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パワハラでの退職でする事は?退職理由は伝える?会社都合となる?など解説

Hupro Magazine編集部 剱持
パワハラでの退職でする事は?退職理由は伝える?会社都合となる?など解説

職場でのパワハラは、心身に大きなダメージを与える深刻な問題です。「もう限界…退職したい」と思いながらも、

・自己都合になるのか会社都合になるのか
・退職理由をどう伝えればいいのか
・退職後の生活設計はどうすればいいのか

といった不安から、なかなか動き出せない方も多いでしょう。

この記事では、パワハラを理由に退職する際の手続きや注意点、会社都合退職にできる可能性、退職後の生活設計や転職活動の工夫を事例やチェックリストとともに解説します。

パワハラでの退職は自己都合?会社都合?取れる選択肢も解説

パワーハラスメント(以下、パワハラとする。)を理由に退職する場合、自己都合になるか会社都合として認められるかで大きく待遇が変わります。

・自己都合退職と会社都合退職の違いとメリット・デメリット
・退職勧奨はパワハラにあたる?違法性の判断基準
・退職代行を利用するケースと注意点
に関して、以下でそれぞれ詳しく見ていきます。

自己都合退職と会社都合退職の違いとメリット・デメリット

・自己都合退職: 原則は労働者の意思。失業給付は2〜3か月の給付制限があり、受給期間も短め。
・会社都合退職:解雇や倒産など、会社の責任で働けなくなったケース。失業給付がすぐ始まり、期間も長い。

基本的には会社都合退職をするほうが、労働者にとってはその後の失業給付などの観点で有利になると考えられます。

一方会社都合退職をするには例えば以下のように「会社都合として認められるべき事由」が必要です。会社都合退職には、「会社都合として認められるべき事由」を証明するために労力がかかる場合があるというデメリットもあります。

✅ チェックリスト:会社都合退職と認められる可能性があるケース
・医師の診断書で「就業継続困難」と出ている
・労基署や第三者機関がパワハラを認定
・長期間の休職を余儀なくされた
・会社が改善措置を取らず、辞めざるを得なくなった

上記のようなケースにあたる場合、会社都合退職と認められる確率が高いと言えるでしょう。

但し、実際の運用に関しては会社の人事部や労働基準監督署、弁護士や社会保険労務士など専門家に相談して判断すべきです。

退職勧奨はパワハラにあたる?違法性の判断基準

退職勧奨(やめた方がいいと勧めること)自体は違法ではありません。しかし、しつこい・威圧的・脅迫めいた勧奨はパワハラに該当する可能性があります。

⚠️ 典型的な違法例
・「やめないと降格だ」「評価を下げる」と言う
・「君のせいで部署が迷惑している」と言う
・長時間にわたり退職を迫る

パワハラで退職する場合のやるべきことについて

退職を決める前に冷静な準備が重要です。具体的には以下のポイントを抑えるべきでしょう。

・証拠を残す(録音・メール・診断書の取得)
・社内の相談窓口・労基署・弁護士の活用方法
・退職届の書き方と「一身上の都合」と書かないための工夫
・可能であれば次の転職先を決めておく
・仕返しをするのは避けたほうが良い

以下でそれぞれについて詳しく見ていきます。

証拠を残す(録音・メール・診断書の取得)

パワハラで退職する場合、録音やメール、診断書の取得などある程度客観的な証拠を残すことは重要です。

上述の通り会社都合退職のほうが自己都合退職よりも失業給付などの点で有利になると考えられます。

しかし、その便益を受けるためには自分がその便益を受けるに値する者であることを外形的に証明することが肝要です。

その証明の際に、証拠が重要になってきます。

📌 証拠になるものの例
録音データ(スマホでも可)
メール・チャットの発言履歴
医師の診断書(うつ病・適応障害など)
出勤簿やシフト(長時間労働の裏付け)

これらは後で「会社都合」を主張する際の重要な材料になります。

社内の相談窓口・労基署・弁護士の活用方法

パワハラで退職する場合、社内の相談窓口や労基署、弁護士の活用も重要です。

・社内窓口 → 人事やハラスメント相談窓口。ただし社内で握りつぶされる可能性あり。
・労基署 → 中立的に調査してくれるが、対応が限定的。
・弁護士 → 会社都合退職や損害賠償の交渉が可能。費用はかかるが確実性が高い。

以上の特徴を踏まえて、適切な相談先・活用先を考えましょう。また、上記を併用することも可能です。お金に余裕がある場合、弁護士の助けを得て社内窓口や労基署にも相談するといった方法が安心でしょう。

退職届の書き方と「一身上の都合」と書かない工夫

パワハラで退職する場合、退職届に「一身上の都合」と書かないことも重要です。

「一身上の都合」とは、個人的な事情や私的な理由を指す言葉で、特に退職や内定辞退の際に詳細を明かす必要がない場合に用いられる表現です。結婚、出産、家族の介護、病気、転勤など、本人の裁量で決断した事柄全般が該当し、一般的には会社都合ではなく自己都合での退職であることを示します。

