税務、会計、監査、法務、労務など、さまざまな士業サービスを展開するOAGグループ。今回は、各種コンサルティングサービスを提供する株式会社OAGコンサルティングを訪問。事業承継部門で活躍している、コンサルタントや税理士の中村沙織さん、鈴木(仮名)さん、郡司正博さん、同部門を統括されている平田実さんに、同社の強みや魅力などを伺いました。
――まずはOAGグループならびOAGコンサルティングについて、ご紹介いただけますか。
平田:OAGグループは、1988年に開所した太田税務会計事務所が起源になります。当初は税務顧問をメイン業務としていましたが、時代の流れや顧客ニーズの変化などに伴い、次第に監査や弁護士業務なども手がけるようになっていきました。
そのような流れのなか、事業承継、M&Aといったコンサルティング要素が強いニーズに応えるべく2000年に設立されたのが、我々OAGコンサルティングになります。
――つまり御社は、社会やお客様のニーズにより生まれた、ということですね。
平田:はい。OAGグループには同じように、社会やお客様からのニーズにより設立された、行政書士法人、社会保険労務士法人など株式会社も含め14を超える法人があり、現在ではグループ全体で、500名以上のプロフェッショナル人材が活躍しています。
――500名以上もプロフェッショナル人材がいると、それだけでグループとしての強みになるとの印象を持ちます。改めて、御社の魅力や強みについてもご紹介ください。
平田:今の話に近いですが、OAGコンサルティングだけをみても、さまざまなキャリアや知見を備えたメンバーがいる点です。鈴木(仮名)や中村は会計事務所や金融機関で働いていたキャリアを持っていますし、郡司は税理士資格を持ち、法人税務に強い。事業会社の経理部門、国税出身者などもいます。
そしてこのような各分野のプロフェッショナルが、個人や部門の枠を超えて連携し、顧客ごとにベストなコンサルティングサービスをオーダーメイドで提供する。このような体制が、私たちの強みだと考えています。
――御社には「経営改善&成長支援」「M&Aアドバイザリー」といった部門もありますが、みなさんは事業承継コンサルティング部門所属です。同部門について、詳しくお聞かせください。
郡司:事業承継コンサルティングでは、特に「非上場株の承継」に注力しています。具体的にはお客さまの財産を最適に承継する手法を精査し、提案・実行していく。このような一連のコンサルティングサービスを提供しています。
中小企業の経営者から、純資産100億円超える大企業のトップまで。対象となるお客さま層がさまざまなのも特徴です。
――具体的なコンサルティング事例をご紹介いただけますか。
郡司:従業員10名ほどの不動産賃貸会社を経営されているお客さまの事例を紹介します。ご依頼をいただいた際には、株式が分散していたため継承が難しい状況でした。そこで、株式を集約するとの取り組みを行いました。
まずは株主の調査を行い、お客さまとの関係性もあわせて把握。どのタイミングで、どのようなコミュニケーションを取ればスムーズに株式をお譲りいただけるのか。譲渡に前向きでない方もいらっしゃいますから、譲渡額を調整したり。今後は配当金を出さないなどの案内を行うことで譲渡を改めて打診する。打診におけるレターの文面も、我々が作成しました。
このような取り組みの結果、180ほどあった株主は50名までに減少、お客さまの株式の保有比率は7割にまで高まりました。
――郡司さんが介入したことで、確実に成果が出たと。鈴木(仮名)さんや中村さんも、実際に携わった案件をご紹介いただけますか。
鈴木(仮名):資産を正しく評価することで、相続税を抑えることに成功した案件をご紹介します。お客様は個人の地主さまで、ご紹介いたいだ際の資産評価額は30億円ほどでした。手持ちの現金だけでは相続税は支払いきれないとのことで、当初はいくつか土地を手放さすことになりそうだと、話されていました。
しかし私が土地の評価額を改めて精査すると、25億円以下にまで減少することが分かりました。その結果、納税額がかなり減ることになり、手放す土地も最小限になったと喜ばれていました。
――土地の評価が30億円から25億円に減少したとは、いったいどのような手法を使われたのでしょう?
