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正味現在価値(NPV)について正しく理解しよう

HUPRO 編集部
正味現在価値(NPV)について正しく理解しよう

NPVとは、正味現在価値のことです。投資家が、企業やプロジェクトに投資するさいに判断する数値のことです。あるプロジェクトが生み出すキャッシュフローを現在価値に換算し、初期投資額を割り引いたものです。これをNPVの数値であらわし、プラスになれば投資するべきだと判断することができます。今回は、このNPVについて、計算方法や具体例を用いながら説明します。

正味現在価値(NPV)とは

正味現在価値といわれるNPVとは、Net Present Value の略です。将来のキャッシュフローの純額を現在価値で評価し、金額で表されるものです。資本コストで割り引いた現在価値から、投資額の現在価値を引いたものになり、企業が投資判断を行うのに重要な指標となります。

NPVがプラスになる場合、生み出されるキャッシュフローの価値が実際の資本価値を上回るということであり、投資する価値のあるプロジェクトであるかどうかの判断材料になります。このNPVを用いた投資判断をNPV法といいます。異なる条件の投資案件を比較することで、投資家が、投資する際に価値があるかどうかを判断する数値になります。

NPVの計算方法

計算するためには、初期投資額と、毎年のキャッシュフロー、プロジェクト年数と割引率を使ってNPVを導き出します。今すぐ運用できる資金は、1年間の間に投資を増やせる可能性を考えると、1年後に運用できる予定の同額の資金よりも価値があります。

100万円の現金で、年利5%の投資を行う場合に、1年後には105万円になります。1年後に得る金額は、100万円ではないということがわかります。逆に、1年後に同額の100万円を得た場合、その価値は100万円には満たず、100÷(1+0.05)をした95万2380円ということになります。このように、100万円の価値が変わるといった割戻しの操作に使用するのが割引率です。

ただし、割引率はNPVの計算に大きく影響するということを忘れてはいけません。妥当性のある値に設定し、NPVの数値がプラスになることによって投資家などにとって投資する価値のあるものだと判断してもらう必要があります。

NPV法のメリット

収益の金額をベースに計算するNPV法は、現在価値という基準から比較して投資判断が行えることがメリットのひとつです。投資効率のみを求めた金額度外視の考え方や、投資回収に必要な期間で考える方法など他の投資判断基準と比較したときにもより良いメリットといえます。

収益額をベースに見積もるため、少額の効率的な投資案件が過大評価されてしまうことを避けることもできます。投資の価値に重きをおいて判断することができ、同額の投資回収にかかる年収を見積もるよりも、NPV法は投資すべきかどうか判断しやすいと考えられています。

また、1つひとつのプロジェクトにリスクやリターンを踏まえて割引率をわり出せるのもメリットのひとつです。先述のとおり、割引率の設定は慎重に行わなければならないため、数値を微調整することで投資状況を具体的に半値位させることができ、運用にも困りません。

NPV法のデメリット

一方、デメリットもあります。一般的にNPVがプラスの場合は投資したほうが良いという判断になりますが、投資判断の結論が単純化しすぎているという指摘があります。簡単な計算式を用いることで、誰にでもわかりやすい共通の判断材料になるのは良いことですが、計算結果にいたるまでの背景にも理解を示し、それらすべてを踏まえて判断することが重要です。

割引率の設定を失敗してしまうと、NPVの数値に大幅な影響を与えます。そうなれば、本当に投資する価値があるプロジェクトなのかどうか、判断ができなくなります。割引率の数値の設定が事実や根拠に基づくものであるのか、投資家の判断が必要であり、プロジェクトを運用する企業にも細かな説明が求められるポイントです。

さらに、NPV法は中長期的な視点に欠けた判断方法だという考え方もあります。短期的にはNPVの数値がマイナスになってしまい投資しない方が良いという判断になるプロジェクトでも、中長期的な目線で考えれば、価値の高い可能性を含むプロジェクトも少なく有りません。プロジェクトの中長期的な判断をしたい場合には、NPV法以外にも、他の評価方法を用いて総合的に判断する力が求められます。

NPVと内部収益率(IRR)の違いは

内部収益率(IRR)とは、投資家から将来得られるキャッシュフローの現在の価値と、投資額の現在の価値が金額として等しくなるときの割引率のことをいいます。このとき、NPVの数値はゼロになります。

IRRも投資判断に用いられる指標のひとつで、資本コストと比較することで良し悪しを判断することができるようになります。資本コストよりも大きい場合は投資すべき案件、小さい場合には投資をさけるべき案件という考え方です。IRRは効率性を見る指標です。一方NPVは利益の大きさを測ることができる指標ですので、必要に応じて使い分け、また総合的に判断してください。

まとめ

以上、NPVの概要、NPV法のメリット・デメリットについて解説しました。NPV法は企業の投資判断における重要な手法となります。内部収益率との違いも理解した上で、正しく判断に用いる必要がありますので、しっかりと理解しておきましょう。

この記事を書いたライター

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