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「得意を特技に」のマインドで社員の意欲を後押しし、ウェルビーイングな働き方を実現する税理士法人レガシィ

HUPRO 編集部
「得意を特技に」のマインドで社員の意欲を後押しし、ウェルビーイングな働き方を実現する税理士法人レガシィ

「勘定よりも感情を重視する」。ユニークなキャッチコピーを展開する税理士法人レガシィは、創業から約60年の歴史のなかで相続・事業承継に特化して30年近くが経ちます。人間的できめ細やかなオーダーメイド対応を武器にしてきた同法人が挑むのは、「デジタル×相続」の取り組みと、社員のウェルビーイングを叶える社内改革。6月末に新オフィスへの移転も叶え、まさにイノベーションの真っ只中にある同法人の代表社員税理士の天野大輔さんと、オフィス移転プロジェクトのコアメンバーである社員税理士の梅田麻子さん、古田圭佑さんにヒュープロ編集部がお話を伺いました。

「得意を特技に」の精神

ー前半では天野代表にお話を伺います。「デジタル×相続」とは、具体的にどのようなことでしょうか?

天野大輔代表(以下、天野):来年に政府が創設を調整している「デジタル遺言制度」にも非常に注目しているところですが、たとえば、当社が2020年にリリースした相続プラットフォーム、『相続のせんせい』があります。一言でいうと「相続の【難しい】を【かんたん】にするWebサービス」で、相続税を簡単に計算できたり、相続に関するノウハウ情報を読めたり、専門家からサポートを受けられたりします。自身や家族の相続準備や対策をしたい人が、誰でも無料で使えます。

ーなぜこのような取り組みをしようと考えたのでしょうか。

天野:祖父が創業し父と母が引き継いでいた当法人を私が事業承継するにあたって、一事業会社としてさらに発展していくための方向性を考えました。私は以前大手情報システム会社でシステムエンジニアをしており、ITやデジタルへの興味も強みもある一方で、先代たちが築き上げてきた歴史とノウハウへの敬意もありました。そこで、この二つを掛け合わせることにしたのです。

ー法人としての強みと、天野代表個人としての強みを掛け合わせたわけですね。

天野:はい。当法人が掲げるバリューの一つに「得意を特技に」というものがありますが、まさにその精神です。2021年の代表就任を前に、先代とともにレガシィ経営方針を策定した際のものであり、ビジョンには「『相続日本一』で培った知恵とテクノロジーでプラットフォームを作り、50代・60代の人々と心が通うナンバーワングループとなる」を定めています。『相続のせんせい』をはじめ、士業の仕事をつなぐプラットフォーム『Mochi-ya』、士業の実務が学べる『レガシィ@クラウド』などのウェブサービスは、社として力を入れて取り組んでいます。また、私も、会長である父も、それぞれYouTubeチャンネルを運営しています。

変わらぬ伝統を礎に、ウェルビーイング度の高い企業を目指す

ー「デジタル×相続」のほかに取り組んでいることを教えてください。
天野:社員のウェルビーイングを通じてイノベーションを起こしたいと考えており、6月末には大手町から八重洲へオフィスを移転しました。仕事のしやすさ、居心地のよさ、コミュニケーションのとりやすさなど、社内のレイアウトや機能にはかなりこだわりました。同時に、フリーアドレス制の導入や、肩書き抜きの「さん」呼びの浸透、服装の自由化、残業時間の削減、1on1、さまざまな機会提供の推進など、社内改革をどんどん進めています。

ー心身ともに良好な状態を指す「ウェルビーイング」を掲げる意図は何でしょうか?

天野:先代から引き継いだ社の考え方として、「幸せな人生を生きる」ことや「前向きさ」「プラス思考」などが前提としてあります。幸福学の第一人者である慶應義塾大学大学院教授の前野隆司さんを招いてお話を伺うこともあるのですが、仕事は人生の一部であり、幸せに生きることのなかに仕事も含まれます。当法人として社員のウェルビーイングの向上に取り組むことは重要だと考えています。

人材を活かすデジタルの可能性

ー今後の展望についてお聞かせください。
天野:相続税分野のなかでも、さらに財産規模の大きな大型案件に特化する方向で進めています。「餅は餅屋」の原則で、業界内の横のつながりを活かし、相互送客できるような仕組みも整えています。
また、デジタルサービスに力を入れていくうえでは、高齢者のスマホ・IT利用のサポートも拡充していきたいと考えています。デジタルは非常に便利なものである一方で、高齢者の利用ハードルは低くはありません。当法人では相続専門家歴20年以上の税理士のことを「プレミアム税理士」と呼んでおり、彼らのノウハウを活かしてコミュニケーション面でのサポートを手厚くすることはもちろん、デジタルサービス自体の機能面の工夫にも取り組むつもりです。たとえば、「見づらい」といった悩みに対して音声の機能を追加したり強化したりなどです。既存の仕組みが使いづらければ自社内での開発も視野に入れています。そのためのシステムエンジニアの採用も強化しているところです。

