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「今の時代に求められるのはリーダーシップ」クックパッド株式会社 CFO 犬飼茂利男氏が語るクックパッドの魅力とリーダーシップの重要性

HUPRO 編集部
「今の時代に求められるのはリーダーシップ」クックパッド株式会社 CFO 犬飼茂利男氏が語るクックパッドの魅力とリーダーシップの重要性

「毎日の料理を楽しみにする」という企業理念のもと、料理を通して世界が抱える様々な課題の解決を目指すクックパッド株式会社で、CFOとして活躍される犬飼茂利男氏。犬飼氏は常に自分自身を高めていく、そして事業を通して社会に貢献したいという思いのもと、豊富なキャリアを積んできた。今もなお、更なる成長を目指して活躍される犬飼氏に、クックパッドの魅力や会計士時代の経験で今に活きていること、働く上での原動力などについてヒュープロ編集部がお話を伺いました。

【経歴】

1995年10月 朝日監査法人(現 有限責任あずさ監査法人)入所
2007年7月 ゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパン(有)入社
2011年11月 (株)ベンチャーリパブリック入社
2016年7月 当社入社 財務担当VP、財務本部長
2016年11月 当社執行役(現任)

コーポレート部門は企業の頼れる存在に

—まず初めにクックパッドにご入社した経緯を教えてください。

当時のクックパッドは経営改革の真っ只中でした。そんな環境下であればゼロベースで組織を作っていくチャレンジができると思い、リスクはありましたがそれ以上に挑戦したいという気持ちが強く、入社を決めました。

弊社は「日本最大の料理レシピサービス」という形で、認知を獲得しました。しかし海外に目を向けるとまだまだです。クックパッドが描く「料理に関する領域」の中で、正直やるべきことのまだ1%程度しか達成できていないのが現状だと思っています。

クックパッドの定款には「世界中のすべての家庭において、毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する」とまで書いています。海外展開を実現し、世界で一番大きなサービスになる。そんな機会に携わりたいと入社当時に思い、今ももちろん変わっていません。

ークックパッドでの仕事内容を伺わせてください。

クックパッドに入社し、2022年7月で6年が経ちます。これまで、最初は財務から始まり、法務や人事なども含めコーポレート部門全体を見てきました。
コーポレート部門は、会社という船の羅針盤だと考えています。会社がいま、どこの立ち位置にいるのか。どの方角へ向かっているのか。例えば、経理は日々の計算業務をするだけの部署ではなく、会社の現状を把握するのに不可欠な部署なのです。他の部署から現状について相談され、頼られる存在とならなければなりません。

クックパッドの軸「リーダーシップ」の必要性

—犬飼さんが考えるクックパッドで働く魅力を教えてください。

クックパッドでは、個々のリーダーシップをとても大事にしています。管理部門の人は専門性を持って働いている人が多いですが、自分の専門性やスキルを磨くことはどの会社でもできることだと思います。しかし、クックパッドではそれに加えて職種やポジションに関係なくリーダーシップが常に求められます。リーダーシップを鍛えられる環境というのは魅力だと思います。

—ここで言う「リーダーシップ」とは、どのようなものですか。

面接の時によく出す例なのですが、「株主総会は何のためにやるのか?」という質問を受けたときに、「法律に基づいて年に一回やる必要があるから」というのがよくある模範的な回答になります。
しかし、クックパッドではそこで留まるのではなく、今年の株主総会で実現したいことは何か、また参加した株主にどう感じてもらえたら成功と言えるのか、という議論を交わします。そうすると目的と成功の姿が定義され、それをベースに株主総会を組み立てることができます。

リーダーシップもこれに似ていて、何の目的を持って行動するのか、それに対して自分はどうしたいのかをメンバーに伝える能力が求められます。特に管理部門は業務プロセスが多いので、何のために今そのプロセスを行うのか常に議論しています。クックパッドにいると自分が何を実現したいのかを論理的に考え、そして人に伝える力を鍛えることができます。

