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アレンジャーとは?その役割とシンジケートローンについて

HUPRO 編集部
アレンジャーとは?その役割とシンジケートローンについて

不動産業界や証券会社で使われることが多い「アレンジャー」ですが、皆様はその役割をご存知でしょうか。本記事では、証券化におけるアレンジャーについてその役割や、主な業務に関係するシンジケートローンついてもご紹介します。

アレンジャーとは?

 アレンジャーとは、不動産の証券化を実現するために各段階の実務を行なう参加者(不動産を所有するオリジネーター、証券を発行・販売する者、投資家など)の間に立ち、調整を行なう人のことです。

この時、一つの契約書に基づき、複数の金融機関が貸付人となるシンジケート・ローンにおいて、借入人の指名により契約の締結までの業務を代表して行うこともあります。

その業務に当たっては、証券化実行への働きかけ、証券化の仕組みの検討・立案、証券化に必要なSPCの設立、格付の取得、資産管理の具体化、最終的な決済の見届け・確認など広範な仕事を実施し、または関与することが求められます。

特に、利害関係者間の調整が重要で、そのためには、不動産、金融、法務、税務などに関する広範で専門的な知識を必要とします。

証券化のプロセスは、「証券化アレンジメント」「プレイスメント」(発行証券を投資家に販売すること)に分けることができます。

証券化アレンジメントとは、不動産などを元の所有者(オリジネーター)からSPV(証券発行体としての器)等へ移して、証券の発行構造を組み立てる業務のことを言います。この業務の担い手がアレンジャーです。

証券化の成否は、発行証券の投資家販売にかかるので、証券引受業務や販売まで一貫して主導する証券会社などの投資銀行部門が、当初からアレンジャーとして関与するケースが多いです。

ただし、業務のための特別の資格制度はなく、不動産会社、証券会社、銀行、信託会社、独立の専門コンサルティング会社などがこれに当たっています。

アレンジャーの主な役割

アレンジャー業務を行う金融機関は、案件の組成を短期間で、かつ円滑に行うために、「借入人に対する深い知識」・「シンジケート団編成に係る実務経験」、「案件の組成能力」が必要とされます。そんなアレンジャーの主な役割は以下の通りです。

・シンジケーション戦略の立案(マーケティング、プライシング等)
・投資家向け資料の作成とその説明(インフォメーション・メモランダム等)
・投資家の招聘
・契約書の作成
・関係当事者との交渉

シンジケートローンとは?

シンジケートローンとは、お客さまの資金調達ニーズに対し複数の金融機関が協調してシンジケート団を組成し、一つの融資契約書に基づき同一条件で融資を行う資金調達手法です。

参加金融機関をアレンジャー(幹事金融機関)が募集する点において社債発行と似た面がありますが、シンジケートローンは金融機関からの「お借入取引」です。設備投資資金のような長期資金の調達を行う場合のだけでなく、コミットメントラインのような短期融資枠の組成においても有効な手法です。

ご留意点
・シンジケートローンのご利用には、金利とは別にアレンジメントフィーやエージェントフィー等の手数料が必要となります。
・シンジケートローンの組成に際しては、所定の審査がございます。
・税務・会計・法務等については、貴社の顧問税理士・会計士・弁護士等とご相談の上、ご自身でご判断下さい。
・詳細については、お取引店までお問い合わせください。

シンジケートローンの仕組み

参加金融機関の募集から契約締結まで
アレンジャーは、契約条件の検討、シンジケート団を構成する貸付人となる金融機関の募集、契約締結の手続等を行います。(多くの場合、アレンジャーがシンジケート団の貸付人となります。)借入人には、アレンジャーに対する手数料(アレンジメントフィー)が発生します。

契約締結後
エージェントは各貸付人の代理人となり、契約期間中の借入人・貸付人間の通知取次や、元利金の受け払い等の資金決済に関する事務の取りまとめを行います。(通常、アレンジャーを務めた金融機関がエージェントに就任します。)借入人には、エージェントに対する手数料(エージェントフィー)が発生します。

シンジケートローンの形態

シンジケートローンの形態としては、以下のようなものがあります。

コミットメントライン
予め設定した融資枠金額・期間の範囲内で、借入人の請求に基づき、短期の融資を実行することを約束する契約です。安定的な運転資金枠や緊急時の保険的な資金枠として利用される取引です。

ターム・ローン
証書貸付形態とし、主に長期的な運転資金、設備資金、リファイナンス資金として利用される取引です。

コミット型タームローン
予め設定した融資枠金額・期間で、借入人の請求に基づき、長期の資金を実行することを約束する契約です。資金調達時期が未確定な、長期的な運転資金、設備資金、リファイナンス資金の資金枠として利用される取引です。

シンジケートローン事例

シンジケートローンには、以下のような取引事例があります。

・企業買収や設備投資等の大口となる資金調達をシンジケートローンで確保した事例
・多数の相対借入をシンジケートローンにて一括でリファイナンスし、キャッシュフローに応じた条件を設定した事例
・主要行による金融支援体制強化と運転資金を確保した事例
・地方への設備投資に際し、地元金融機関をシンジケート団に入れることで金融取引を拡大できた事例
・事業承継や事業再編を契機とする資金調達をシンジケートローンで確保した事例

この記事を書いたライター

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