士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

戦略ドメイン?事業ドメイン?事例を使ってご紹介!

HUPRO 編集部
戦略ドメイン?事業ドメイン?事例を使ってご紹介!

まず初めに、戦略ドメインと事業ドメインは同じ意味で使われます。本記事では、事業ドメイン表記で進めていきます。
ビジネスを始めるにあたって、事業ドメインの定義は大切です。事業ドメインによって、ビジネスの方向性や競争相手が決定するためです。でも、事業ドメインという言葉を聞いたことがあっても、ちゃんとした意味を知らないという方も多いはず。そんな方のために、本記事では、事業ドメインについて事例を交えながら紹介します。

事業ドメインとは?

事業ドメインとは、企業が経済活動を展開する事業領域、または主力事業となる本業のことを指す経営学の用語です。企業が継続的に成長していくためにも事業活動の範囲を設定し、必要な経営資源を投資するための重要な経営戦略と位置付けられています。

事業ドメインの設定は、事業の将来性や可能性、顧客・技術・機能を軸としたコア・コンピタンスを正確に理解・把握し、競争優位性を獲得できる最適な市場調査と市場の選択が求められます。

事業ドメインの事例

《ヤナセ》
ヤナセは自動車販売会社で、高級外国車「メルセデス・ベンツ」「BMW」「Audi」などの販売を手掛けていますね。
自動車業界の事業ドメイン(事業領域)にありがちなのは、「世界一カッコイイ車を提供する!」「最高の乗り心地を、世界基準の技術で実現する!」などといった、製品を中心にして決められています。
しかし、ヤナセは「クルマではなく、クルマのある人生を提供する」という、お客様を中心に事業ドメインが決められているのです。

《セブンイレブン》
現在、国内最大の小売業となっているセブンイレブンの事業ドメインは「近くて便利」です。
果たしてコンビニは何屋さんなのでしょうか?食品もある、お弁当もある、生活用品も、本もある。銀行やコピー機に支払い窓口、宅急便まである。果たしてこれを「何屋」とくくれるでしょうか?
「近くて便利な存在」としかいえませんよね?コンビニは「コンビニエンス」という「生活の便利」を売っているわけです。モノではなく、利用者のライフスタイルに注目して「業態」というのは作られるわけです。

《コダック》
例えば、カメラのフィルムで世界最大規模の会社の一つであった米コダックは、写真のデジタル化を前にして経営状況が悪化し、フィルム産業自体が消滅したことで主力商品を失いました。結果として別の事業に転換するために企業買収を繰り返すも、2012年には倒産しています。
これは主力商品にこだわりすぎた結果とも言われ、つまり自社の定義が「フィルム産業のリーディングカンパニー」というイメージだったのでしょう。簡単にいえば「フィルム屋」と考えていたことで、デジタル化の対応が遅れたわけです。

事業ドメインを定義する重要性

それでは、事業ドメインを定義するメリットはどこにあるのでしょうか?
一般的に、事業ドメインを定義することで以下のふたつが明確に定まると言われています。
1.ビジネスの方向性
2.競争相手

1.ビジネスの方向性
事業ドメインを定義することで、ビジネスの方向性が明確になります。つまり、ブランド力がつくわけですね。

「カッコイイ車を作る」という事業ドメインを持っている自動車メーカーは、とにかくカッコイイ車を追求することでしょう。事業ドメインを定義していない自動車メーカーは、時には燃費を良くし、時にはデザインを変えてみたりと、方向性が定まりません。

ビジネスの方向性が定まっていないと、特定のファンも付きにくいものです。何をするにも中途半端で、いつしか市場から淘汰されてしまうでしょう。

2.競争相手
事業ドメインを定義することで、競争相手が明確になります。

例えば僕のブログの事業ドメインが「経済・経営学を教える」であった場合、競争相手は経済・経営学の参考書や学校の授業となるでしょう。しかし実際に僕が提供したいのは「社会に対する新しい見方(発見)」です。こうなると経済・経営系に限らず、どんなコンテンツも競争相手になります。

テレビのコメンテイターや、雑記ブログでの社会に対する批判記事なんかも競争相手になり得るのです。このように、事業ドメインの取り方ひとつで、競争相手がガラッと変わります。「表面的には同じ商品を売っていても、全く別の競争相手が出現したりこともあります。

事業ドメインを設定するポイント

事業ドメインを定義する際に押さえておきたいポイントが2つあります。
1.コア・コンピタンスの把握
2.ケイパビリティの理解
コア・コンピタンスとは、自社の持つ技術の中で、核となる技術や特色のことです。その会社を支える基礎的な技術のことですね。

例えば富士フィルムはかつてフィルムカメラ事業で有名な会社でしたが、2006年から化粧品事業へ参入しました。富士フィルムのコア・コアコンピタンス(核となる技術)はフィルムを扱う上で蓄積した「超微細粒子」や「コラーゲン制御」などの技術です。これらの技術を化粧品にも生かしたのです。

また、ケイパビリティとは組織としての能力のことです。組織の能力は「個人の能力」×「組織構成」で決定されます。事業ドメインを定義する際には、現在のケイパビリティで達成可能なドメインを定義するべきでしょう。

以上のように、事業ドメインは「技術」と「組織」を意識して決定することがポイントになります。事業ドメインを設定するためには、自社のコア・コンピタンスの発揮とCTMフレームワーク分析が欠かせません。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:コラム・学び
    タグ:

おすすめの記事