鈴木(仮名):土地の評価額は土地が広かったり、形状が歪であったりすると下がるケースがあります。私は以前働いていた税理士法人で資産税について長年携わってきた経験がありましたから、その知識を活かし、お客さまに提案した次第です。
――先ほど平田さんが話されたとおり、これまで培ってきた知見を活かしてのコンサルティングサービスだったのですね。
中村:私も同じく、一般的にはあまり広まっていない「事業承継税制」を活用した提案をご紹介します。従業員数名ほど、純資産5億円ほどの不動産賃貸業を営むお客さまでした。
事業承継税制とは、世代交代をスムーズに進めるために国が行っている制度で、後継者が中小企業の株式を引き継ぐ際、本来支払うべき相続税などを猶予することができるものです。
いくつか条件がありますが、ヒアリングを重ねていくと利用できそうだと分かり、実際に提案し、実行することができました。
――中村さんも一般の方では知り得ない情報を、プロフェッショナルだからこそ提供できたことで、お客様に喜ばれたわけですね。ところで先ほど、部門を超えた連携が御社の強みだと話されていました。同事例についても、ご紹介いただけますか。
平田:グループ会社との連携では、遺言サービスなどを専門に手がけている、OAGライフサポートと協業することが多いですね。一方、社内においては事業再生やM&Aを専門に手がけているチームと連携することが少なくありません。
というのも、当初は事業承継を考えていたけれど、なかなかうまくいかなそうだと分かった。その際に、M&Aを検討してみよう。であれば、できる限り高値で譲渡したいですから、事業再生チームや人事コンサル部門と協力することで、現状を改善していく。具体的には、業務規則や定款などを改訂した上で売却する。このような連携ならびにコンサルティングを行うことがあるからです。
――他の方はどうですか?
郡司:企業価値向上との観点ではDXを手がける部署もあるので、そちらとの連携も適宜行っています。実際、事業承継コンサルティングを行うには、一般的な税務業務の知識だけでは難しい場合が少なくありません。
まさに私が先ほど紹介した案件でも住所を特定したり、レターを出すといった業務は弁護士の領域になるため、弁護士チームと協力しながら行っているからです。
中村:規模の大きさとサービスラインの多様性は、OAGコンサルティングの強みだと私も捉えています。私が紹介した先の案件「事業承継税制」はあくまで猶予のため、定期的に会社の状況を確認し、報告する必要があります。
つまり事業の継続が約束されている法人でないと、そもそも対応が難しいとの側面があるからです。
――みなさん中途入社だと聞いています。先ほど少し話しが出ましたが、改めてこれまでのキャリアや入社した理由について教えてください。
郡司:以前は会計事務所で法人税務などを担当していましたが、小規模であったため顧客も同等規模でした。次第に大規模法人の業務を担当したいと思い、OAG税理士法人に転職しました。
入社すると今度は法人税務以外の業務領域や、事業会社での経験も積んだみたいと思うようになったんです。そんな折、銀行出向を公募していたので応募。実際、メガバンクで今の業務につながる、事業承継、相続・資産税に関する知識ならびに、お客さまへの提案スキルなども身につけることができました。
――銀行への出向はよくあることなのですか?
平田:はい、銀行への出向は積極的に行っています。両者が力を合わせることで、結果的にお客さまにも最適なサービスを提供できるからです。ビジネス的な観点も大きいです。
通常の税務顧問先からだけではない、新たな顧客獲得ならびに、人脈ネットワークが広がりますからね。実際、事業承継案件の約7割は、銀行からの依頼によるものです。
出向したメンバーの成長も大きな魅力だと捉えています。金融に関する最新トレンドを把握できるのはもちろん、まさしく郡司が話したように、営業や折衝スキルなども身につけることができるからです。
――会社内はもちろん、グループ内での知見や経験に加え、さらには銀行出向で経験も積めると。鈴木(仮名)さんのキャリアも教えてください。
鈴木(仮名):私も郡司さんと同じく、小規模の会計事務所で個人・法人相手の一通りの税務業務に携わった後、先ほどお話したように相続・資産税に特化した中規模の税理士法人で8年ほど経験を積みました。
税務申告が主業務でしたが、コンサルティング業務に携わることもあり、次第に興味が増していきました。OAGコンサルティングに決めたのは、年間100~150件もの多様な案件ならびにお客さまに携わることができるので、幅広い知識や経験が積めるだろうと考えたからです。
また、税理士資格取得に向け勉強も行いと考えていたので、その時間を捻出できる環境も魅力でした。
――働きながら学べる環境が整っているのは、特に税理士を目指している若いメンバーなどには嬉しいでしょうね。
中村:はい。私もまさにそのような環境を魅力に感じ入社したひとりです。私は以前、大手証券会社で投資アドバイザーをしていました。あるとき相続対策や遺言作成といったプロジェクトに携わったんです。するとお金に関することだけでなく、お客さまの人生や家族といった深い領域にまで踏み込むことを知り、魅力を感じ、もっと深く携わりたいと思うようになりました。
といっても、同分野の知識はまったくありませんでした。そこで働きながら学べる環境が整っている会社を探していくと、当社は面接段階から働きながらの学びを約束してくれたので、入社を決めました。
――働きながら学ぶ機会も多いとのことですが、実際に入社してから得た経験やスキル、加えて仕事のやりがいも教えてください。