ー相続税分野に歴史と強みを持つ貴法人ですが、新たなアイデアやリソースとの掛け合わせでさらなる発展が期待できそうですね。

天野:相続にまつわることには人間的な感情が複雑に絡み合ってきますが、幸いにも当法人には経験豊富なベテランメンバーがたくさんいます。「勘定よりも感情を重視する」というモットーを掲げていることもあり、税務スキルにとどまらない彼らのコミュニケーションのノウハウは何物にも代え難い財産です。それらの貴重なノウハウをさらに有効活用していくうえで、テクノロジーの果たせる役割は大きいはずです。

ー貴法人の求める人材についてお聞かせください。

天野:当法人のプレミアム税理士のノウハウを間近で学び、相続案件のプロフェッショナルを目指したい人はもちろんですが、税務だけでなくデジタル面にも興味関心のある人はウェルカムです。士業ですので資格を抜きに話はできないのですが、資格の有無だけが業務への適性を決めるものではないとも考えています。「経験が浅い」「今はこれしかできない」という状態のかたでも「やってみたい」という気持ちがあれば、その意欲を大事にしたいです。「やりたいことをやれている」状態はウェルビーイングの度合いを高める一因になりますので、メンバーのチャレンジの推進は全力でバックアップしていきます。

オフィス移転をきっかけに社内コミュニケーションが活性化

ー天野代表、ありがとうございました。後半では、社員税理士である梅田麻子さん、古田圭佑さんにお話を伺います。社員のウェルビーイングを実現するためにオフィスを移転したということですが、オフィスの設計の狙いを聞かせてください。

梅田麻子(以下、梅田):2015年に大幅な税制改正があり、相続税の申告が2倍に膨れ上がる状況を受け、当法人では業務改革や環境整備を進めてまいりました。その流れで、アクセスのしやすさも含めて働きやすさの向上を目指し、八重洲へのオフィス移転プロジェクトが立ち上がりました。オフィス設計で意識したのはコミュニケーションの活性化です。

古田圭佑(以下、古田):コミュニケーションが活性化し、質も向上することで、社内のイノベーションにつながると考えました。コミュニケーションの種類に応じたエリアづくり、具体的には、1on1をするためのコーナーや、お昼や休憩時間に集えるようなカフェエリア、ウェブミーティングがしやすいブース、集中して作業ができる会話禁止のコーナーなどがあります。フリーアドレスを導入しており、その日の仕事内容や状況に応じた場所で作業ができます。

ー移転後はどのような変化がありましたか?
梅田:「今までは決まったメンバーとしか会話しなかったが、今は毎日違う人が隣にいるのでいろんな部署の人と話をするようになった」と報告してくれる人がいたり、社内に笑顔が増えたりしました。オフィスで過ごす時間が魅力的になったと多くのメンバーが感じてくれているようです。

古田:実務の面でいうと、部門間連携が非常にやりやすくなりました。普段からコミュニケーションをとっていると、いざというときもスムーズに話を進めることができることを実感しています。特段親しく会話をしなくても、お互いに仕事の様子をなんとなく垣間見られるので、部門同士の理解も進みやすいです。

また、ベテラン勢と若手との間のコミュニケーションが活性化したのも大きな収穫です。プレミアム税理士と呼ばれるベテランメンバーに若手が気軽に声をかけるのはハードルが高いと感じるのが自然ですが、フリーアドレスだとすぐ隣にベテランメンバーがいることがあります。「おはようございます」程度のちょっとした挨拶でも心理的な距離が近づき、「ちょっと相談してみようかな」という接点が生まれやすい。逆に、ベテラン勢がITやデジタルのことでわからないことを若手に気軽に聞ける環境にもなりました。

「子育て」はキャリアであり武器

ーオフィス環境がフラットな組織作りの一端を担っているのですね。そのほか、ウェルビーイングにつながっていると感じる要素があれば教えてください。

梅田:子育てと仕事の両立への理解とサポートです。私は子どもが二人おり、これまで当法人で2回の産休・育休を取得しました。子どもがいなかったときと比べて働き方は大きく変わりましたが、子育てがキャリアの妨げになっているとは思っていません。
一般的には子どもが熱を出して保育園に行けなかったり小1の壁にぶつかったりして仕事を辞めざるをえない人がたくさんいるのが日本の実情ですが、当法人では子どもが小学3年生になるまで時短勤務が可能ですし、時差出勤もテレワークも相談可能です。業務も役割分担されているので、メンバーときちんと連携さえすれば業務スケジュールも自由になりやすいです。「時短勤務だけど早く帰りづらい・気まずい」などと感じたことはありません。

