慢性的な人材不足の傾向に悩まされている会計業界では、多くの会計事務所が正社員・パート・アルバイトの雇用形態を問わずに常時積極的に求人募集をかけており、会計業界未経験者でも歓迎されるという実情があります。
ただ、普通の一般事業会社に事務職として勤務するのと比べると、どうしても会計事務所への勤務は専門性が求められる印象が強いですよね。経理や会計業務の経験がない方にとっては、「会計事務未経験でも会計事務所で働いて大丈夫なの?」と不安に思うのは当然です。
そこで、この記事では、会計事務所にパートとして勤務するメリットや、会計事務所でのパートの主な仕事内容を紹介します。税理士事務所などの会計事務所では未経験パートの人へのサポート体制が整っているところが多いので、ぜひこの記事を参考に、会計事務所へのパート勤務をご検討ください!
《関連記事》
まずは、会計事務所におけるパートの仕事内容を紹介します。特に、会計事務未経験okの条件で求人募集をかけている会計事務所では、経験者の丁寧なサポートを受けながら基本的な書類作成業務等に従事することができます。
もちろん、会計事務所ごとに力を入れている業務が異なるので仕事内容にも多少の差は生じますが、一般的にはパートスタッフには以下のような業務が任されることが多いのでチェックしてくださいね。
それでは、まずは各業務の概要について見ていきましょう!
月次処理は、会計事務所のメイン業務の一つです。月次処理とは法人企業や個人から預かった売上、仕入れ、領収書などのデータを仕訳に起こす作業です。顧客クライアントの毎月の収支状況を正確に把握する作業なので、非常に重要な仕事です。
月次処理は内容にもよりますが、ベテランなど作業スピードが速い方になると毎月1,000件以上のデータを入力することもあります。
最初は、法人企業の取引データ入力作業は難しく感じるかもしれません。しかし、未経験者でも使いやすい会計ソフトが導入されている会計事務所がほとんどですし、最初は経験者がしっかりと補助してくれるはずです。慣れれば家計簿をつける感覚で行えるようになるレベルの事務作業なのでご安心ください。
次に、会計事務所での給与計算は基本的にパートが担当することが多いです。
給与計算は会社の規定や法律などに基づいた支給金額から社会保険料、所得税など控除分を差し引き、最終金額を決定するなど、確かな正確さを求められる作業です。仮に計算が間違っていた場合は、従業員の生活に悪影響を与える可能性もありますので給与計算は責任を伴う仕事でもあります。
給料計算業務は、一般事業会社の経理業務でも役立つ仕事です。もし今後経理のキャリアアップ転職を検討しているのなら、会計事務所でのパート経験の中でしっかりと給与計算のノウハウを習得しておきましょう。
会計事務所のパートは、クライアント法人や個人事業主の領収書の整理を担当します。
仕入や社員の飲食代などを支払った際に受け取る領収書ですが、「証憑書類」として保存する必要があります。監査が入った際どこに何があるかわからない、見づらくて困る、といったことがないよう丁寧な作業が必要です。
会計事務所のパートの中には、税理士業務等のサポートや補助を任されることも少なくありません。税務は税理士資格保有者しか取り扱うことができないのが原則ですが、税理士のチェックと指導の範囲内であれば、外回りや決算を組むといった作業の補助やサポートを他のスタッフが担当することは妨げられません。
細かな仕事内容については会計事務所や税理士法人が取り扱っている業務内容によっても異なるので、気になる方は面接時などに質問してみましょう。
税理士業務の補助となるとかなり難易度が高いイメージを抱かれるかもしれませんが、基本的には最低限のPCスキルがあれば未経験でも仕事をこなすことができるレベルなので、会計事務所のパート職への応募をためらう必要はありません。
もちろん、最初は処理の仕方などが慣れずに難しいと感じるかもしれませんが、仕組みを理解していけばスムーズに対応することができます。「早く覚えたい!もっと力をつけたい!」という人は、簿記3級の勉強をすることで理解が深まるので、自分のスキルアップのためにも、この機会に資格取得をご検討ください!
簿記3級についてはこちらの記事で詳しく説明しています。ぜひ参考にしてください!
