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消費税は費用になる?勘定科目と処理方法を解説

HUPRO 編集部
消費税は費用になる?勘定科目と処理方法を解説

「消費税は経費に計上することができる?」「どうやって処理すればいい?」今回の記事ではこのような疑問を解決します。消費税の処理における勘定科目は何か、さらに税抜経理方式と税込経理方式の違いについて詳細に解説していきます。

消費税の計算で使用する勘定科目

消費税を経費として処理する場合に使用する勘定科目の一つに租税公課があります。まず租税公課とは、国税や地方税として納める税金や、国や地方の公共団体・その他団体に対する交付金や賦課金を指します。

したがって、国や地方公共団体に対して納める税金である消費税は租税公課に含まれることになるのです。

しかし、消費税の処理方法には「税抜経理方式」「税込経理方式」の2つの方法があり、どちらの方法を採用するかによって、処理の仕方が変わってきます。それぞれの方法について確認していきましょう。

税抜経理方式

税抜経理方式とは、売上や仕入に関する仕訳を税抜き金額で行う方法です。より具体的には、課税売上げに係る消費税等の額は仮受消費税等とし、課税仕入れに係る消費税等の額については仮払消費税等とします。

実際の仕訳で確認していきましょう。

平成26年4月1日以降令和元年9月30日までの期間内に、小売店が商品を7,000円(税抜き)で掛仕入し、10,000円(税抜き)で現金で販売した場合には以下の仕訳を行います。

(1) 仕入時

(2) 売上時

税込経理方式

税込経理方式による場合は、課税売上げに係る消費税等の額は売上金額、仕入れに係る消費税等の額は仕入金額などに含めて計上し、消費税等の納付税額は租税公課として必要経費又は損金の額に算入します。

実際の仕訳で確認していきましょう。数値は上記の条件と同じです。

(1) 仕入時

(2) 売上時

参考:国税庁HP税抜経理方式又は税込経理方式による経理処理

税込経理方式と税抜経理方式どちらを選ぶべきか

税抜経理方式と税込経理方式はそれぞれメリット、デメリットがあります。どちらの方式を選ぶべきか?以下で紹介するメリット、デメリットを参考にして選んでみて下さい。

まず税抜経理方式のメリットは以下のようなものがあります。

・経営に役立つ数字を把握するこができる

税抜経理方式は正しい損益を把握することができます。
一方、税込経理方式の売上や仕入等には消費税が含まれているので、正しい損益ということはできません。最終的な損益が一致するとしても、売上や仕入等が消費税額分だけ上乗せされている場合は正しい数値とはいえないでしょう。

・支払うべき消費税額が計算しやすい
税抜方式の場合、【仮受消費税等-仮払消費税等】を計算するだけで現在の支払うべき消費税の金額がわかります。

税込経理方式の場合は計算し直す必要があるので、支払うべき消費税の計算は、税抜経理方式の方がより簡便的であるといえるでしょう。

・一度に全額費用処理できる対象となりやすい
一定の条件を満たした中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を購入した場合、その取得価額の全額を購入時に費用に算入することができます。

ここで、30万円未満かどうかの判断は
税抜経理方式であれば、税抜き金額
税込経理方式であれば、税込み金額で判断します。

具体例を使って確認しましょう。
税抜価格290,000円 税込価格313,200円の固定資産を購入した場合には
税抜経理方式を採用していれば、購入時に全額費用処理できます。
税込経理方式を採用していれば、購入時に全額費用処理できません。

したがって、税抜経理方式を採用した方が30万円未満の条件を満たすことができる可能性が高いです。

一方、税抜経理方式のデメリットは以下のようなものがあります。

・処理が煩雑
税抜経理方式を採用した場合、税抜き金額と消費税額を分けて仕訳する必要があり、計算に手間がかかります。そして、上記のとおり、仮受消費税等、仮払消費税等といった使用する勘定科目が増えます。

・税込経理方式のメリット、デメリット
税込経理方式のデメリットは、税抜経理方式のメリットを受けられないことです。
その代わり処理が簡便的であるというメリットがあります。また、免税事業者は税込経理方式しか採用することができないので注意が必要です。

消費税処理についてのまとめ

税抜経理方式と税込経理方式の違いを中心に説明してきました。上記で説明してきたとおり、税抜経理方式を採用した方がメリットは多いです。しかし、税抜経理方式の処理は複雑であり計算に手間がかかります。また、免税事業者の場合は税抜経理方式を採用することはできません。

消費税を経費として計上する方法は複数あり、使用する勘定科目も異なります。
ご自身の状況にあった方法を採用して下さい。計算方法に不安があったり、どちらの方法を選んでよいか分からない場合は税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたライター

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