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“ベンチャー業界を通じて日本経済に貢献する!” ベンチャーキャピタリストとして活躍する公認会計士のビジョン

HUPRO 編集部
“ベンチャー業界を通じて日本経済に貢献する!” ベンチャーキャピタリストとして活躍する公認会計士のビジョン

大学3年生のときに公認会計士試験に合格し、大手監査法人に勤め、その後アメリカへ渡り、帰国後は日本のベンチャーキャピタルに従事。現在はシード、アーリーステージを対象としたVCファンドの運営を行う株式会社KVPのパートナーとして活躍している御林洋志さんに、HUPRO編集部がお話を聞いてきました。

【経歴】
21歳 大学3年次、公認会計士試験に合格
22歳 監査法人トーマツに入所
24歳 監査法人を退職し、アメリカシリコンバレーへ
25歳 帰国後、ベンチャーキャピタルに入社
28歳 現職、株式会社KVPに入社

大学1年生で目指した公認会計士

ー公認会計士を目指したきっかけを教えてください。

中学から慶應に入り、高校生の時は部活も入らず自由奔放に生活して、そのまま大学に進学しました。でも、このまま遊んでいるだけだとダメだなと思い、大学時代に何か真剣に打ち込み、自分に強みをつけたいと思い、色々考えた結果、資格取得という選択肢が思い浮かびました。

とにかく難易度の高い資格を取りたいと思い、国家資格を見ている中で、公認会計士という資格を知りました。会計知識は、どの経済活動や事業活動を扱う上でも前提となる知識だなと思い、自分自身やりたいことが明確になっていなかった分、一番汎用性が効くと考え、公認会計士を目指すことにしました。

そして、大学1年生のときから専門学校に通い始め、大学3年生で公認会計士試験に合格することができました。

中学受験以来の本格的な勉強で、会計の勉強が自分に合っているか分からなかったので、最初はお試しという気持ちで、簿記3級を取りました。そこで自分の興味関心とあっているなと思い、そのまま公認会計士試験の専門学校の講座に申し込み、受験勉強を開始しました。
そのため、大学ではサークルなどは一切入らずに、勉強する日々を過ごしました。

具体的な勉強のスケジュールとしては、最初の1年目は、財務諸表論、簿記、管理会計論の財務会計周りの勉強をして、1年間の勉強の成果を測る意味で、大学2年生のときに簿記1級を受験しました。そこで上位の成績で合格できたことで、自分の中である程度手応えを感じられ、2年目は企業法、租税法などの会計以外の科目に専念し、順調に勉強を進めることができました。
もちろん不安もありましたが、やればできるという自信もどこかありました。

ー大学卒業後の進路は?

公認会計士試験に合格した後、就職先については、監査法人以外もコンサルや外資の投資銀行のインターンなども参加して幅広く見ていました。
専門学校で開催された会社説明会に参加した際に、たまたま懇親会で監査法人トーマツのパートナーの方と話す機会があったのですが、当時、生意気にも「監査法人の仕事って、創造性も低いし、そんなに人から喜ばれる仕事じゃないですよね?」という発言をその方に向かってしてしまいました。

でも、その方からは、「俺が担当している株式公開支援業務は違う。上場を目指す経営者と一緒に働く仕事で、だからこそ上場という目標を果たしたときには経営者からありがとうと言われる仕事だ」と、2時間にわたり熱く語って頂きました。
そんなに熱い想いになれる仕事が監査法人にあるのかと感銘を受け、またその方にとても魅力を感じ、その方がいるトータルサービス部に入りたいと思い、トーマツへの入社を決めました。

トーマツは、約2年半勤めたのですが、上場企業向けの法定監査とベンチャー企業のマザーズ上場に向けたIPO支援業務を中心にやらせて頂き、また、1年目のときにリーダーとしてリクルーターの仕事も経験しました。トーマツでの2年半は本当に充実していて、自分の中で得るものもとても大きかったです。

監査法人を辞めアメリカのシリコンバレーへ

ーなぜ、監査法人を退社しましたか?

