たびたび延期になった過去のある消費税の増税ですが、ついに2019年10月1日から施行されました。消費税率が8%から10%に引き上げられと、日々の生活にもマイナスの影響を及ぼす可能性があり、決して無関心ではいられません。自分たちの払う税金を無駄遣いされたくないと思うのは誰しも同じですが、実際に税金は正しく使われているのでしょうか?こちらでは、オリンピックなど税金の無駄遣いの実態について、実例を出しながら紹介し、また税金の無駄遣いに対するチェック機関についても詳しくご紹介します。
会計検査院が2019年11月末に提出した決算報告書によれば、2018年度決算では総額1156億円もの税金に対して「税金の無駄遣い」が指摘されています。国民にとっては膨大な金額ですが、この総額は例年と比べて少なめであるとされています。
つまり、毎年それ以上の税金が無駄遣いされ続けているということです。会計検査院の検査先の補助金の過大交付などが見つかり、報告書の提出後に金額が変わる可能性もあるので、多少の増減はあまり意味がありません。とはいえ、1156億円という税金の無駄遣い総額は、多くの国民感情を逆撫でするものであることは間違いありません。
税金の無駄遣いはここ数年の話ではありませんが、最近のニュースの中から身近な例を挙げてみましょう。
2017年度の会計監査員の報告には、2020年に控えているオリンピック・パラリンピック関連の検査結果も含まれていて、東京都の負担分も含めて総額3兆円になるとも言われています。開催に向けて今後も事業費は膨れ上がると予測されているため、無駄遣いの総額はまだまだ増える可能性があります。
また、認定こども園等の施設整備事業の実施にあたり、助成金の額が過大に算定されている事態が指摘されています。異なる助成金、総額2億6104万円ほどが過大に算定されていたのです。
さらに最近ではアメリカの戦闘機を100機購入し、その額は総額1兆円とも言われています。
ほかにも、国の機関である国会や裁判所の予算、政府関係機関である様々な金融公庫など、独立行政法人や公団・事業団・国立大学法人・株式会社など多岐にわたる機関や団体が適切に税金を使うことができていないと指摘されています。
そもそも、なぜ税金の無駄遣いをしていると言う意見が出るのでしょうか?これは、まず税金がどこから来るかを考えればわかります。税金とは国民から徴収されているものであり、自分たちの払ったお金は社会生活をより便利で豊かにするために使われるべき、と考える人が多いからです。
国税と地方税があることはご存知のとおりですが、国民が日々の生活で常に意識する「税金」とは、所得税や消費税などの国税のことが多くなります。そのため、生活に密着した税金を、意味がないと思われることに使われることは納得がいかない、という意見が出てくるのです。
一般の人々の感情を別に、実際に無駄遣いされているのかどうかは、前述の会計検査院が毎年提出している決算検査報告書を見ればわかります。政府の外部機関として、内閣や国会などから独立した機関である会計検査院は、憲法第90条に基づいて、1年間に実施した会計検査の成果を文書化し、内閣に送付後、国会に提出します。
検査報告では、主に下記の7項目について所見が述べられています。
このように、会計検査院は税収入が適切に使われているかどうかをチェックするだけでなく、改善を求める役割も果たしています。
会計検査院の検査内容は、実に様々です。多岐にわたる分野で適切に税金が使われているかを調べるのですが、社会の変化に合わせてその検査方法や内容も移り変わります。
消費税の増税分は社会保険料として使われる、とされていますが、高齢化社会で膨れ上がる医療費・年金・介護給費の検査も重要です。また、国際化社会となった今、政府開発援助(ODA)費用や海外プロジェクトの予算も多額となっているため、現地調査が欠かせません。公共調達の透明性の確保や競争などといった課題も、近年の財政の厳しさから一層関心が高まっています。
このように、会計検査院の検査は、税金の無駄遣いの指摘と共に、有効に税金を使うための「3E検査」(Economy, Efficiency, Effectiveness)の「経済性、効率性、有効性」の充実拡大を目指しています。
以上、税金無駄遣いについて実例とあわせて、チェック機関を紹介しました。税金の無駄遣いが一時的に減ったからといって、今後も減り続けるかどうかはわかりません。会計検査院の仕事だけに期待することはできず、税金を使う側と納める側のどちらもが意識の改善をする必要があるからです。今後の日本経済の立て直しには、大幅な意識改革が必要です。国民一人一人が納得できる税金の使い方ができるようになるには、まず税金の使い道・使い方を明示してもらうことが必要であると言えるでしょう。