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CBOとは何か?わかりやすく解説します!

HUPRO 編集部
CBOとは何か?わかりやすく解説します!

企業の資金調達方法の一つとして、社債を発行することがあります。しかし、社債を発行するためには、企業の信用力が重要となりますが、信用力が低い企業は社債を発行することができず、資金調達ができませんでした。そこで開発されたのが、CBO(Collateralized Bond Obligation:社債担保証券)です。社債担保証券は複数の企業の社債をプールすることで、通常は社債が発行できない中小企業でも社債発行と同様の効果を得られる資金調達の方法として注目を集めました。この記事では、そんなCBOとその歴史についてわかりやすく解説していきます。この記事を読むことで、CBOについて詳しく知ることができます。

CBOとは

CBO(Collateralized Bond Obligation)とは、日本語で社債担保証券と呼ばれる証券の一種です。CBOは、複数企業が発行した債権(社債)を金融機関や特別目的会社がまとめて証券化したものとなっています。CBOは、資産の流動化に関する法律に規定された金融機関や特別目的会社が発行します。CBOは資産担保証券の一種で、社債によって構成されていますが、貸付債権のみで構成された資産担保証券の場合には、CLO(Collateralized Loan Obligation)と呼ばれ、貸付債権や公社債で構成された資産担保証券の場合には、CDO(Collateralized Debt Obligation)と呼ばれます。

CBOは、資産担保証券の一種であり、金融機関や特別目的会社が複数の社債を裏付け資産として発行するものです。その仕組みとして、数百の社債をプールし、そのポートフォリオを裏付けとして証券を発行する仕組みで、プールされたポートフォリオからのキャッシュフローを原資として、元金利の支払いを行います。企業が発行する社債をSPC(Special Purpose Company 特別目的会社)が買い取り、それらを担保に新たな証券を発行するのがCBOです。

ポートフォリオからのキャッシュフローによる支払い順位が優先される高い格付けの証券と、その証券よりも支払い順位が劣後する格付けの低い証券を作り分けることによって、異なる選好を持った投資家のニーズに応えることができる金融商品です。その信用力に応じて、シニア債権、メザニン債権、ジュニア債権(劣後債権)と呼ばれます。格付けが低い債権を集めたものほど金利は高くなるという利点がありますが、その分、デフォルトのリスクも高くなるので注意が必要です。
担保の資産となる社債については、新規発行のものを利用することもできますし、既発行のものを利用することも可能です。新規発行の社債を利用してCBOを作る場合をプライマリー市場での調達と言い、既発行の社債を利用してCBOを作る場合をセカンダリー市場での調達と言います。

日本では、新規発行社債を利用したCBOが中心で、低格付けの企業であって、社債を単独で発行することが困難な場合でも、CBOに参加することを通じて資本市場から資金を調達することができるようになるので、信用力の低い中小企業にも社債発行の可能性をひらく証券として注目を集めています。複数の社債を一つにまとめてリスクを分散するので、通常、信用力が低いために単独で債権を発行することができない場合でも社債の発行が可能となります。なお、格付けが高い企業がCBOに参加する場合にでも単独で社債を発行するよりも良い条件で発行できるなどの利点があります。CBOは、1980年代のアメリカで発行が始まり、日本でも1990年代後半以降から相次いで発行されるようになりました。2006年には、数百社から1,000社を超える中小・中堅企業の社債を束ねたCBOである「広域CBO」が発行されましたが、リーマンショックのあおりをうけて、2009年と2010年に広域CBOの一部の元金利が返還されない状態となりました。このCBOは、みずほフィナンシャルグループが「エクセレントコラボレーション」という名称で販売していたCBOで、総額160億円となっていました。商品は返済順位に応じて4種類に分かれていましたが、返済順位の低いCBOは元本の35%、さらに返済順位の低いCBOは価値がゼロとなるなど問題となりました。その原因は、CBOの償還原資となる中小企業の返済額が見込みを下回ったためであると言われています。当時、このCBOは、新銀行東京と並んで、都の中小企業の資金調達支援策の両輪であったために、大きな問題となりました。結果として、リーマンショックによって、この広域CBOがデフォルト状態となってから、日本ではCBOの発行はほとんど行われなくなり、企業の資金調達の方法としてはあまりメジャーではなくなっています。

おわりに

 CBOは、複数の社債をひとまとめにすることでリスクを分散することができるので、信用力が低い企業でも社債を発行して資金調達ができる方法として注目を集めました。中小企業であっても、CBOに参加することで、資本市場から資金を調達することができたわけです。しかし、リーマンショック後、CBOの発行はほとんどなくなっているのが現状です。CBOは複数の社債を裏付け資産(担保資産)としているので、社会全体の経済情勢が悪くなると、CBOに参加しているすべての企業の業績が悪化して、一気にデフォルトする可能性があるため、参加する場合には、きちんと経済情勢を見極めることが重要です。

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