経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。売上・売掛金管理、人事労務管理、主計業務等です。この中に、買掛金管理という業務があります。買掛金管理は会社が仕入先に出金するまでの過程ですので、非常に重要な管理業務と言えます。そこで、今回は買掛金管理について、各場面について解説したいと思います。
買掛金の概要については下記のコラムでも詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
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買掛金管理というのは、仕入から支払いまで一連の流れを言います。具体的には、以下のような流れとなります。
このように、買掛金管理では支払のみならずその受け入れた在庫についても管理が必要となります。
買掛金管理のスタートはどれくらい仕入れる必要があるかを全社的に決定することから始まります。
これは、販売予算と製造予算とをすり合わせることによって、最終的に製品が何個必要になるかを計算し、その上で今ある在庫や余剰でどれくらいの在庫を持つかによって決まります。
期首がスタートするまでに予算を提出し、他部署とのすり合わせを何度も行い、取締役会等で承認されたのちに1年がスタートします。
購買予算に沿って年間の購買を行いますが、実際に企業に発注するかは購買部門での決定事項となります。
購買については、どの相手に発注しても良いわけではなく、品質面、安定して供給できるかどうか(倒産しないか)、高すぎないかどうかを総合的に勘案して発注先が決められます。
特に新規の取引先は何があるかわからないため、基本的には稟議と同等の承認が必要となります。
その上で、発注先が決まると注文に移ります。製造業のように、在庫管理が徹底している企業であれば、汎用品とそれ以外の在庫に分けて、汎用品であれば在庫が何個以下になったら自動で発注をかけるなどのシステムが構築されています。
また、それ以外の在庫は必要になった都度製造部門が購買部門に依頼をして発注をかけてもらうこととなります。この時点では、会計上の仕訳は起こっていません。
発注した製商品は、納期までに企業に届くことになります。この時に、受領書、納品書が一緒についてきて、受領書については運送会社等にサインして返却し、納品書は会社に残ります。納品書に基づいて検品部署が内容を確認して納品入力をシステムで行います。
大きな会社であれば、この時点で仕入と買掛金がシステム上計上されます。この時、製商品の品番、品名、数量、単価、仕入先を正確に入力すれば、最終的に支払いシステムまで流れるようになってきます。
ここで、間違った製商品が届いたり、破損していたりすると、返品となり返品伝票を起票後にシステム上仕入と買掛金のマイナス入力が行われます。
企業がある一定期間、多くは1か月に納品された製商品に対して仕入先から請求書が月初等に届きます。このまま請求書通りに支払ってしまうと、実際は納品されていない製商品についても支払いが起きてしまうかもしれませんので、納品実績合計と照合して一致を確認したのちに支払いに回すことになります。
なお、納品実績と請求書が不一致の場合は納品実績に合わせて支払いに回し、差異が出ていた場合は後日翌月の振り込みと同時に支払うことが多いです。
これらを経て支払っても良いとされた振り込みについては、最終的に経理部長などの一定以上の職制が承認をし、実際に銀行から支払われます。
なお、いつまで経っても先方から請求書がこない場合は担当部署から先方に問い合わせを行いますが、それでも原因が解明されず2年以上経過したものについては会社の判断により買掛金を取り崩すことがあります。
これは商取引の時効を参考にしていると思いますが、このように取崩を行う場合は雑収入などを計上します。
以上の流れで仕入と買掛金は管理されますが、在庫の管理はどのように行うのでしょうか。基本的にシステムで管理している為、システムと実際の在庫の数量は一致するはずです。
しかし、実際に払い出した在庫とシステムに入力された在庫が不一致の場合は、実際の在庫が減少し、システム上の在庫が据え置きとなってしまいます。
また、検収時に誤った数量を入力してしまうとそもそも在庫の実数とシステム上の数値が不一致となってしまいます。これらを月の間に気づけば大丈夫ですが、多忙な部署であればあるほどそのまま放置されてしまいます。
これらの帳簿と実数との差異を把握するために、毎月、半年に一回もしくは年に一回棚卸という作業を行います。
棚卸では、システム上の在庫と実際の在庫を照らし合わせることによって、差異を把握し、原因を解明することでシステム上の在庫を正しいものに変換します。それでも原因がわからなかったものについては、実際の在庫数量に合わせておくことになります。
日々の管理が適切に行われていれば棚卸で差異は出てこないですし、棚卸の際の差異分析には時間がかかるため、やはり日々適切な入力を心がけることが大切です。
いかかでしたでしょうか。買掛金管理とは仕入の予算を立てて、実際に代金を支払うまでの一連の流れを管理することを言います。
実際に経理が会計上の仕訳を行うのは注文した商品を受け取ったときからですが、商品の個数を管理する際に間違って入力をしてしまうと、決算時に大変になってしまうので、棚卸という在庫と帳簿在庫を照らし合わせる業務を行います。
そこで差異が生まれないよう、日々の業務を丁寧に行うことが経理や財務担当者には求められます。