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健康問題にも直結?!ソーダ税について知りたい

HUPRO 編集部
健康問題にも直結?!ソーダ税について知りたい

WHOの呼びかけで、砂糖が含まれる炭酸飲料水へ課税する方針となっています。そこで、今回は肥満税とも呼ばれているソーダ税についてお話していきます。糖分を過剰に摂取することは、肥満だけでなく、虫歯や糖尿病など様々なリスクを引き込んでしまう恐れもあり、国民の健康を促すために、甘い飲料水の価格を上げることで、消費量を引き下げようという狙いがあります。それでは、ソーダ税の実情について解説していきます。

そもそもソーダ税とは?

糖分の多い飲料に課される税金

誰もが口にしている、スポーツドリンク、アイスコーヒー、果汁入りジュース、炭酸飲料水には、1缶につきおおよそティースプーン10杯の砂糖が配合されていると言われており、これらの飲料には税金が課されます。つまりソーダ税は甘い炭酸飲料だけでなく糖分が多く含まれる飲料にかかる税金ということです。

フランスにて、2012年1月に加糖炭酸飲料1缶に対し約1円(0.01ユーロ)の税を導入したのが、世界で初のソーダ税となっています。
成人の70%以上が太りすぎで、32%が肥満体だというデータを有するメキシコでは、1リットル当たり約5.5円(1ペソ)の加糖飲料税が導入されています。

冒頭でもお話していますが、ソーダ税は、2016年10月11日にWHO(世界保健機関)が、生活習慣病や子供の肥満などを抑制するため、糖分を多く含む飲料に課税するよう加盟国・地域に呼びかけることで誕生した税金です。

肥満大国アメリカで話題の税金

米国ペンシルベニア州のフィラデルフィア市では、2017年1月にソーダ税が課税されるようになり、増税になって短期間で炭酸飲料やスポーツドリンクを摂取する人が減り、加糖飲料の消費が大幅に減少しました。
一方、加糖されていない飲料水(ブラックコーヒーやミネラルウォーターなど)を飲む人は増えました。

アメリカの有識者たちは、一時的に加糖飲料水の消費は減少しているけれども、この税金を課したからといっても市民が健康になるわけでもなく、他の不健康なジャンクフードなどを摂取が増加するなどしていること
から加糖飲料への課税がすぐ健康になるとは限らないという意見が多いのです。

また、一部の批評家、政治家の間では、この税制度が低所得者層など貧しい人たちを追い込んでいるだけだと論じて、市民感情をコントロールしているだけの過保護な国家的策略という批判も上がっています。

「SIN TAX」罪の税ともいわれている!?

日本でも過去には同じような税金が存在した

日本では1901年、明治34年に砂糖へ今でいう消費税が課税されているのです。
砂糖の色(色相別課税制度)により税率を変えていました。黒糖が一番低い税率で、精製を繰り返し白くなるほど税率は高くなります。白い砂糖は贅沢品ということで高い税率が課されていたのです。

この砂糖消費税は昭和15年以降改正されて、糖蜜を分離しない製造法の「含蜜糖」と、分離する製造法の「分蜜糖」で税率が区分されました。含蜜糖でも糖度が86度を超えると高い税率が掛けられていました。

それが1989(平成元)年に消費税が導入され、砂糖に対する消費税は廃止されました。ということは、平成元年の砂糖への課税廃止まで、砂糖を購入する際、消費税を払っていたということですね。

また、2015年6月には、厚生労働省による「保健医療2035提言書」の中で、砂糖だけでなく、タバコやアルコールなどにも課税を検討していくべきだという記載がされています。

(参考:「保健医療2035提言書」より)

ソーダ税がなぜ“罪の税”と言われているのか?ということですが、税率をあげることで政府の課税により税収益が入ってくるのではないかと思われたのですが、政府は税収益を得たいというより、消費者にタバコやアルコールの消費量を抑えて健康なってもらいたいという意図が隠されています。

ソーダ税を課税することで健康になったのか?

糖分の過剰摂取を抑制することが重要

米ドレクセル大学公衆衛生学のYichen Zhong氏らがコンピューターで選んだ番号に電話をかける方法で実施した調査によると、ソーダ税導入から1,2か月以内に市民が加糖飲料を日常的に飲んでいる確率は、ソーダ税を導入していない他の都市(このときは3つの都市)と比べて、先述しているソーダ税を導入しているフィラデルフィア市で40%低いという結果になりました。

やはり価格の上昇によって消費量は確実に抑えられているといことです。
甘い炭酸飲料だけでなく、フルーツ果汁入りのジュースであっても糖分過剰摂取のリスクは十分高いと考えられます。
フィラデルフィア市では、缶コーラなど加糖炭酸飲料の消費は減っているのですが、“Sunny Delight”といったフルーツジュースの消費量は増税前よりも増加傾向にあるといわれています。

“Sunny Delight”課税対象飲料なのですが、フルーツ果汁配合ならヘルシーだという間違った認識のためだと思われます。コーラも果汁入りジュースも加糖されている量は同じです。
成人病、肥満予防のためにも過剰な摂取を控えなければいけません。

まとめ

「国民の健康増進」を目的として始められたソーダ税。その効果は地域差があり、加糖飲料の消費量が減っていっても、そのほかのジャンクフードの消費が増えたという本末転倒なケースもあります。しかし、実際に課税したことで消費量は確実に減少しているといえるため、過剰摂取を控え、個々人が健康を意識していく必要はありますが、その方向付けとしてソーダ税は役立っているのではないでしょうか。

この記事を書いたライター

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