—常にゴール意識を持って取り組まれているのですね。クックパッドでは採用の時、どのような点を見ていますか。

それぞれ自分が何をやりたいのか、また真剣にそれに向かってチャレンジできるのか、ということは面接の時に確認しますね。自分の思いがとにかく大事だと考えていて、確固たる思いを持って自分のやりたいことを周りの人を巻き込んで実現していくことがクックパッドでは求められます。もちろん、経験だけを積みたい、専門性だけを磨きたいという人も一定数はいて、自分がリーダーシップを発揮しなくてもいいという人もいます。ただ、そういう人だと弊社ではなかなか上手くいかないということは、面接で伝えていますね。

—経験を積みたい、専門性を高めたいという人よりも、自分の思いを持った人がクックパッドで活躍できるのですね。

クックパッドでは、高い専門性が求められる業務はアウトソーシングしています。外部でプロフェッショナルなクオリティを維持してもらった方が良いと考えているので、専門的な業務は積極的に外に出しています。そして、社内にいる人たちは”属人化”させたいと考えています。属人化と言うと普通は嫌なキーワードで、会社にとってのルーティンを属人化させてはいけないのですが、我々はルーティンをアウトソーシングしているので一人ひとりがそれぞれの強みを持って動いてくれる分には何の問題もありません。社員が自分の業務に集中して取り組める、強みを伸ばすための属人化です。

—犬飼さんが考えるクックパッドの強みを教えてください。

クックパッドの強みは4つあって、それはValuesとして社員一人ひとりの行動規範となっています。
1つ目が『Bring your passion. 』自分の情熱を持ちなさいという意味で、自分のやりたいことに向かって情熱を持って周りを巻き込んでいくことは一番重要だと考えています。
2つ目が『Exceptional candour. 』正直にフィードバックすることです。ただ、むやみに人を傷つけるのではなくて思いやりを持ってフィードバックすることが大切ですね。
3つ目が『Crazy optimism.』常に前向きであること、自分ごと化することです。これはクックパッドに限らず、他の会社でも求められることだと思います。
4つ目が『Own it.』自分はやり切れると確信することが必要で、実際にそう考えることでやり切れることが案外多くあります。
やらない理由を考えるな、やれる理由を考えろとは周りによく言っていますね。これらの4つの考え方こそが、クックパッドの強みだと思います。

—犬飼さんがクックパッドで働く中で、大事にしていることはありますか。

社員が成長できる環境を作ることです。私はクックパッドで働く上で一年一年を大事にしていて、一年間ただ普通に過ごして何も成長できていない場合、自分の価値を下げていると考えています。毎年新入社員が活躍する中で自分たちは年を取っていくだけで、成長がなかったら自ずと価値が下がっていきます。
そのような環境や状態は会社として絶対によくないです。なので、どうやってクックパッドにいる間に、それぞれ社員が成長することができるのか。そのための環境を作ることを経営陣としてとても大事にしています。

過去のキャリアで今に活きること

—今までのキャリアの中で、今に活きていることはありますか。

監査法人時代に色々な経験をさせてもらったことですね。私が監査法人に入った頃は、ちょうどバブルがはじけた後でした。ですので、一般的な監査だけでなくM&Aや債権回収など、監査に直接関わらないコンサルティング業務にも携わることができ、本当に様々な経験を積むことができました。上司は厳しい人で、大変ではありましたが、そういった監査法人時代の経験が今の土台になっていますね。

—監査法人で働く上で、犬飼さんが意識していたことはありましたか。

高い目標を持つことができる仕事に入り込むように意識していました。自分からやりたいと言ってやらせてもらえたことも多かったです。例えば、アメリカに上場している日系企業の監査にも積極的に携わらせていただきました。