監査法人の立場から、ベンチャー業界の方々が新しいことにチャレンジしているのを間近で見てきて、非常に魅力的に感じ、ベンチャー業界に経営サイドからもっと深く携わりたいという思いになりました。あとは、その気持ちが芽生えた時期に、偶然にも早期退職者を募集していたので、そろそろ次の環境に移るタイミングだなと思い、次の職場は特に決めていなかったですが、トーマツを退職することに決めました。

当時24歳でしたが、そのときから今も変わらずに、“ベンチャー業界を通じて日本経済に貢献する”という思いを、ずっと持ち続けています。監査法人を退職したあと、ベンチャー業界について学びたいと考え、とりあえず、ベンチャーの本場と言われているシリコンバレーに行ってみようと思い、勢いに任せアメリカに渡りました。
とにかく何かチャレンジをしたいという思いで、英語力も大してなかったので、最初の数ヶ月は現地の語学学校に行きながら、スタートアップでインターンを経験したり、現地のイベントに参加するなどしました。その後、ご縁があった現地のベンチャーキャピタルで働くことになり、トータル1年間アメリカで過ごしました。

ーアメリカでの一番の経験あるいは学びはどんなことがありますか?

シリコンバレーの文化や様々なスタートアップに触れられたことも大きいですが、一番大きかったのは、自分自身のリスクの捉え方が変わり、挑戦することをあまり恐れなくなったことです。
自分の場合、中学受験をして、そのまま附属校で大学まで進学し、その後、公認会計士試験に合格し、大手監査法人に勤めて、という形で、今までは順調に、いわゆる“綺麗なキャリア”を歩んできたと思います。
でも、監査法人を退職してとりあえずアメリカに行くという選択肢を取り、1年間アメリカにいたことで、“綺麗なキャリア”のレールから外れたキャリアを歩めたことによって、自分自身が大事にすることを優先して、そのために挑戦することに対してはあまり恐れを感じない考えを持つことができました。

ーもう少しアメリカでやるという気持ちはなかったですか?

僕自身のゴールが先ほど述べた通り、日本経済に貢献するという気持ちが強かったので、アメリカで魅力的な部分はたくさんありましたが、アメリカはとにかく修行期間と思い、日本で事業をするという点はブレなかったですね。

ベンチャーキャピタルでの経験

ー帰国後はベンチャーキャピタルに入社したと伺いましたが、その経緯を教えてください。

サンフランシスコにいるときにトーマツ時代の先輩の紹介で、日本の独立系ベンチャーキャピタルであるグローバル・ブレイン株式会社の代表の方とアメリカでお会いし、朝食をご一緒する機会がありました。
そのとき、グローバル・ブレインは新しくファンド設立をしたばかりのタイミングで、色々と話を聞かせてもらい、大変興味を持ちました。でも、アメリカに渡って間も無い時期だったので、もう少しアメリカで修行をしたいと思い、その時は話をして終わったのですが、半年後にまた代表の方から連絡を頂けて、そこから具体的な話が進み入社を決めました。

ー監査法人からベンチャーキャピタルへの転職で慣れないことも多かったと思いますが、最初はどのようにして経験を積みましたか?

当時、会社でも一番若かったので、最初のうちはフットワークを活かすしかないと考え、とにかくスタートアップのイベントに行き、たくさんの起業家の話を聞き、繋がりを増やして、理解を深めるようにしていました。

当時、印象的な仕事としては、その会社で自分にとって初めての投資案件が、スマホゲーム特化のメディア事業を展開する会社だったのですが、グローバル・ブレインが運営するCVCファンド(コーポレートベンチャーキャピタル)から出資し、自分は社外取締役として入りました。その後、多くの苦労も起業家と分かち合いながらも、事業を順調に伸ばすことができ、結果として出資したCVCファンドのグループ会社に買収され、綺麗なCVCの事例として成功体験を積むことができました。