そのため、退職届という正式な書類で「一身上の都合」と書きつつ、後に口で「私はパワハラで退職せざるを得なかった!」と主張したとしても、退職届という正式な書類の記録をもとにパワハラはなかったと判断されてしまう危険性もあります。

なお、退職理由は「パワーハラスメントにより就業継続困難」など具体的に記載すると交渉余地が残ります。
🖊️ 例文
「上司による継続的な言動により心身の健康を害し、就業継続が困難なため退職を希望いたします。」

可能であれば次の転職先を決めておく

心身が限界でなければ、転職活動を並行するのがおすすめです。離職期間が長くなると現実問題として、次の転職で不利になることもあります。

なお、独力での転職活動がつらいと感じる場合、いわゆる転職エージェントを頼るのも一つの手です。
特に士業・管理部門に強みを持つ転職エージェントヒュープロなら、パワハラ退職後の状況にも配慮しつつ、希望条件に合った求人の紹介や応募書類の添削、面接対策まで丁寧にサポートしてくれます。
具体的には以下のようなメリットがあります。

・非公開求人の紹介:士業・管理部門の求人を中心にアクセス可能で、経理や財務、法務など管理部門の未経験可案件も取り扱っている
・退職理由の整理や言い換えのアドバイス:パワハラ退職のネガティブな印象を最小限にし、前向きな表現に変換
・面接対策・交渉サポート:年収や勤務条件の交渉も代行可能で、心理的負担を軽減
・キャリアプランの相談:短期的な再就職だけでなく、中長期的なキャリア設計を一緒に検討

パワハラを理由に退職した場合も、こうしたプロのサポートを活用することで、安全かつスムーズに次の職場へ進む準備ができるでしょう。

仕返しをするのは避けたほうが良い

パワハラで退職した後、元の職場に仕返しするのは避けたほうが良いでしょう。

例えばSNSで元の職場のパワハラについて暴露するなどした場合、仮にそのパワハラの内容が真実であったとしても、「会社の機密を漏洩した」などの理由であなた「も」悪人とされてしまう危険性があります。

怒りをぶつけても自分に返ってくるリスクが大きいです。証拠を集め、法的手段で冷静に対処しましょう。

退職後にやるべき手続きと生活設計

退職後は手続きを進めて生活を安定させましょう。重要な論点は以下の通り。

・失業保険(自己都合と会社都合でどう変わる?)
・健康保険・年金など社会保険の切り替え
・退職金・残業代の未払いがある場合の請求方法

以下でそれぞれについて詳しく解説していきます。

失業保険手続きについて(自己都合と会社都合でどう変わる?)

会社を退職する場合、必要に応じて失業保険手続きをするのが重要です。

会社を退職する場合、すぐに転職先が決まっている場合は良いですが、一旦気持ちを落ち着けたいなどの理由で再就職先を見つけていない場合、失業保険の給付を受けることで金銭面での負担を軽減できます。

なお、この失業保険は退職が会社都合か自己都合かによって以下の通り異なる部分があります。
会社都合 → 7日後からすぐ受給開始、期間も長め。

自己都合 → 2〜3か月待機。ただしパワハラなら「特定理由離職者」として短縮される可能性あり。

健康保険・年金など社会保険の切り替え

会社を退職する場合、必要に応じて年金や社会保険の切り替えが重要となります。

・国民健康保険に加入する
・または会社の健康保険を任意継続する(2年間まで)
・年金は国民年金に切り替え

といった対応が必要になる場合があります。

日本年金機構全国健康保険協会のHPなどで各自必ず詳細を確認しておきましょう。

退職金・残業代の未払いがある場合の請求方法

退職金請求権は5年、未払い残業代の時効は3年となっているとのこと。時効までは請求が可能です。
「忙しくて請求できなかった」という声も多いですが、未払いは時効まで請求可能です。

・内容証明で請求
・労基署に相談
・弁護士に依頼して法的手段

を検討しましょう。なお、詳細な手続きは弁護士等の専門家に相談してください。

パワハラで退職した後の転職活動について

パワハラで退職した後の転職活動で最も悩むのが「退職理由をどう説明するか」でしょう。次の項目では

・退職理由がパワハラと伝えてよい?面接でのポジティブな言い換え方
・履歴書・職務経歴書でパワハラ退職を説明する際の注意点
・転職活動にはプロのエージェントを頼るべき理由

の論点について、それぞれ詳しく見ていきます。

退職理由がパワハラと伝えてよい?面接でのポジティブな言い換え方

面接で退職理由がパワハラである旨を伝えてよいか、伝えるべきかどうかは、諸条件により異なります

まず大前提、自身のされたことが「外形的」にもパワハラに当たるかどうかは重要な点です。具体的には会社都合の退職かどうかということ。

自己都合退職の場合、自身の本心としてはパワハラを理由に仕方なく退職したつもりであっても、外形的には「自分の意志で退職した」とみなされます。採用する側に「ちょっと強く叱責されたことをパワハラと思い込むような心の弱い人なのかな」と思われてしまう危険性もあります。