ー貴法人の専務である天野紹子さんも『子育ては最高のキャリア、最高のウェルビーイング』(日刊現代)という本を上梓されていますね。

梅田:当法人では「子育てもキャリアのうち」と考えています。子育てで培ったコミュニケーション力・マネジメント力・問題解決力は、ビジネスにも活かせるものです。子育てが仕事をするうえでの足枷になってほしくはないし、むしろ、キャリアの一つとして履歴書に「子育て経験あり」と堂々と書いてほしい。
仕事だけがキャリアではないし、子育てをしていても仕事をしていてもウェルビーイングを保てる環境を社として提供したいと考えています。子育て中・あるいは子育てを経験した人は時間管理の工夫がうまく、マネジメントやコミュニケーションに長けている人が多いように思います。そのようなかたは社としてもどんどん採用していくつもりです。

ーウェルビーイングにつながっている要素について、古田さんはいかがでしょうか。

古田:「やりたい」という意欲のサポートを大事にしている点です。実際にあった話ですが、申告書作成チームのメンバーで「自分が作った申告書が顧客にどのように届いているのかを知りたい」と話す人がいました。そこで「じゃあ一緒に顧客先に行ってみよう」と誘い、実際に顧客先へ同行し、お客様対応まで経験してもらったところ、現在の業務内容への理解と意欲が増進したと話してくれました。
お客様の反応を見られるのは大きな喜びであった一方で、申告書作成業務の重要性と責任を同時に感じたようで、これまで以上に心を込めて業務に取り組むようになったのが見て取れました。この例のように、実際に部門異動をするわけではなくても、本人の「○○したい」という意欲を積極的に掬い上げ、実現してあげることがウェルビーイングにつながっていると思っています。

「意欲」を後押しすることが成長サイクルを早める

ーちなみに、梅田さんと古田さんはなぜ貴法人で働こうと思われたのでしょうか?

梅田:目の前の人を喜ばせることのできる、個人のお客様に寄り添った仕事ができると、当時代表を務めていた父から聞いたことがきっかけです。以前働いていた監査法人を4年で退職し、バックパッカーとして8カ月ほど世界を周った後、10年前にレガシィに入社しました。今はゼネラルマネージャーとして管理本部で人材開発や経理、情報戦略などの総務的な業務を、いろいろな部署と連携をとりながら進めています。

古田:税理士試験の勉強をするなかで、一番面白いと感じた科目が相続税でした。都内の会計事務所で働いていましたが、相続を専門でやりたいと思い、8年前にレガシィに転職しました。税務は本来は誰が計算しても同じ答えが出るはずですが、相続税に関しては誰がどのような工夫をするかで、結果が変わります。そのようなところに面白さと奥深さを感じました。実際に案件に携わるようになってからは、申告作業の1件1件がただただ楽しくて。試験勉強をしていたときの想像以上にやりがいを感じています。とはいえ、現在はマネジメントをする立場でもあり、BPRの責任者でもあるので、自分が楽しむだけでなく、メンバーたちが快適に業務を進められるような環境づくりに注力しています。

ー貴法人に興味を持っている方へ、メッセージをお願いします。

梅田:責任者クラスを増やし、ピラミッド型ではない、フラットな組織作りを進めています。人材開発にも力を入れており、1on1あるいはそれ以外の場でも積極的にメンバーの要望を掬い上げ、業務内容や配属に反映しています。「やりたい」という意欲を最も重視しますので、声さえあげてもらえれば必ずチャンスは提供します。チャレンジ精神のあるかたはきっと活躍できることと思います。
会社からメンバー、そしてメンバーから家族へ「ありがとう」を伝えるための「レガシィファミリーデー」を開催するなど、新たな取り組みもどんどん実現しています。ぜひ一緒に「ありがとう」の声あふれる、利他的でウェルビーイングな組織を作っていきましょう。

古田:当法人は財産規模の大きい案件を数多く手がけており、ベテランメンバーのノウハウを学びながら成長できる点は大きなメリットです。案件ごとに「正解」が違う相続税申告業務には「お客様が本当に望んでいることは何か」を常に模索し続ける姿勢が欠かせません。そのプロセスを一緒に楽しめる方を歓迎します。当法人では「わからないことがあったら自分で調べるより詳しい人にすぐ聞く」ことを推奨しており、新しいオフィス環境がそれをさらに容易なものにしています。成長サイクルの回転のスピードを早めたいかたには最適な環境だと思います。

ー本日はお話を聞かせていただき、誠にありがとうございました。

この記事を書いたライター

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