特別損益という項目についてご覧になったことがあるでしょうか?
企業によって様々な科目があることに気づくと思います。今回は、特別損失について解説するとともに、その仕訳はどのようなものがあるかを現役公認会計士が説明していきます。
特別損失とは、通常の企業活動から外れた、臨時・多額の損失を言います。
まず、通常の企業活動のうち、本業に関わるものは売上高、売上原価、販売費及び一般管理費に分類されるため、営業損益に影響があります。
また、通常の企業活動から外れたものとして、銀行から借入した際の利息や他社からの配当金などは営業外損益に計上され、経常利益に影響があります。
ここで、営業外損益は通常の企業活動から外れた行為から発生する損益となります。
しかしその中でも臨時・多額の損失については特別損失として仕訳され、税引前利益に影響を与えることになります。
先ほど、特別損失と営業外費用の共通点は通常の企業活動から外れた行為から発生する費用・損失であることはわかりました。
一方で、経常的に発生するものは営業外費用、臨時多額に発生するものは特別損失となります。それでは、臨時・多額とはどのようなものをいうのでしょうか。
まず、臨時というのは予期せず起こる出来事を言います。例えば、火災や地震、盗難などは予期しようと思っていてもできません。
よって、火災や地震によって建物が倒壊した場合に発生する損失や盗難によって資産が失われた場合には特別損失が計上されます。
また、多額とはどれくらいの金額を言うのでしょうか。実は、多額かどうかというのは企業の判断にゆだねられます。実は、先ほど述べた臨時、というものも企業の判断にゆだねられます。ある会社にとって100万円は多額であっても、超巨大企業からすれば、100万円は極めて少額として処理されます。
つまり、臨時・多額かどうかの判断は企業に任せられる為、例えば固定資産除却損という勘定科目も製造業のように恒常的に発生している場合は営業外費用、その他の業種では特別損失と仕訳されることが多いのです。
なお、特別損失に計上したか営業外費用もしくは販売費及び一般管理費に計上するかどうかのルールは明確にはない為、他社と違っているからと言って即ペナルティがあるわけではありません。また税額計算にも一切関係ありません。
特別損失として計上される一般的な勘定科目は以下の通りです。なお、先述の通り、企業の判断によっては営業外費用やその他の項目に含まれる場合があるので留意が必要です。
固定資産を除却した時に計上する科目です。固定資産を除却した時点での減価償却後の簿価を損失として計上し、同額資産を落とします。
固定資産を売却した時に計上する科目です。固定資産を売却した時点での減価償却後の簿価と、売却した際の価格のうち、超過している簿価金額を損失として計上します。
投資有価証券の期末時点での時価が、取得した時の価格よりも下がっている際に計上されます。中小企業ではあまり見られませんが、会計監査を受けている会社等は多額に発生することがあります。
投資有価証券を売却した際、簿価よりも売却価額の方が低い場合にその差額を損失として計上します。
企業が保有する固定資産について、遊休していたり不採算であったりして、かつ簿価よりも市場価格が下落している際に簿価と市場価格との差額を減損損失として計上されます。なお、減損損失は会計監査を受けているような大会社で見られますが、中小企業ではあまり計上している会社は見受けられません。
なお、減損損失は税法上損金に算入できないので、別表にて加算をすることが必要です。
企業が不採算な店舗や工場を撤退させるとき、取締役会等の会議体でその旨を決議します。通常は、店舗や工場を損失処理するのは除却の際ですが、あらかじめ会議体で決定されている場合はその簿価を閉鎖損失引当金繰入額として損失計上しておきます。また、それだけではなく、リストラをせねばならないのであれば、特別退職金や、固定資産を撤去するための費用などもかかるのであればその費用をあらかじめ見積もる必要があります。
閉鎖損失引当金は減損損失と同様に税法上損金算入できないことが多く、また区別がつかないことも多いです。よって、最終的な勘定科目は顧問税理士または会計監査を実施している公認会計士に相談することとなります。
今回は特別損失に関して解説しました。
ポイントは、
・特別損失は多額・臨時で発生するもの
・計上するかは、企業の主観によるもの
・当期のみを判断するのに判断するのにしようするので、長期的には関係ない。