郡司:事業承継コンサルティングは、単に現状把握を行い株価を評価し、承継するだけの業務ではありません。会社法、民法などの知識も必要ですし、お客さまと信頼関係を築くことも求められます。
私は税務業務を兼務していることもあり、事業承継を成功させた後、同事業で得た成果や信頼感から通常の税務顧問も依頼されるよう意識しています。そして実際、実現した際にはやりがいを感じます。
――さまざまな法律の知識に加え、お客様とのリレーションシップや営業スキルなども身につくと。他のお2人はどうですか。
鈴木(仮名):以前は依頼を受けた仕事のみを進める流れが大半でした。しかし現在はお客さまの状況をこちらから出向いて把握した上で、どのような提案ができるか。以前と比べると川上の仕事をしているように感じます。銀行出向の際には、案件獲得といった営業的なスキルも身につけることもできます。
中村:依頼業務以外の、お客様の悩みなどもお聞きするなどして信頼関係を構築。その上で最終的にゴールに到達する。そのような仕事の流れにやりがいを感じています。
鈴木(仮名):中村さんと同じく、私も成果が出た際にやりがいを感じます。一方で我々はコンサルタントなので、ゴールに導く手法や技術は人それぞれです。メンバーや上司への相談や共有は行いますが、基本的には担当者が任されています。つまり、裁量を委ねられていると。このような環境もOAGコンサルティングの魅力であり、仕事を進める上でのやりがいだと感じています。
――働く環境についても教えてください。
郡司:業務での裁量はもちろん、勤務時間なども個々の判断に委ねられています。平たく言えば自由度が高い事務所だと言えるでしょうね。フレックスタイム制度も導入されていて、私の出社は大体10時ですが、9時前に来て働いている方もいます。
在宅で仕事をしているメンバーもいますし、私は喫茶店をサードスペースとしてよく活用します。クライアント先への直行直帰も少なくありません。
鈴木(仮名):キャリアアパスにおいて定期的な面談などを通し、希望をできる限り汲み取ってくれます。先の銀行への出向が公募・挙手制なのもそうですが、グループ全体で多種多様な業務があるため、他の専門性を磨きたい。あるいは今の部署や業務にフィットしていないと感じた際などに、異動することができたりもします。
――先ほど入社理由で話された学習環境についてはどうですか?
鈴木(仮名):学習環境が整っている点ももちろん魅力です。私は現在大学院に通いながら働くことができていますし、旬なテーマを月に一度、皆で共有し学び合う場もあり、最近は税制改正やChatGPTといったテーマが挙がっていました。
中村:私も週に2日は早帰りして専門学校で学んでいますが、早退しづらい雰囲気はありません。むしろ逆で、皆が快く送り出してくれます。費用も一部を会社が負担してくれています。
実務で分からないことがあった際にも、先輩メンバーに気軽に聞ける環境でもあります。もちろん、自ら学ぶ姿勢が大前提ではありますが。
――中村さんは出産、育休を経て2023年の4月に復職したと伺っています。
中村:はい。現在は時短勤務ではありませんが、子供を保育園に預け、9時~17時で働いています。8時~16時を選択することも可能です。子供が急に風邪などをひいた際も、「家庭を優先してください」との雰囲気があるので、その言葉に甘えて気兼ねなく休みを取っています。これは妊娠中に自身の体長が不安定な際も同じで、とても助かりました。
実は今も妊娠中でして、今年の2月ごろを目処に再び産休、育休に入る予定です。そのため戻るタイミング、復職後の働き方や職場などについて、前回と同じく私の体やプライベート優先で、今まさに話し合っているところです。
――本日はありがとうございました。最後に今後の展望ならびに、どのような方と一緒に働きたいか、メッセージをいただけますか。
中村:まずは出産、育児に専念したいと思います。その後、プライベートが落ち着いたら改めて、郡司さんや鈴木(仮名)さんのように1人で案件を課題解決できる。そのような一人前のコンサルタントに成長したいですね。
鈴木(仮名):大学院の卒業が間近のため、税理士資格取得までは1科目のみ。まずはそこをクリアしたいですね。その後は法人税や組織再生といった領域の知識や経験も、積み重ねていきたいと考えています。
専門職のメンバーが集まっているため、みな黙々と仕事をしているような環境です。一方で、和気あいあい的な雰囲気もあります。このような環境を好む方だと、すぐに馴染めると思いますよ。
郡司:今後は人事やM&A領域の知識も身につけ、総合的なコンサルタントとして、お客さまの良きパートナーとして関係性を構築していきたい、と考えています。鈴木(仮名)さんが話したように、専門領域の勉強を常にしているような、勉強好きで真面目な方が多いように思います。
平均年齢が40歳と、税務会計系のコンサルティング会社としては若い部類なのも影響していると思います。私や他の2人も含め、まだまだ上を目指したい。一人前のコンサルタントになりたい。そのような気概に溢れているメンバーが多いからです。税理士を目指す人にとっても、最適な環境ではないでしょうか。
平田:法人税務、特に大企業の場合や各種コンサルティングサービスは、1人でできる仕事ではありません。実際、私たちは今日お話したように、各人がプロフェッショナルを発揮しながらも、チームで取り組んでいます。
このような環境や仕事の進め方に共感する方。結果として、個人と会社が一緒に成長していけるような。そのような思いを持っている方と一緒に働きたいですね。
お話を伺った株式会社OAGコンサルティングのHPはこちら