会社の経理をしていたり、簿記の勉強をしていたりしていると、受取手形の処理でつまずく人が多くいます。受取手形の処理の中でも手形割引というのは日常生活になじみのないものであるため、なおさら抵抗感がある人も多い項目の一つです。そこで今回は手形割引について一通り解説しながら、手形割引の仕訳についても説明していきます。
手形割引を説明する前に、受取手形について説明します。
企業間取引では、商品の売買が行われた際に現金預金でやり取りをすることがあります。しかし、毎回商品売買をするたびに現金預金でやり取りを行っていると、煩雑であり振込手数料がかかることから、一定期間で締めて、その後期日になったら振り込みを行うことが一般的です。
しかし、1か月サイクルでそれを行っていると資金繰りに困る場合があるので、1か月後に振り込みを行う代わりに手形を発行することがあります。手形は指定された期日までに銀行に持ち込むことで、その期日にお金が振り込まれることになります。
しかし、中小企業等資金繰りに困っている会社であればいち早く資金化したいと思うでしょう。中にはその換金できない期間の為に借入をする企業もあります。しかし、銀行には与信枠もあり、また思った時に借入ができないリスクもあるでしょう。
そんな時、手形を銀行に対して買い取ってもらうことで資金繰りを改善することができます。これを「手形割引」と言います。ただ、銀行はその手形を額面通り買い取ってくれるわけではなく、一定の利率を割り引いて振り込みを行います。
手形割引の仕訳については、従来利息の性質が強かったということで、支払利息割引料として計上したのちに、未経過利息分については前払費用として振り返る仕訳が必要でした。しかし、金融商品会計が改正されてからは、手形の割引は銀行への手形の売却としての要素が強いとして、額面との差額分は手形売却損とされるようになりました。
例として、40,000円の受取手形を銀行に持ち込み、39,000円振り込まれた時の仕訳を見てみましょう。
となります。仕訳の摘要欄には、受取手形の相手先や期日などを記載しておくことが多いですが、手形の量が多い会社であれば手形帳で別途管理されることとなります。
なお、手形売却損は金融費用として、最終的に営業外費用に計上されます。
この方法は直接割引手形を減額して仕訳が終わっていました。これは、受取手形を別帳簿で管理しており、いつ元々の受取手形の期日が到来していたかを把握している場合に用いられる方法となります。
これ以外にも、対照勘定法や評価勘定法という方法があります。1つ目の絵対照勘定法について、先ほどの例と同じように40,000円の受取手形を銀行に持ち込み、39,000円振り込まれた時の仕訳を見てみましょう。なお、保証債務料は400円とします。
手形割引時
手形決済時
対照勘定法は手形の管理をするのに役立つ方法ではありますが、決算書に様々な勘定が載ってしまうため、実務では敬遠されがちな方法です。
2つ目に評価勘定法を用いて先ほどの例と同じように40,000円の受取手形を銀行に持ち込み、39,000円振り込まれた時の仕訳を見てみましょう。なお、保証債務料は400円とします。
手形割引時
手形決済時
対照勘定法では手形割引義務勘定を両建てで用いて管理していたのに対して、評価勘定法では割引手形勘定で管理を行います。この時、割引手形には補助科目を用いて会社ごとの管理を行います。
今までの例では割り引いた手形が無事に決済されていました。しかし、手形を発行した会社の資金繰りが悪化したことによって支払い不能になることがあります。これを、手形の不渡りと言います。手形が不渡りになり、取立費用500円支払った場合、以下のような仕訳をします。
対照勘定法の場合
評価勘定法の場合
どちらの場合も不渡手形が貸借対照表に計上され、今まで行ってきた仕訳を取り崩す仕訳となります。
手形割引の処理は色々方法があります。これは、手形割引の期末時点での残高を財務諸表に注記しなければならないので、どこかで管理する必要があるためです。また、貸倒引当金設定の対象には割引手形も含まれるため、割引をした直後に帳簿から消してしまうと貸倒引当金の設定が漏れてしまう可能性があるため、管理が必要となってきます。
複数種類設けられているのは、会社が会計ソフトで割引手形を管理するのか、手形台帳を用いて管理するのか、やりやすい方法での管理を選択できるようにしているためです。
手形を銀行に対して買い取ってもらうことで資金繰りを改善することを「手形割引」といいます。手形割引を仕分ける方法として、最も使い勝手がいいのが、評価勘定法であり、割引手形勘定を用いて仕訳を行い、割引手形には補助科目を用いて会社ごとの管理を行います。
受け取った手形が手形発行企業の資金繰り悪化で回収できなくなることを「手形の不渡り」といいます。
現金でその都度管理する手間が省ける分、発生・回収時にしっかりと残高の一致を確認し、抜け漏れを防ぐ必要があります。
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