコミュニケーションができなければ採用は難しいでしょう。仮に採用されたとしても条件が悪いことがあるなど、言語の壁は大きいです。

そういった意味ではアメリカに留学して公認会計士となる道は、コミュニケーションの観点やアメリカの会計学を深く知る点では道として考えても良いでしょう。現に、米国公認会計士に合格しなくとも、そのままアメリカの監査法人に就職し、その後米国公認会計士に合格した人も知っています。
特にこれから大学生になる人やまだ大学生にとって、米国公認会計士を目指すのであれば留学を考えてみてはいかがでしょうか。

カナダに留学して公認会計士になる

カナダでは、2015年までは公認会計士は以下の区分がありました。
CA (Chartered Accountant)
CMA (Certified Management Accountant)
CGA (Certified General Accountant)

それぞれ別物とされていたのですが、CPAという資格に現在は統一されています。カナダで公認会計士になるコースの一つとしては、まずカレッジへ進学することです。カレッジでは会計の基礎からカナダのビジネスまで一通り学ぶことができます。

様々なカレッジが存在するため、自分が将来公認会計士として監査法人に就職したいのか、一般事業会社に就職したいのかによって学習内容が異なりますが、拙いメールであったとしても丁寧に答えてくれるので、自分で情報収集するのが一番の近道となります。ただし、日本の大学でも代替できますので、何を学びたいかによって異なるでしょう。

次にCPAプログラムに参加し、CPA受験の必須項目について深く学ぶことが必要となります。その後もしくはそれ以前の実務経験が必要となります。30か月と長期のように見えますが、公認会計士として一人前になるには3年間は必要ですので、結果的には必要な機関であると言えるでしょう。

これらを突破すると、いよいよ最終的に3日間にわたる試験を受け、合格することでカナダの公認会計士として名乗ることができるようになります。なお、現在はカナダと日本では会計士の相互協定を結んでおり、日本の公認会計士がカナダ会計士ライセンスを取得することもできるため、国をまたがって活躍したい会計士であればその道も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

オーストラリアに留学して公認会計士になる

オーストラリアで会計士といえば、CPA、ICAA、IPAと複数団体があり、まずどの会計士となるかを決めるところから始まります。この中でもCPAが最もメジャーであるため、基本的にはCPAを目指すこととなります。ただし、国内の法定監査を行いたい場合などはICAAのCAとなることが必要となります。

メジャーであるCPAとなるには、まずオーストラリアで会計学を専攻の上卒業するか、Foundation Examの6科目に合格することが必要です。なお、日本の四年制大学を卒業している場合はオーストラリアの大学に編入し、会計学士又は会計修士コースを修了することでも認定されます。これにより、CPA準会員として登録することができます。

準会員になったのち、必須科目4科目と選択科目2科目を受講し、試験に合格する必要があります。6年間で6科目ですので単純計算で1年1科目合格となりますが、合格する保証もないので、2科目同時に受験をし続けて合格を目指します。

また、実務経験が必要となるため、CPA登録されている会員の元で3年間実務経験を積みます。この実務経験がビザの関係で日本人にとっては大きなネックとなります。というのも卒業後ビザは2年の有効期限であることから、在学中に実務経験を積むなど工夫が必要となってきます。
これらを全てクリアして、初めてCPAとして登録することができます。

まとめ

今回、アメリカ、カナダ、オーストラリアの公認会計士留学事情を説明しました。最終的に自分がどの国で、どんな会社で働くかをある程度明確にした上でどの国に留学をするか決めた方が良いと思います。ですが、公認会計士の仕事があまりわからないうちにどこにするかは決めづらいと思います。そんな時は率直にどの国が好きそうか、という点で決めて会計士になった人も多いので生活環境含め自分にとって適する国を選ぶことをお勧めします。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

おすすめの記事