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運転資本回転率とは?計算方法や活用方法を解説!

HUPRO 編集部
運転資本回転率とは?計算方法や活用方法を解説!

運転資本回転率は、会社の財務状況を把握または改善する重要な指標の一つです。
製造や小売などの在庫を伴うビジネスを中心に、運転資本の管理は非常に重要で、運転資本が高いと利益が出ていても、売上の増加に伴って運転資本も比例して大きく膨らんでいき、さらなる資金が必要となって成長の制約となります。今回は、運転資本と運転資本回転率について見ていくことで、財務指標の管理方法を学んでいきたいと思います。

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運転資本の計算

運転資本回転率に入る前に、まず運転資本の内容と計算方法を見ていきましょう。
運転資本は下記の計算式によって求められます。

運転資本=流動資産(現金および現金等価物を除く)-流動負債(借入金などの有利子負債を除く

流動資産は企業が事業活動を行っていく上で、日々発生もしくは保有している財産となります。一方では現金は除くため、普段の事業運営上必要となっている資金です。
例としては下記のようなものとなります。

売掛金・・・商品の納入やサービス提供が終わっており、役務の提供が完了している状態ですが、売上代金の入金がない状態です。基本的には企業は既に役務の提供のために商品の仕入やサービスの提供のための社員の給料の支払が発生しています。売掛金はその意味で代表的な運転資本です。

商品・・・商品が帳簿上にあり、現に保有している状態は、既に商品は仕入れているため、その資金は事業運営上必要な資金となります。小売業などを初めとして一定の商品はストックしておく必要があるので、この金額も重要です。
逆に運転資本を抑制する流動負債で代表的なものは下記になります。

買掛金・・・商品やサービスの提供を受けていますが、支払はまだ行っていない状態で、先に役務の提供を受けて、その商品やサービスを基に事業を行えてるので、運転資本を引き下げる効果があります。同じく代表的な未払金や未払費用も同様の効果があります。

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運転資本回転率の計算

運転資本回転率は、下記の計算式にて計算されます。

運転資本回転率=売上高÷運転資本

運転資本回転率において重要なのは売上高に対して運転資本がどの程度発生しているかです。掛売りが多くて売掛金の残高が大きかったり、商品の在庫を常に多く抱えるビジネスモデルの場合、運転資本の金額が売上高に対して大きくなり、運転資本回転率の数値が下がります。

例として、年間の売上高が1,200万円のビジネスを営んでいる小売業の会社を想定してみましょう。単純化するために流動負債はないものとします。
店舗で小売ビジネスを行っているある会社では、倉庫に加えて店頭での陳列用にも在庫が必要になり、300万円の商品があります。その場合、1200万円÷300万円で運転資本回転率は4となります。

一方、ネットのみで販売する小売ビジネスを行っているある会社では、最低限の倉庫の在庫のみで、商品は100万円です。その場合、1200万円÷100万円で、運転資本回転率は12となります。

このように運転資本回転率を計算して比較すると、同じビジネスでも、在庫を抱えるビジネスかどうかなどによって必要な運転資本が大きくことなることがわかります。

前者の会社ではビジネスを行うのにあたって300万円の在庫を維持する必要があり、300万円が事業を始める・継続するのに常時必要になります。一方で後者の場合は在庫が抑えられていることによって、100万円の元手で普段のビジネスを行うことが出来ます。

運転資本回転率を改善させる方法

運転資本回転率が高い場合、事業が上手く行き、売上高が上がっていっていても、それに伴って運転資本の大きく膨らんでしまいます。最悪のケースとしては、売上高が伸び、利益が出ていても、運転資本の増加する割合が高いがために資金が回らなくなり、黒字倒産といったことも起こります。このような事態を防ぐために、運転資本回転率を改善していくことは重要です。

運転資本回転率を改善させるには運転資本への深い理解が必要です。運転資本は流動資産の増加と、流動負債の減少によって増加します。そのため、運転資本回転率を改善させるには、売上高は維持しつつも、売掛金や商品在庫などの流動資産を減少させる経営努力を行い、一方で商品の仕入れやサービスの受領に際しては、可能な限り支払期日を長めに設定して契約することで達成されます。

いかがでしたでしょうか?どうしても日々のビジネスを捉える時には損益計算書で出てくる営業利益や経常利益をベースに事業を捉えることが多いかと思います。一方で、営業利益を高めるために、小売業の会社が、販売の機会損失を減らそうとし、普段余り売れない商品も全て店頭に並べたりすると、損益上は売上高の機会損失が減って売上高の増加や営業利益の増加が見込めるかも知れませんが、商品在庫を多く抱えることによって運転資本回転率が悪化していく可能性も高いです。
売上高と運転資本増加の関係性を指標で常に補足していくことで、財務分析も普段から行えるようにしたいですね。

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この記事を書いたライター

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