その結果、海外の駐在も経験出来て、世界の多様化した考えを自分の中に取り入れることができました。基本的に日本に入ってくる海外の情報はアメリカのものが多いのですが、私が駐在したのはイギリスだったので、同じ情報であってもヨーロッパからだと見え方が違いましたね。カルチャーの違いを肌で感じることができました。

—海外駐在は自ら希望を出したのでしょうか。

そうですね、これは自分で希望を出しました。監査法人にいるうちに自分の強みをもうひとつ身につけなくてはいけないと考えていたのですが、ちょうどその頃アメリカに上場している会社の監査を担当する中で、英語によるコミュニケーションの必要性を感じました。日本語だったら議論ができるのに英語になった途端にできなくなってしまったので、自分の能力を十分に発揮するためにも英語力が必要だと感じ、海外駐在の希望を出しました。

—海外に行って、一番学びになったことは何でしたか。

今のリーダーシップに近い考えを学ぶことができました。また単に英語が話せても、それだけでは海外の多様な人達と渡り合うのは難しいというのは痛感しました。
海外ではリーダーシップを持った人が多く、話し方ひとつとっても学ぶことが多かったですし、本質的な議論の組み立て方も勉強になりました。実際に色々な国や文化に触れ、多様性が大事だということも改めて海外の駐在で感じましたね。

会計士時代の経験から得た論理的思考

—近年、会計士出身のCFOが増えてきていますが、会計士資格の取得を迷っている方にアドバイスはありますか。

CFOとして会計士の資格や経験は確実に強みになります。でも他にもうひとつ自分だけの強みを身に付けたほうが良いと思います。例えば、そのうちのひとつとして、やはり冒頭から触れていますが、リーダーシップがあれば活躍の場がさらに広がると思います。
ここは実務で身につけていくしかありませんが、リーダーシップがある会計士は、間違いなくどこへ行っても活躍できると思います。

—犬飼さんが事業会社で働く中で、会計士時代の経験がどう活きていますか。

新しい課題が出たとき、対処方法の仮説をすぐに立てられることですね。毎日のように何かしら小さな問題が生じ、解決すべき課題が常にあります。大きな問題が起きることもしばしばあるのですが、そのときに対処方法に対する仮説を立てられないと慌てることしかできません。

でも会計士時代に監査業務で培った経験によって、新しい課題が生じても、それに対する仮説が立てやすいと実感することができています。何があるべき姿なのかを考え仮説を立てることで、課題を明確に把握でき解決プロセスが自ずと見えてきます。こういった論理的思考能力は会計士時代の経験がとても役に立っています。

働く上での原動力、今後の展望

—犬飼さんにとって、働く上での原動力を教えてください。

まず、根底にあるのは、負けず嫌いであることです。人に負けたくないという思いがずっとあるので、どんなことであっても頑張ることができます。ある意味、自分の価値が下がることへの恐怖なのかもしれないですね。先ほども話した通り、1年間何も成長が無いと自分の価値が落ちてしまうと思っているので、目線を上げ続けていくためには何をすればいいのか常に考えています。現状維持に対する不安があって、上を目指さなければという思いが強くあります。

また、事業を通して社会に貢献したいという思いも、今まで仕事をする中で常に自分の中に存在しています。クックパッドで楽しくやりがいを持って働けているのも、この事業を通して社会に貢献できると確信しているからです。

—常に自分自身を高めていく、そして事業を通して社会に貢献したいという思いが、犬飼さんの働く上での大きな原動力になっているのですね。最後に、犬飼さんが考えるクックパッドの今後のビジョンについてお聞かせください。

クックパッドが世の中にさらに貢献していくためには、もっとグルーバルな会社になっていかなければいけないです。そのために、グローバルな会社は日本人だけが率いるのではなく、他国籍のメンバーももっと加わるべきで、そういう状態を作り切ることが私にとってひとつのゴールと考えています。

—貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。

今回お話を伺った犬飼氏がCFOを務めるクックパッド株式会社のホームページはこちら

この記事を書いたライター

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