転職先の社風などによっても異なるでしょう。会社の社風が「厳しく接して部下を強く育てる」といったものである場合、自身の退職理由が外形的にも明らかにパワハラによるものであったとしても、「とはいえ厳しいうちの社風に合わないだろう」という理由でマイナス評価を下される場合があります。

なお、そもそも論としてパワハラを理由に退職をした場合、次の会社としてパワハラ的な風土の組織を選ぶのは避けたほうが良いかもしれません。その場合、転職エージェントを挟むことで、求人票だけではわからない裏の事情(厳しい社風であることなど)についても知ることができるかもしれません。

さらには、上記を踏まえて「退職理由はパワハラである」と面接で伝えてよいと判断した場合も、伝え方は重要です。あまりにもネガティブに話すと印象が悪くなる可能性も。

暗に「退職流はパワハラである」と伝えるとしても、それをポジティブに言い換える工夫があるとよいでしょう。

💡 おすすめの言い換え例
「穏やかな社風の会社で働きたい」
「成果を正当に評価してもらえる環境で働きたい」
「チームワークを大切にできる職場で力を発揮したい」

履歴書・職務経歴書でパワハラ退職を説明する際の注意点

履歴書・職務経歴書でパワハラ退職を説明する際、いくつか注意点があります。

・自己都合退職の場合、パワハラについては述べないほうが無難
・直接「パワハラ」という文言は書かない

以下でそれぞれについて詳しく見ていきます。

自己都合退職の場合、パワハラについては述べないほうが無難

自己都合退職の場合、パワハラについては述べないほうが無難です。

繰り返しにはなりますが、自己都合退職は外形的には「パワハラ」とはみなされないのが通常です。文字通り「自己都合」による退職であるというのが外形的な評価となります。

そのため、自己都合退職である中で「パワハラが原因」といった内容が記述されていると、「この人は厳しい叱責をパワハラととらえる心の弱い人」と捉えられる危険性があります。

実際はパワハラを受けていたが心身が弱っていて自己都合退職せざるを得なかった場合などにこのような対応をするのは悔しい気持ちにもなるでしょう。

しかし、現実問題として「採用面接突破の確率を上げる」という観点においては、自己都合退職の場合、パワハラについては述べないほうが無難であると考えられます。

直接「パワハラ」という文言は書かない

会社都合退職である場合も、直接「パワハラ」という文言は書かないほうが良いでしょう。

これは略称の”パワハラ”ではなく”パワーハラスメント”と書くべき、という話ではありません。そもそも論としてパワーハラスメントを直接意味する文言は避けたほうが良いだろうということです。

具体的には、以下のような言い換えが考えられます。
「職場環境の変化により、自身の成長を最大限発揮できる環境を求め退職」
「業務改善・協働体制の課題を経験し、より良い環境で貢献できる職場に挑戦」

自分の経験などにも応じて適切に対応しましょう。

転職活動にはプロのエージェントを頼るべき理由

パワハラで退職した後の転職活動には、プロのエージェントを頼るべきです。なぜなら、面接や履歴書などで、パワハラについて書くべきか否か、書くとしてどのような表現が良いかなどは、自分一人で考えるのが難しいからです。

上述の通り、そもそも面接などでパワハラについて触れるべきかどうかは状況によって変わります。また、伝えるにしても、安直な前職の悪口ではなく、前向きな言いかえが重要となります。

これらを踏まえて履歴書を記述したり面接対策をしたりということは、重要ではありますが一人で対応するのは難しいでしょう。しかしプロの転職エージェントの場合、これらの対応に関してプロの目線で助力することが可能です。

中でもヒュープロは士業・管理部門に特化した転職支援の実績が豊富で、パワハラなどデリケートな退職理由にも理解があります。

履歴書や職務経歴書の表現方法、面接での伝え方についても、応募者一人ひとりの状況に合わせたアドバイスを提供してくれるため、安心して転職活動を進めることができます。まずは無料の面談からでもいかがでしょうか?

まとめ

パワハラによる退職は辛い決断ですが、何も考えずに対応してしまうと結局損してしまうのは自分。
よりよい人生のためにも事前準備や退職後の適切な対応は非常に重要です。

我慢せず、労基署・弁護士・転職エージェントといった外部の力を借りながら、次の一歩を踏み出しましょう。

この記事を書いたライター

株式会社ヒュープロにてオウンドメディア「Hupro Magazine」のライティングなどを担当。大学法学部法律学科卒業後、銀行にてエネルギーや金属など"コモディティ"の取引、司法試験を中心とした資格試験予備校にてWEBマーケターとしての記事ディレクションなどを経て現職。法令や金融、資格試験の知識も活かしつつ、分かりやすくもためになる記事の作成に注力しています!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェント「ヒュープロ」をご活用ください!
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