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会計監査六法とは?経理担当者が知っておくべき法律について

HUPRO 編集部
会計監査六法とは?経理担当者が知っておくべき法律について

会計監査六法とは、会計・監査業務を行うに際して用いられる財務諸表等規則、関係法令、日本公認会計士協会が公表する委員会報告、企業会計基準委員会報告等が収録されたものをいいます。このように会計・監査業務を行うに当たっては、法律や会計基準など様々なルールに精通している必要があります。本記事では、主に経理担当者が知っておくべき法律について紹介します。

会社法

会社法は、会社の設立から合併・分割などの組織変更に関する事項や会社が解散する際についてなど会社に関するルールの大原則となっています。経理担当者の業務に直接かかわる範囲としては、第2編第5章「計算等」(431条~465条)と第3編第5章「計算等」(614条~636条)があげられます。第2編は株式会社、第3編は持分会社に関するルールとなっていますので、それぞれ自社の組織形態に合わせて参照する必要があります。
会社法では経理世界の原則である一般に公正妥当と認められる“公正なる会計慣行に従う”という大原則(GAAP)について、「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業の会計の観光に従うものとする。」(431条)と明文で定めるなど、計算に関する基本ルールが定められています。実際に決算で計算書類を作成する際には会社計算規則を参照することになりますが、この他にも会社法には
・会計帳簿などについての保存義務(10年間保存)
・株主からの会計帳簿の閲覧や複写請求権
・計算書類の公告義務
・計算書類の株主総会への提出義務
などが定められているため、経理担当者としては知っておいて損は無いといえるでしょう。また、株主総会の招集手続きや招集通知に記載すべき事項などが会社法には定められているため、経理担当者の方が株主総会に関する業務も行われている場合には参照する機会も多くなるでしょう。
その他には、会社の資産に影響を及ぼす株式の発行に関する条項(104条以下)や社債に関する条項(670条以下)を知っておくことも良いでしょう。

金融商品取引法

金融商品取引法では、投資家の保護のため投資判断に必要な経営状態に関する経営成績や財政状態の開示の方法についてルールを定めています。また、株式を公開している株式会社や一定額以上の有価証券を発行・募集する株式会社などの大会社を対象とし、会社法の計算書類とは別に「有価証券報告書」または「有価証券届出書」を作成して内閣総理大臣に提出することを定めています。その他には上場会社が作成する財務諸表の作成義務については金融商品取引法に定められています。上場会社のように自社が株式を公開している場合には、金融商品取引法は会社が開示する財務状況を示す書類作成の上で非常に重要な法令となります。

法人税法

法人税法は、法人の所得にかかる税金について定めた法律で、第1条には「この法律は、法人税について、納税義務者、課税所得等の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続き並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする」と定められており、法人が法人税の納付義務を果たすうえで必要なルールについて定められたものです。具体的には法人税法では、次のような事柄について定められています。
・法人税の種類(①各事業年度の所得に対する法人税、②各連結事業年度の所得に対する法人税、③退職年金等積立金に対する法人税)
・納税義務者(法人とは国内に本社、またはおもな事業所を持つ「内国法人」である旨の定め)
・法人税の計算方法
・申告や納付の流れ(申告は事業年度が終了した日の翌日から2ヵ月以内の定め)
・法人税の納税地(本店または主たる事務所の所在地)
企業が活動していくうえで、法人税は切っても切り離せないものです。経理担当者として法人税法に関する知識は、業務上必須のものといえるでしょう。

財務諸表規則

厳密には法律ではありませんが、金融商品取引法の適用を受ける上場会社が財務諸表を作成する際の用語や様式、作成方法などを定めているものです。正式名称は「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」といいます。貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書などの各種財務諸表における項目の分類、配列方法、区分表示及び注記の内容などが定められています。なお、財務諸表規則の対象は金融商品取引法の適用を受ける上場会社となっていますが、決算書などの計算書類の作成について財務諸表に従ったものであることを銀行が融資の条件として要求する場合もあるため、事実上、上場会社以外の会社であっても計算書類を作成する上でルールとして機能しています。

最後に

会計監査六法に収録されている法令や関連する法令のうち、経理担当者が知っておくべき法令を紹介しましたが、この他にも経理・監査業務には法令のガイドラインや規則などが絡み合ってルールを形成しているため、業務に関連するルールをすべて把握するのは困難です。各法令等に目を通す際には、頭から通読するのではなく、まずは業務に関連しそうな項目から読み進めていくと効率がよいと思われます。

この記事を書いたライター

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