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取締役会議事録の文例と書くべき事項について

HUPRO 編集部
取締役会議事録の文例と書くべき事項について

取締役会が行われた場合には、議事録を作成することが会社には義務付けられています。では、議事録にはいったい何をどのように書いたら良いのでしょうか?取締役会議事録に書くべき事項と文例を紹介します。

取締役会とは

取締役会とは、すべての取締役で組織される機関です。取締役会は、会社の業務執行の決定、取締役の職務執行の監督、代表取締役の選任・解任を行うことができます。会社は1人以上の取締役を必ず置くことになっていますが、取締役会は全ての会社に設置する必要がある訳ではなく、次のような会社で必ず設置するルールとなっています。

・公開会社
(上場会社のように、株式に譲渡制限を設けていない会社のことです。)
・監査役会設置会社
・監査等委員設置会社
・指名委員会等設置会社
・非公開会社(株式に譲渡制限が設けられている会社)でかつ大会社にあたる会社

以上の5つのパターンのいずれかに当たる会社は、取締役会を設置することが義務付けられています。なお、大会社とは最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上である会社、または最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上である会社のことをいいます。

取締役会の決議

取締役会の決議は議決に加わることのできる取締役の過半数が出席することによって開催されます。また、決議の内容によっては、それらに特別な利害関係を持つ取締役は参加することができません。
取締役会の実施時には必ず「議事録」を取る必要があり、それは紙であっても電磁的記録であっても構いませんが、必ず紙の場合は署名または記名捺印、電磁的記録の場合はそれに代わる措置をとることが義務付けられています
この署名または記名捺印によって、取締役会の決議に賛成したということになります。

これらは会社法369条にて述べられています。
詳しくはこちらをご覧ください。
参考:e-Gov 会社法369条

取締役会議事録

前述したとおり取締役会が行われた場合には、議事を議事録として書面又は電磁的記録にて作成することが義務付けられています。また、作成した議事録は取締役会の日から10年間保管する義務があります。取締役会議事録に書くべき事項については以下の事項となります。

取締役会が開催された日時及び場所

特別取締役会(会社法373条2項)であるときは、その旨

取締役会が一定の場合に招集されたときはその旨

取締役会の議事の経過の要領及びその結果

決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、当該取締役の氏名

次に掲げる意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
・取締役が競業取引・利益相反取引を行った場合に行う、当該取引についての重要事実の報告
・取締役に会社の目的外の行為や法令定款違反の行為(またはそのおそれ)があった場合に、取締役会の招集請求し、またはこれを招集した株主が当該取締役会で述べた意見
・会計参与が計算書類等の承認を行う取締役会に出席して述べた意見
・監査役が、取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときに、取締役会に行う報告
・監査役が取締役会に出席して述べた意見
・(委員会設置会社の場合)監査委員が執行役又は取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときに取締役会に行う報告

取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人又は株主の氏名又は名称

取締役会の議長が存するときは、議長の氏名

以上のような事項について、取締役会議事録に記載する必要があります。

取締役会議事録の文例

以上のような取締役会議事録に記載すべき事項を踏まえた、取締役会議事録の文例は以下のようになります。

取締役会議事録

○○○○年○月○日(○曜日)○時○分~○時○分、当社会議室において取締役会(以下、「本取締役会」という。)を開催した。
代表取締役○○が議長となり、取締役及び監査役全員の出席を確認した後、開会を宣し、議案の審議に入った。

第1議案 取締役○○の退職金の件
議長より、今期をもって任期を満了する取締役○○の退職金について、社内規定に従い以下の通りの金額としたい旨の提案があり、その賛否を諮ったところ、決議に参加できる取締役全員の賛成が得られたため可決された。なお。取締役○○は、決議に特別の利害関係を有するため、決議に参加しなかった。
退職金の額 ○○○○万円
時期      ○○○○年○月末日
特別利害関係人  取締役○○

第2議案 第○期定時株主総会召集の件
議長より、第○期定時株主総会を以下のとおり招集する旨の提案があったため、その賛否を諮ったところ、全会一致で賛成が得られたため可決された。なお、株主への通知方法は、株主が当社取締役のみのため招集手続きは省略することについても、全会一致で承認された。
1 日時 ○○○○年○月○日(○曜日)午前○時
2 場所 ○○ホテル第○会議室
3 株主総会の目的となる事項
第○期決算報告承認の件
取締役○○の後任の取締役選任の件

以上をもって本取締役会の議案を終了したので、議長は閉会を宣し、午前○時○分に散会した。
本取締役会の議事について、本議事録を作成し、議長、出席取締役及び監査役がこれに記名押印する。
○○○○年○月○日
株式会社○○取締役会
議長  代表取締役  ㊞
      取締役   ㊞
      取締役   ㊞
      取締役   ㊞
      監査役   ㊞

まとめ

いかかでしたでしょうか。取締役会を実施する際は上記のような議事録を取る必要があります。取締役会で話し合われる内容は会社の経営方針を決めるものですので、抜け漏れなく正しい書き方で記入することが大切です。

この記事を書いたライター

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