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税理士の報酬どうやって決める?顧問料は?報酬相場は?

HUPRO 編集部
税理士の報酬どうやって決める?顧問料は?報酬相場は?

税理士の方が独立開業される時、とても気になるのが税理士報酬です。平成14年に標準報酬額規定は撤廃され、報酬は自由化されています。相場はあっても、明確に市場で決定される仕組みはありませんから、新規開業の時、決め方に悩みます。そこで、どう決めれば適正といえるのか、税理士報酬の決め方・相場につき解説します。

標準的な税理士報酬の決め方とは?    

各事務所の、税理士報酬を決める考え方を見ますと、売上高にしろ、取引高にしろ、あるいは相続財産の額にしろ、「手間がどれだけかかるか」をわかりやすい金額の形に引き直し、報酬の基準にしているのが税理士報酬ということができます。例えば、売上高がXXXX万円以上、YYYY万円未満であると、報酬はZZZZ円、と書けば、依頼者にもよくわかり、手間をかけた税理士からしても納得ができることになります。

この考え方自体は、旧規定でもとっていたもので、どの税理士事務所にもばらつきがあまりないようです。

税理士報酬の相場とは?

税理士報酬は、「相場を知って、他の税理士の報酬額とかけ離れないようにしておきたい」と思う方が多いのではないかと思います。実際、税理士事務所のホームページを見ますと、「相場」についての言及が多くあります。相場と言いながらも、若干のばらつきは見られますが、多くの税理士事務所で採用されている多数派の報酬が「相場」ですので、以下にまとめてみました。

顧問料・決算料の相場

顧問料・決算料は、日税連の調査結果が「相場」として一番参考になりそうです。
日本税理士会連合会では10年に一度ですが、報酬の実態調査を行い、これを「相場」としてとらえる税理士事務所が多いようです。詳細は日税連の会員サイトで、最新の平成26年度の調査結果を閲覧することが可能ですが、例えば顧問料・決算料について、回答の最多数となっている価格帯は次の通りです。

法人月額顧問料 1万円を超えて3万円以下
同決算料     10万円を超えて20万円以下
個人月額顧問料 1万円を超えて3万円以下
同決算料     5万円以下

また、各税理士事務所のホームページで「価格表」とされているところは、顧問料・決算料とも売上高を基準としているところが多数です。

顧問料・決算料の内訳とは?

ただ、顧問料・決算料それぞれにどういう業務を含むかは問題です。

税理士法で定められる税理士業務は、
①税務相談
②税務代理
③税務書類の作成
④①~③の関連業務(記帳代行など)
からなりますが、顧問契約においては、①の税務相談とともに、経営アドバイス・記帳代行などの業務が含まれており、②、③の決算申告に際しての申告書作成・税務代理とその関連業務(④)は別となります。

そこで、上記②~④の業務を含む決算料という料金設定が生じますが、これは申告書作成・提出に際しての税務代理・決算書・申告書の作成が含まれるのが通常です。

ただし、小さい会社などでは、月次顧問契約を結ばずに、決算申告のみを税理士に依頼するケースも多くあります。

その際は、記帳のチェック等を数か月分の顧問契約料で引き受けながら年1回の契約・業務提供とするなどして対応する・あるいは記帳代行だけ、先行して引き受け、税務相談業務に対する報酬はカットするなどの対応をするようです。

こうした場合の記帳代行の報酬が気になりますが、この点、月当たりの貸借各勘定科目への仕訳数により決めるのが多数派のようです。100仕訳ごとに1万円から1万5千円のあたりの価格設定をしている事務所が多いようです。

相続税の報酬相場

これに対して、相続税については以前からの業界常識として、「相続財産の0.5%~1.0 %」と言われているようです。しかし、相続財産が土地や家屋を足しても5000万円に満たない場合には、この割合を3%ほどに多少上げている事務所も多くみられます。

旧規定に見る適正な報酬の決め方とは?

ところで、上記「相場」ですが、報酬を決め方は、依然として、旧税理士報酬規程における考え方が活きているところがあるようです。

規定の考え方をまとめると、
・顧問料は、法人・個人ともに資本金・総所得基準もあるが、基本的に取引高を基準としている
・税務代理・申告書作成も基準は顧問料と同様の金額基準である
・相続税の申告は、相続財産の価格を基準とする。難易度と相続人数で加算してよい。
という考え方で、税理士報酬が決められています。

なお、税務代理業務については、上で述べた価格は、「上限額」として定められていました。

上記の、報酬を決める考え方は、現在の相場のベースとなる考え方になっており、売上高と取引高の違いがあっても、いずれも「手間を金額に引き直している」ことに違いはありません。

旧規定と現在の相場とであまり報酬が変わらない相続税の税務代理を除くと、若干現状の相場のほうが安めです。

これは上限額を決めていた報酬額規定の通り、下に修正するのは許されるとの考え方がいまだにあること、中小の事業者からの依頼にも、競争が働き、売上高ももう少しきめ細かく区分して、報酬の基準にしていることがあると思われます。

まとめ

以上、税理士報酬を決める考え方、相場、そして旧規定の考え方をまとめて説明しました。手間がかかるわりに、お客さんから正当に報酬が支払われないことも、また「高い」といわれて依頼数が少なくなることも避けたいところです。適正な決め方をする必要があります。

一旦、設定した価格を上げることは難しいですので、ぜひ、上記にまとめたところを参考にし、慎重に報酬設定を行ってください。

この記事を書いたライター

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