士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

公認会計士の必要性とは?AIで変わりゆく社会でどんな役割が求められる?

HUPRO 編集部
公認会計士の必要性とは?AIで変わりゆく社会でどんな役割が求められる?

将来、公認会計士になりたいけれど、どれだけ需要があるのか、またどのぐらい報酬を得ることができるのか気になるところだと思います。AIやクラウド化によって会計士の仕事が減っていくという声も聞くことが多いですが、果たして本当にそうなのでしょうか。公認会計士の必要性と今後求められる能力について解説します。

そもそも公認会計士の役割は?必要性とは?

公認会計士 必要性

公認会計士とは「公認会計士協会」によれば「社会の健全な発展に貢献し続ける経済経営のスペシャリスト」と言われています。弁護士、医師と並んで三大国家資格といわれる公認会計士は、「監査業務」という独占業務を扱っているため、法的にもその重要性は担保されています。

公認会計士法第1条によれば、「公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。」とあり、日本の資本主義社会で企業が健全な経済活動を行っていくためには必要不可欠な専門家、といえます。

とりわけ、上場企業にとって公認会計士は無視できません。
上場している企業は、法律によって会計監査を必ず受けなければならないという決まりがあるためです。会計監査とは、企業が作成した決算書に誤りや偽りがないかのチェックを行い、監査報告書を発行する業務を指します。この監査業務は公認会計士の独占業務であるため、上場企業は否が応でも公認会計士に頼らざるを得ないのです。

これは上場を目指す企業も同様です。
上場を目指す企業がよく「IPOを目指す」といいますが、上場をする際には事前に審査があります。その基準はとても厳しい上にかつ複雑で難しいものです。
上場申請日から起算して1年以上前から準備が必要であり、上場後も財務面、決算発表といった複雑な会計作業が不可欠となります。上場後に多額の資金調達が可能とはなりますが、そのメリットに対しての大きな責任が生じます。その最たるものが会計面、公認会計士の独占業務にあたる内容になるのです。

【上場関連の用語】
IPO(Initial Public Offeringの略)=新規株式公開
公募増資=新たに株券を発行して公募すること
売り出し=保有していた株式を売り出すこと

AIやクラウド化で公認会計士はもういらない?

最近ではマネーフォワードや会計ソフトfree等、複雑な会計業務もクラウド会計ソフトで処理が可能となっています。複雑な会計処理等をAIで、といった開発も活発です。これらを聞くと、公認会計士は必要なのか?いらなくなるのでは?といった考えがよぎります。

しかし、公認会計士の仕事は、会計業務だけではありません。
専門知識と経験を活かし、会計数値から不正の可能性や健全な会計業務を行うための解決策、今後の経営の動向と進言といった、企業経営に関わる重要面での示唆出しが必要です。

いくらAIやクラウド化が進んだといっても、これらはすぐには取って代わることは難しい内容です。
また、解決策を示して実行まで、という面は人間でしか関われません。昔のような監査業務全てを公認会計士で、というわけではなくなりますが、さらに一歩未来的な思考、示唆だしといった点は、これからの公認会計士に求められる力とも言えます。

「求められる領域でクライアントの期待値を超える公認会計士」になるには

公認会計士の必要性を前述してきましたが、「独占業務があるから」「専門家として特に上場企業には欠かせないから」とあぐらを欠いていては、クライアントは離れていきます。
どの職業にも言えることですが、「専門家だから」という理由だけで、クライアントから依頼をとれる時代は終わりを迎えつつあります。

最近では従来の公認会計士とは異なり、「会計のスペシャリスト×〇〇」で活躍する公認会計士も増えています。会計知識と経験を活かして、より踏み込んだ経営戦略やこれからの伸びが期待できる企業のCFO(最高財務責任者)として事業に取り組んでだりと、クライアントの期待値を超えるパフォーマンスを見せる人たちも誕生しています。

前述したAIやクラウド会計等の発展から、従来の監査業務だけでは公認会計士の価値・見方が変化してきていることの表れです。より個が引き立ち、組織に属しているだけでは評価されなくなっている時代、公認会計士も同様のことが言えます。

【補足】
※実際、海外(イギリスやニュージーランド等)では、会計業務等の処理はクラウド会計に任せ、監査や経営戦略に携わってくれる公認会計士が欲しい、そのためなら高額の顧問料も支払う、というような必要性が高まっているようです。

単に所属する会計事務所の案件で一定のパフォーマンスを出すだけでなく、クライアントがより経済的に成長するにはどうしたらいいのか?等の、専門家としての一歩踏み込んだ提案や実行ができる公認会計士がこれからより求められる時代になり、社会的にも公認会計士の必要性が変化していくでしょう。

公認会計士の最新の転職動向についてはこちらの記事でもご紹介しています。
参考記事

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:転職・業界動向

おすすめの記事