グローバル・ブレインには、約3年いたのですが、様々なスタートアップ企業への投資・支援を経験させてもらいました。
次の選択肢として、ベンチャー企業のCFOという道もありましたが、VCの立場でシードステージの起業家や事業に対し、もっと深く関わって仕事がしたいという思いが強くなりました。

そのタイミングで現職の株式会社KVPの代表から、新しくファンドを立ちげようと思っているから、一緒にやらないか、と誘ってもらいました。そこではシード、アーリーステージのベンチャーキャピタルで、かつIT領域なら全て投資対象として幅広く取り組めて、さらにパートナーとして意思決定権を持つことができるということでした。そのため、自分の思い描くステージの起業家と向き合って仕事をすることが実現できると思い、立ち上げからジョインすることにしました。

KVPでの今後のビジョン

ー普段、投資判断はどのような軸で行なっているのですか?

前述の通り、KVPはシード、アーリー特化のベンチャーキャピタルなので、投資先は売上実績がないケースがほとんどです。
“経営者”と“市場”と“事業戦略”の3つを判断軸に置いていますが、その中でも一番に経営者を見ています。
経営者として、情熱と誠実さを持っているかという点がとても大事だと思います。
やはり、不確実性の高いベンチャーを経営する中では、良いことよりも辛いことのほうが多いです。ただ強い情熱があれば、どんなに辛い状況になっても、絶対にその事業から逃げないですし、また、情熱が強い人は周りの人々を巻き込む力があります。
採用の場面も当然ですし、投資家から資金調達を行うとき、事業会社と事業提携をするときなど、全てにおいて強い情熱と誠実さが求められます。
あとは、単純に私は、強い情熱を持った起業家はものすごくかっこいいなと思いますね。

自分の仕事は、そんなシード、アーリーステージの起業家の持つ強い情熱が、大きな事業・会社へ成長・昇華するためのサポートを行うことだと思っています。そのためには、一番大事なのは起業家に寄り添って、同じ船に乗り、近い距離感でリソースの限られる起業家のために何でもやることだと思っています。
また、近い状況にいる起業家同士のつながりも大事なので、似た課題に立ち向かう仲間、同志としての繋がりが強く持てるコミュニティをVCの立場でしっかり作っていきたいと思っています。
そのため、実際にKVPには投資先の起業家のためのワーキングスペースやイベントスペースなども設けるなど、横の繋がりをしっかり持てるようにしていて、今後も強化していきたいですね。

ーKVPで思い描く今後のビジョンを教えてください?

“ベンチャー業界を通じて日本経済に貢献する”という想いはこれからも変わらずにずっと持ち続けます。そのために、現職のKVPでは、シード期のスタートアップを積極的に支援していきます。KVPはミッションとして、“Bring The Entrepreneurs’ Vision to The Next Stage”を掲げています。
シード期から多くのスタートアップに投資し、起業家のビジョン・情熱の実現に向けて挑戦を続けられるために支援していける存在を目指しています。

チャレンジのための公認会計士資格

ー公認会計士の強みはどんなことがありますか?

今は投資先の会計上の数値と事業を繋ぎ合わせる場面において、会計士としてのスキルと経験が生きています。
事業展開の中で、どのKPIが大事なのかという指標を見つけ、限られたスタートアップのリソースを集中投下し、事業を伸ばすことが重要で、また、事業内容を数値に落とし込んで投資判断を行うので、その部分は会計士として監査法人で働いた経験も活かせています。

あと、会計士の資格を取得すると、積極的にチャレンジすることがしやすいと思います。自分の場合は、会計士の資格が保険となり、会計士資格があったからこそ、勢いでアメリカに渡り、スタートアップというキャリアを選ぶことができました。
そもそも、みんなが思っているほどリスクではないというのは言えるのですが、会計士の資格があれば、何回でもチャレンジして、失敗することを恐れなくなります。現状に不満があるなら、現状の不満を打破するために何か行動を起こすことが大事だと思います。

ー本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。

本日お話を聞かせていただいた御林洋志さんがパートナーを務める
株式会社KVPのホームページはこちら
御林洋志さんのツイッターはこちら

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この記事を書いたライター

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