では、会計事務所では、どのような人たちがパートとして働いているのでしょうか。経験不問の求人情報が出ているとはいえ、そこで主に働いている人のイメージを掴んでおけば安心して応募できるはずです。参考にしてくださいね。
会計事務所のパートとして働いている人の中には、税理士試験の受験生がいます。
というのも、税理士になるには、2年以上の実務経験が必要とされているので、税理士試験に合格する前の段階で実務経験要件を充たそうと考えているからです。したがって、試験合格後すぐに税理士として働くために会計事務所でパートとして働いています。
会計事務所では、多くの主婦の方がパートとして活躍しています。
子育て中や育児の関係で、正社員では働きにくいという場合でも、会計事務所のパートなら、シフトの都合をつけやすいからです。シフト希望を出しておけば家事育児との両立も難しくなく、また、会計事務所のシフト都合は比較的つけやすいという傾向もあるので、主婦に人気のパート先となっています。
さらにポイントが高いのは、会計事務所のパートは、一般事務と比べると400円~500円程度時給が高いことも珍しくはありません。もちろん、会計事務所の中で税務補助業務などの難易度の高い仕事を担当することが条件ですが、高い時給でパートとしては高収入を得られる可能性もあります。
主婦の方が会計事務所で働くメリットについては、さらにこちらのコラムでも紹介しています。あわせてご確認ください!
パートとして働く以上、月給や福利厚生面は正社員と比べると待遇は低くなります。ただ、会計事務所におけるパート経験は、やがて会計業界でキャリアアップをするうえで将来的に役立つ可能性が充分にあります。そこで、以下では会計事務所でパートとして働くメリットを3つ紹介します。
それでは、各メリットについて確認していきましょう!
会計事務所や税理士法人は経理職の代表的な就業場所のひとつであり、公認会計士や税理士など専門的知識を有した資格者が在籍しています。パートとして入所すれば、このようなハイスキルをもった会計のプロと一緒に仕事ができるというメリットがあります。
これら資格を持った専門家は、依頼を受けた企業や個人の経理業務、会計処理に日々携わっているため、パートとして一緒に働くことができれば会計処理の基本やイロハなどを学ぶことができます。また、会計事務所はさまざまな法人企業、個人事業主から依頼が入りますので、多種多様な法人企業等の会計に触れられるのも貴重な経験となるでしょう。
会計事務所において多くの企業の会計業務に携わることができれば、将来的には事業会社への経理職転向といったキャリアチェンジなど選択肢の幅が広がります。
会計事務所のパートは資格取得の勉強と両立しやすい仕事です。なぜなら、実は会計事務所というのは年間を通して繁忙期と閑散期の時期がはっきりしているので、閑散期に資格の勉強に集中しやすいからです。
一般的な会計事務所の場合、暮れの12月~翌年の5月あたり(場合によっては6月まで)が繁忙期となります。この時期は12月の年末調整業務代行に始まり、2月から3月にかけて行われる確定申告、4月から5月の企業決算業務や税務申告業務など、会計事務所が残業に追われる日々が続くシーズンでもあります。
それらを終えると閑散期となり、資格取得を目指すスタッフはこの時期に資格勉強を行うのが一般的な流れです。
公認会計士や税理士の資格試験は8月に実施されますので、会計事務所によっては勤務時間や出勤日などの調整を行ってくれることが多いです。家事や子育てなどを行う主婦の方でもチャレンジしやすいのが大きな魅力です。
会計事務所や税理士法人などではスタッフを募集するときに、求人募集では「事務所経験者優遇」「実務経験者優遇」といった条件を付けることも少なくはありません。なぜなら、やはり実務経験がある人の方が即戦力として働いてくれるため、採用時経理や会計業務に携わっていた方を優先する傾向にあるからです。特に、正社員を希望する場合は余計に経験がある方が有利です。
ただし、会計事務の経験が主に問われるのは正社員が中心です。パート職であれば、経験不問の条件で歓迎されることも少なくはありません。これは、会計業界が慢性的な人材不足のあおりを受けているのが原因です。
現在、会計業界は実務経験を持つ若年層世代が一般企業に流れる傾向にあるなど、人材不足の問題に悩まされています。このような世情にあって、会計事務所が正社員を採用するときには実務経験を必要最低限の求人条件に掲げるものの、パート職であれば、実務経験さえ不問でサポート体制を整えたうえで、人材を確保しようとする指向が働きます。
会計事務所のパートとして会計実務経験を積めば、やがては正社員としてキャリアアプをするチャンスに恵まれるかもしれません。会計業界では、地道に経験とスキルを積み重ねるのが重要です!
今回は会計事務所でパートとして働くメリットや主な仕事内容をご紹介しました。会計事務所でパートとして働く主なメリットは「専門家と一緒に働ける」「資格勉強と仕事の両立が可能」「実務経験が積める」の3つです。
これらは将来的なキャリアアップを目指す上でも非常に大きな武器になります。そのため、「会計事務所の正社員登用の面接に落ちてしまった…」「実務経験を積みながら資格取得を目指したい」といった方は、最初の一歩を会計事務所のパートとして踏み出す選択肢もおすすめです。
現在、会計事務所や税理士法人は実務経験ありの人材を求める傾向にありますので、パートとして培った経験や知識が将来的に役立つ可能性は十分あるでしょう。ぜひ積極的にチャレンジしてください!